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「黒い雨」 [映画]

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〔1989年/日本〕


昭和20年8月6日。
広島に原子爆弾が投下された。


閑間重松(北村和夫)とシゲ子(市原悦子)夫妻 は
爆心地にいたが、
とりあえず見た目の健康被害はなかった。
しかし、重松たちの家に向かっていた、
姪の矢須子(田中好子)は、
途中で黒い雨を浴びてしまう。


5年後。
重松、シゲ子、矢須子、重松の母は、
福山市で暮らしていた。
そこは重松の故郷で、
先祖代々の土地を切り崩しながらの生活。


矢須子も適齢期になり、
重松夫妻は、彼女に相応しい相手を探してくるが、
何度見合いをしても、
被爆者という事で破談になってしまう。


「被爆者ではない、黒い雨を浴びただけだ」と説明しても、
人々の偏見は変わらない。
実際、被爆していないはずの矢須子は、
体調不良に悩まされるようになり・・・。





世界でたった一つ、
原爆を落とされた国、日本。


これはもう、
誰が悪いという事はないけれど、
そもそも、なんで戦争なんか始めたかなぁと思う。


タイトルの「黒い雨」とは、
私が想像している以上に黒く、
服に付いた汚れは洗っても落ちない。
「万年筆くらいの太さの」、「コールタールのような」と、
劇中では表現されていた。


原爆投下後、黒い雨が降ったというのが
事実だとしたら、
どういう空の仕組みでそうなるんだろう。
あれだけの大きなきのこ雲が発生するのだから、
気象に異常をきたすのは当たり前の事か。


辛い物語だけれど、
悲しいだけではなく、
時折、少し笑ってしまうようなシーンもある。
それが日常であり、
人生なんだと言いたいのかも、と思う。


原爆症に悩む矢須子は、
勿論大変にお気の毒なのは当たり前として、
重松も気の毒でならない。


彼は、一人ずつ、大切な人を失ってゆく。
その度の葬式を出したり、参列したり、
じわじわと迫る孤独。
このままでは、あと少しで、
完全に一人ぼっちになってしまうという予感は、
病気とはまた別の種類の恐怖を覚える。


一つの戦争の被害は、その瞬間だけでなく、
その後、何年も、
もしかしたら100年くらい先まで、
当事者や、その子供や孫にまで
何らかの影響を与える場合もあると思うし、
実際、そういう方に会った事もある。


毎度月並みだけど、
もう二度と、この日本で、
戦争が起こる事が無いように願う。


評価 ★★★☆☆

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