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「13 ザメッティ」 [映画]

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〔2005年/グルジア・フランス〕


グルジアからの移民で、
フランス在住の22歳の青年・セバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)。
彼は家屋の修理で生計を立てているが、
生活は苦しい。


ある日、セバスチャンが依頼された家の屋根の修理をしていた所、
その家の主人が、
金儲けの話をしているのを耳にする。
その直後、主人が薬物の過剰摂取で死亡、
セバスチャンは、儲け話のヒントが入っているらしき封筒を
持ち帰ってしまう。


封筒に入れられていた切符と手紙を頼りに、
ある館に行ったセバスチャンは、
そこで行われる恐ろしいゲームの内容を知る。


13人の参加者が円になり、
渡された拳銃に1発だけ弾を込め、
前の男の後頭部に銃口を当て、
合図で一斉に引き金を引くのだ。


第一ラウンドで何人かが死に、第2ラウンド。
今度は弾を2発込める。
周囲には、賭けをする男たちが大勢して、
固唾を飲んで見守っている。
勝者は誰になるのか・・・。





先日観た、「ロシアン・ルーレット」のオリジナル。
同じ監督が撮った映画で、
リメイクがとても面白かったので、
細かい部分を忘れないうちに、
観てみた。


「ロシアン~」はアメリカが舞台だったけど、
このオリジナルはグルジア移民が、
フランスで体験するお話。
監督もグルジア人なのだそうだ。


そもそも、グルジアってどこ?って感じで、
物知らずの私は、そこから分からない。
ヨーロッパのどこかというのは分かるけど、
どんな国情なのか、どんな文化があるのか、
見当もつかない。


そんな得体の知れない(ごめんなさい)国の監督が作った、
こんな内容の映画だもんだから、
余計に不気味さが増す(さらにごめんなさい)。
映像は白黒で、
知っている俳優さんが出てくるわけでもなく、
かえってリアル。


世界中のどこかで、
このような賭け事が行われているのか、いないのか、
それは私には分からない。
もしあるとするなら、
集まって来る人たちの中には、
純粋に金儲けだけの人もいるだろうが、
人の死が見たい、といった、
ある種の欲求を持った人もいそうな気がする。


ルーレットの結果、
死んだ人たちの遺体はどうするんだろう。
そして遺族は、突然いなくなった家族の事を、
警察に訴えないんだろうか。
・・・と、実際行われているといった前提で心配してしまう(笑)。


「ロシアン~」では、
ルーレットが終わったその後が面白かったと書いたけれど、
こちらは「ロシアン~」より、
少し淡泊な感じで、
あちらほどの緊張感はない。
登場人物の行動の順番も、
少し変えてある。


だからと言って、つまらないわけではない。
オリジナルでも、リメイクでも、
ある男が、ある物を飲み込むんだけど、
映画に続きがあるなら、
あれが胃の中で、どんな状態になるのかが、
気になって仕方ない。


評価 ★★★☆☆

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「ハンナ」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


元CIAのエージェントである父親エリック(エリック・バナ)から、
暗殺者になるべく育てられた16歳の少女ハンナ(シアーシャ・ローナン)。


2人はフィンランドの山奥で暮らし、
訓練の日々。
そのおかげでハンナの戦闘能力は父を越えるまでになる。


ハンナは父から旅立ち、
一人で外界へ出る事を決める。
父は彼女に、
「お前はマリッサ(ケイト・ブランシェット)に命を狙われるだろう」と
教えられる。


下界に下りたハンナは、
キャンピングカーで旅をする家族と知り合い、
初めての友達ができる。


しかし、そんな中でも、
マリッサの執拗な追跡が続き・・・。





暗殺者として育てられた少女と聞いて、
「ニキータ」を思い出したけれど、
ハンナは、ニキータのようなすれっからしじゃなくて、
(それはそれで大好きだったけど)
とても可愛くて、魅力的で、
雰囲気はとても良い。


山奥で育てられたハンナが、
初めて同世代の女の子と知り合って、
友情を感じるシーンなどは、
心が洗われるような思いがする。


ハンナを「暗殺者」と呼ぶのって、
ちょっとニュアンスが違う気がした。
「暗殺者」って聞くと、
指示されれば、どんな人間でも殺す人ってイメージで。


ハンナを訓練した父は、
娘を「殺し屋」に仕立て上げたかったわけではなく、
命を狙われる日が来たとき、
対処できるように、という気がするんだけど、違うのかなぁ。


その父親を演じるエリック・バナって、
ハンサムだし、嫌いじゃなんだけど、
いま一つブレイクしないというか、
あと一歩って感じ。
そう思っているうちに46歳か。
このままこのポジションをキープするか、
何かがきっかけとなって凄い事になるかは、
誰にも分からないけど。


評価 ★★★☆☆

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「あしたの私のつくり方」 [映画]

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〔2007年/日本〕


とある小学校。
寿梨(成海璃子)は、いじめに遭っているクラスメイトを
気にしながらも、何もできず、
自分は「その他大勢」となるよう、
気を付けながら生きている。


また、家では、
両親の喧嘩が絶えず、
耳を塞ぎたくなるような日々。
そんな時でも寿梨は、
その状況に相応しい態度を演じてしまう
自分を感じている。


ある日、クラスの人気者だった日南子(前田敦子)が、
些細な出来事からいじめの対象となり、
それは中学を卒業するまで続く。


高校進学後、
寿梨は、日南子が山梨に引っ越した事を、
友人の噂話で知る。


小学校の卒業式以来、
会話をする事もなかった日南子。
でも、本当はいつも気に掛けてた。
転校先では絶対幸せになってほしい。
そんな思いから、寿梨は、
間違いメールのフリをして、
日南子とやり取りを始める。


転校先でクラスに溶け込む方法、
初めてのデートでの服装や会話などなど、
寿里は日南子に「上手くやる」コツを伝授してゆくが・・・。





若いねぇ、
お嬢さん方(笑)。


主人公の寿梨は、
いつも場の空気に溶け込もうとする自分に
違和感を感じているけれど、
それは大人になれば、
殆どの人がしている事。


女子高生からはずいぶん遠い所に来てしまった私は、
もうそんな感覚は麻痺しちゃって、
無くなっちゃったよ(笑)。
状況に応じて役割を演じるって、
仕方ない、と言うか、
それが当たり前になっちゃってるから。


小学校の卒業式の図書室で、
偶然2人だけになった空間で会話する寿梨と日南子。
いじめられている日南子は、
「2人になると会話してくれるんだ」と言う。


それって、ある意味、痛烈。
積極的にいじめに加担しているわけじゃないけど、
でも庇う事もせず、
保身だけで精一杯なのを、
見抜かれてる感じ。
そう言われたら、絶句するしかないだろう。


そんな思い出を抱えながら、
高校生になって、
メールでやり取りするようになった2人。


寿梨は自分の素性を隠し、
間違いメールから始まった友情という体で、
日南子にアドバイスしていくのだけれど、


私には、こちらの方が違和感。


だって、それってなんだか遠隔操作っぽい。
日南子は寿梨の教えを全て実行し、
結果、友達が大勢できて、
恋人までできる。


適度なアドバイスならともかく、
全てにおいて指示する人がいて、
それを実行する人がいるなんて、
それこそ、究極の「他人に合わせて生きる」だと思うんだけど。


とはいえ、
それもこれも含めて、
少女たちの瑞々しい感性は、
よく描けていたと思う。


成海璃子がとても綺麗。
役の雰囲気にもピッタリだと思う。
前田敦子が、7年も前から、
映画に出ていたのも驚き。


石原真理子の母親役と、
高岡蒼甫の教師役が、
普段のイメージと違いすぎて笑える。


評価 ★★★☆☆

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「黒い雨」 [映画]

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〔1989年/日本〕


昭和20年8月6日。
広島に原子爆弾が投下された。


閑間重松(北村和夫)とシゲ子(市原悦子)夫妻 は
爆心地にいたが、
とりあえず見た目の健康被害はなかった。
しかし、重松たちの家に向かっていた、
姪の矢須子(田中好子)は、
途中で黒い雨を浴びてしまう。


5年後。
重松、シゲ子、矢須子、重松の母は、
福山市で暮らしていた。
そこは重松の故郷で、
先祖代々の土地を切り崩しながらの生活。


矢須子も適齢期になり、
重松夫妻は、彼女に相応しい相手を探してくるが、
何度見合いをしても、
被爆者という事で破談になってしまう。


「被爆者ではない、黒い雨を浴びただけだ」と説明しても、
人々の偏見は変わらない。
実際、被爆していないはずの矢須子は、
体調不良に悩まされるようになり・・・。





世界でたった一つ、
原爆を落とされた国、日本。


これはもう、
誰が悪いという事はないけれど、
そもそも、なんで戦争なんか始めたかなぁと思う。


タイトルの「黒い雨」とは、
私が想像している以上に黒く、
服に付いた汚れは洗っても落ちない。
「万年筆くらいの太さの」、「コールタールのような」と、
劇中では表現されていた。


原爆投下後、黒い雨が降ったというのが
事実だとしたら、
どういう空の仕組みでそうなるんだろう。
あれだけの大きなきのこ雲が発生するのだから、
気象に異常をきたすのは当たり前の事か。


辛い物語だけれど、
悲しいだけではなく、
時折、少し笑ってしまうようなシーンもある。
それが日常であり、
人生なんだと言いたいのかも、と思う。


原爆症に悩む矢須子は、
勿論大変にお気の毒なのは当たり前として、
重松も気の毒でならない。


彼は、一人ずつ、大切な人を失ってゆく。
その度の葬式を出したり、参列したり、
じわじわと迫る孤独。
このままでは、あと少しで、
完全に一人ぼっちになってしまうという予感は、
病気とはまた別の種類の恐怖を覚える。


一つの戦争の被害は、その瞬間だけでなく、
その後、何年も、
もしかしたら100年くらい先まで、
当事者や、その子供や孫にまで
何らかの影響を与える場合もあると思うし、
実際、そういう方に会った事もある。


毎度月並みだけど、
もう二度と、この日本で、
戦争が起こる事が無いように願う。


評価 ★★★☆☆

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「若親分乗り込む」 [映画]

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〔1966年/日本〕


脱走兵が列車の中で憲兵に追いかけられ、
飛び降りてしまう場に居合わせた南条武(市川雷蔵)。


列車を下りた武は、
父の友人で磯田組の親分・新兵衛(荒木忍)の家を訪ねる。
娘・柳子(藤村志保)も交え、
旧交を温めていると、
なぜか憲兵がやって来て、新兵衛は連れて行かれる。


新兵衛は拷問され死亡。
実は新兵衛の息子・政吉も、
軍隊のある秘密を知った為、
憲兵に殺されており、
武が列車で見た脱走兵は政吉の友人で、
同じく命の危険を感じて逃げ出したのだ。


磯田組と敵対する郷田組と憲兵隊との
癒着を知った武は、
不正を暴こうと決意し・・・。





シリーズ4作目。


軍隊出身の南条武だけに、
敵はまたしても軍隊。
なんだかもうワンパターンだけど、
他のヤクザものとは、
一線を画したかったのかもしれない(勝手な憶測(笑))。


ヤクザの南条武が、
他人の行いを正そうというのが、
考えてみれば変な気がするけど(笑)、
市川雷蔵が演じると、
違和感なく観られてしまう。


敵対する郷田組の幹部を演じるのは、
本郷功次郎。
本郷さんのイメージも雷蔵サンと同じで、
ヤクザって感じじゃないな、と思いながら観ていたけど、
やっぱり、他のヤクザとは違ってて。


彼は磯田組の親分の葬儀にやって来て、
香典を置き、悔やみを言う。
それは郷田組とは関係なく、
彼の意志でした事で、
その時の雷蔵さんとの挨拶が、
折り目正しいヤクザの対面って感じで、
なんとも良い。


もちろん、その後2人は
対峙する事になるんだけど、
もし同じ組にいたら、
きっといいコンビになっただろうに、残念。


ラストは雷蔵サンがバッタバッタと
人を斬りまくるんだけど、
あれだけの死体は、
その後どうなるんだろう。
この映画に限らず、
いつも考えてしまう疑問(笑)。


評価 ★★★☆☆

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