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「お茶と同情」 [映画]

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〔1956年/アメリカ〕


17歳のトム・リー(ジョン・カー)は、
心優しく、繊細な青年。
学生寮に住む彼は、
他の学生のように力で男らしさを競う事はせず、
音楽を聞いたり、ギターを弾く事が好きだ。


ある日、手先の器用な彼が、
舎監の妻・ローラ(デボラ・カー)の裁縫を手伝っているのを
学生たちに見られ、
まるで女のようだと、
「シスターボーイ」というあだ名を付けられてしまう。


以来、学友たちは事あるごとに彼をからかい、
大変に辛い毎日を過ごすようになる。
さらに、そんな彼を心配し、
寮にやってきた父親は、
演劇で女性の役をするという彼を怒り、
出演を止めさせてしまう。


「他の友達と違う」
そんな自分に苦しむトム。
そんな彼の気持ちを理解するローラは、
トムを嫌う夫を非難するが、
話はまるで噛み合わない。


トムは意を決し、
街の、アバズレといわれる女の所で、
初めての経験をしようとするが・・・。





先日、「喧嘩も楽し」のレビューで、
“シスターボーイ”とはなんぞや?と書いた所、
コメント欄で、本作「お茶と同情」から出た言葉だとお教えいただき、
早速観てみた。


ただ、内容は想像していたより、
ずっと辛かった。
トムに対する学友たちの、
いじめに近いからかいを見ていられない。


時代のせいなのか、
お国柄なのか、
トムは何度も男らしくないと言われるけれど、
それは彼の個性であって、
直すとか、直さないとか、
そういった性質のものではない。
彼は私の感覚から見ると、全く普通。
ジャニーズ全盛の日本人の目からは、
可愛いとさえ思ってしまう。


それに、お裁縫が得意の男の子なんて、
現代なら重宝されるよー。
筋肉の自慢ばかりして、
学友をいじめる男子の方が、
よほど女々しく、卑怯者だ。


同じような事を、
ローラも夫に訴えるのだけれど、
夫はまるで耳を貸さない。
繊細な男の子を馬鹿にするように、
女の発言もまた、
彼にとって、相手にするのも馬鹿馬鹿しいものなのだろう。


ラストはちょっとだけ溜飲が下がる作り。
最悪の事態さえ想定してしまったから、
とりあえずはホッとできる。


ところで、
日本の映画の中で描かれる“シスターボーイ”は、
この映画とは全然違う。
曲解されすぎ。
例えば、「喧嘩も楽し」に出てくるシスターボーイは、
KABAちゃんみたいなんだもの(笑)。


評価 ★★★☆☆

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