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「マイティ・ソー」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


神の世界“アスガルド”の王オーディン(アンソニー・ホプキンス)は、
自分の座を長男・ソー(クリス・ヘムズワース)に譲ろうと考えていた。


ソーは最強の戦士であり、
選ばれた者だけが持てる武器“ムジョルニア”を手に、
その力を誇示していた。
しかし、傲慢なその性格から、
氷の巨人の世界へ争いを挑み、
“アスガルド”を危機にさらしてしまう。


怒ったオーディンは、ソーを追放。
彼は地球に落ちてくる。


一方、
天文学者のジェーン(ナタリー・ポートマン)は、
砂漠で調査中、
車で男を撥ねてしまう。
その男こそ、ソーであり、
ジェーンとソーが出会った瞬間でもあった。


ソーの言動に驚かされるジェーンたちだが、
次第に彼が本物の神であると思わざるを得なくなってくる。


その頃、“アスガルド”では、
ソーの弟・ロキが、
自分の出生の秘密を知り、ショックを受けていた。
幼い頃から、ソーの二番手にしかなれなかった彼は、
ソーを妬み、
“アスガルド”征服を思い立つ・・・。





もうすぐ始まる、
「マイティ・ソー ダーク・ワールド」を観るなら、
未見のオリジナルを観なければ話にならん、と思い、
借りてきた。


思っていたよりずっと面白かった。
もっとわけの分からない、
ドタバタしたものを想像していたから。
こんな事なら、劇場で観れば良かったな。


ソーとロキの確執が、
話に膨らみを持たせて、
他のヒーロー物とはちょっと異質な感じで、
興味深く観る。


確かに、
ソーが陽なら、ロキは陰という感じで、
どうしてもソーが目立ってしまう感じは否めない。
でも、ロキも認めてほしいんだよねー、
神の世界の王である父から。


なのにこの父、
ソーを追放したあと、
自分を王に据えてくれるのかと思いきや、
まるで彼は目に入っていないみたいに、
次期の王はまだ保留、みたいな事を言う。


まぁ、ロキには出生に秘密があるわけで、
そんな彼を王にできないのは仕方ないんだけど、
ロキはそんな事知らないものね。
なんで父は自分に目をかけてくれないのかと思うでしょうね。


なんだか2が楽しみになってきたよ(笑)。


これは、浅野忠信のハリウッドデビュー作と知って、
ちょっと意外な感じがした。
なんだかもっと前から、
ハリウッド映画に出ていたような気がしたから。


とはいえ、
一応、ソーのお友達軍団の一人という役なんだけど、
その他大勢感はぬぐえず(笑)。
ソーの舎弟のそのまた舎弟という感じで、
セリフも、
「うんうん、そうだね、その通り」みたいなのばっかりのような印象(笑)。
もちろん、こんなヒーローものに、
日本人が出ただけでも嬉しい事には違いないんだけど。


評価 ★★★☆☆

「小さいおうち」 [映画]

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〔2014年/日本〕


一人暮らしの老婆・布宮タキ(倍賞千恵子)は、
親類の大学生・健史(妻夫木聡)から
自叙伝を書くことを勧められ、
大学ノートに思い出を綴ってゆく。
そこに書かれていたのは、
タキが女中奉公した「小さなおうち」での日々であり、
タキの青春そのものだった・・・。


昭和11年。
山形から上京したタキ(黒木華)は、
旦那様の雅樹(片岡孝太郎)と、
美しい奥様・時子(松たか子)、
そして坊ちゃんの恭一が暮らす、
赤い屋根のモダンな「小さなおうち」の平井家で
女中奉公として働く事になる。


家族は穏やかで優しく、
タキにとっては、とても働きやすい環境。
ずっとこの家のお世話になりたいと思うほどに。


ところが、ある年の新年会に
客の一人としてやって来た、
雅樹の会社の部下・板倉正治(吉岡秀隆)の出現により、
「小さなおうち」のバランスが崩れ始める。
他の客たちと違って、
どこか浮世離れした板倉に、
時子は強く心惹かれていったのだ。


雅樹が仕事で不在の嵐の夜、
家にやってきた板倉に、
時子は自分の気持ちを抑えきれず、
咄嗟にある行動に出る。
それは2人の気持ちを決定的にさせる行為でもあった。


その後、2人の仲は深くなり、
それを知るのはタキだけ。
しかし、少しずつ、
人々の噂が広がり始め、
タキは悩み・・・。





このブログを始めた最初の頃、
この原作を読んだ感想を書いたせいか、
ちょっと思い入れのある作品。
その時は映画化されるとは思っていなかったけれど。


よく考えてみると、
裕福な人妻の不倫という、
重いテーマを扱っているはずなのに、
全くギラギラした感じがなく、
サラッとしている。


これは原作でも感じた事なので、
映画のせいではなく、
作品が持つ雰囲気そのものなのであろう。
それをきっちり表現した本作は、
そういった意味では凄い。


不倫がいいとは思わないけど、
時子の気持ちは少し理解できる。
夫にしても、夫の会社連中にしても、
話題といえば、
会社や、戦争や、女の話ばかり。


そんな中、
映画や音楽を解する板倉は、
そりゃあ、魅力的だろう。
男性同士の中では、
多少浮いた存在だとしても。


それから、この作品の醍醐味は、
「小さなおうち」での出来事ではなく、
その後にあると思う。


戦争が激しさを増し、
「小さなおうち」にいられなくなったタキは、
一度、山形に帰る。
終戦後、また上京したタキは、
一家に起こった出来事を知る。


そして現代。
タキの自叙伝を読んだ健史が体験する、
一連の出来事は、
私の心を刺激してやまない。
こういった過去を辿るお話は、
この作品に限らず、とても好き。


評価 ★★★☆☆

「100,000年後の安全」 [映画]

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〔2009年/フィンランド〕


フィンランドのオルキルオト島にある、
「オンカロ」と呼ばれる放射性廃棄物保存施設。


放射性物質は無害になるのに、
10万年かかる。


この施設の存在を、
後世の人々にどのように伝え、
受け渡すのかを
描いたドキュメンタリー。





データや写真などを見せられ、
脱原発を声高に叫ぶような内容だったら、
ちょっと嫌かな、と思ったいた。


それに、
「10万年後なんて大げさな、
そんな先の事なんて考えられないよ」とも、
観る前は思った。


けれど、
もう、全然違っていて、
専門家や、「オンカロ」に関わる人々が、
この施設を未来にどう受け渡すのかを、
あらゆる事態を想定して、
カメラの前で語ってゆく。


つまり、原発はある事が前提の内容だ。
もちろん、これの映像を作った真の目的が、
脱原発にあるとしても、
その事には全く触れていない。
映像を見た人が触発されて、
脱原発派になっても、
それは自由という事だ。


原発に関係なく、
人間がこの先辿るであろう道を模索する内容として、
とても面白い。
考古学というのはあるけれど、
未来学とでも言ったらいいのか、
今現在が、未来人たちにとって「太古の昔」になった時、
「オンカロ」をどのように理解するのかといった話し合い。


人間は、この先も進化し続け、
言語だって変ってゆく。
どのような天変地異が地球を襲うかも分からないし、
戦争が起こらないとも限らない。
「オンカロ」に近寄ってはいけないと、
後世に伝えようとしても、
いつかここは忘れ去られる。


もし、未来の人間が「オンカロ」を発見した時、
どう思うだろう。
過去の人間が残した、何か素晴らしい遺産かもと、
新しい発見に驚き、掘り出してみたくなるだろう。


注意を書いた壁を建てたらどうか、という意見。
それよりいっそ、「オンカロ」の存在を
人類の記憶から消し去ってしまえばいいという意見。


そう考えると、
例えば、
エジプトのピラミッドに代表されるような、
世界中にある遺跡だって、
未来の人間に、
何かを警告するために建てられたという事もあり得る、などと、
なにかミステリー映画のような、SF映画のような事まで考えてしまう。


それにしても、
未来永劫、人々に何かを伝える事が、
これほど難しいとは思わなかった。
人が遠い過去に、
なにかロマンを感じるのは自然な事だし、
「知りたい」という欲求を抑えるのは難しい。


まして、過去の人たちが、
未来にこんな負の遺産を残しているとは、
想像しないであろう。


まぁ、10万年後、
人類自体が存在するかどうか、
それさえ分からない話ではあるけれども。


評価 ★★★☆☆

「マラヴィータ」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


フランスのノルマンディに引っ越してきた、
4人家族。
アメリカ人である彼らが何故?と思いきや、
一家の主・ロバート・デ・ニーロは元マフィアの大物で、
FBIの保護プログラム下に置かれているのだ。


しかも、曲者はデ・ニーロだけではなく、
妻・ミシェル・ファイファーも、
長女・ディアナ・アグロンも、
長男・ジョン・ディレオも、
やられたら、100倍にしてやり返さなければ
気の済まない、
激しい気性の持ち主。


彼らの家の前で監視するのは、
捜査官・トミー・リー・ジョーンズ。
ジョーンズは、一家に、
町に溶け込むように進言するが、
そう簡単にいかないのが困った所。


一方、デ・ニーロと敵対するマフィアの親分は、
一家を血眼になって探していた。


なかなか見つからない一家であったが、
ある日、ひょんな事から居所が知れてしまい、
武装した殺し屋たちが、
町に送り込まれ・・・。





ロバート・デ・ニーロが、
元マフィアの大物という、
まぁ、ありがちな役を演じる、
リュック・ベッソン監督の作品。
舞台がフランスというのが、
変わっているといえば、変わっているかも。


デ・ニーロも、家族も、
破天荒で、キレたら抑えがきかないというのが、
この映画の見どころの一つなんだけど、
それらの出来事が、
今一つはじけていないのが、ちょっと残念。
やるなら、もっとやってくれたらいいのに(笑)。


強いはずの長女が、
教師(教育実習生?)に恋して、
一度は関係するけど、
でも振られちゃって、
ショック受けて、っていうエピソードがあるのだけれど、
そこだけ全体のトーンとちょっと違うような。


その数学の教師は、
一見、知的な優男だけれど、
意外と冷たい。
女子高生に手を出しておいて、
簡単に電話で別れを告げる。


この男が実は、
あとで重要な役割を果たすのかと思ったけど、
そのような事もなく、
長女は振られ損(笑)。
マフィアの場面より、
いくつになっても、恋愛が気になる私(笑)。


デ・ニーロ一家の居場所が、
敵対するマフィアに知られる過程が、
面白いと言えば面白いんだけど、
もう少し膨らませたら、
もっと良くなった気がしたのだけれど。


それから、これは映画の本筋とは、
全く関係のない事なんだけれど、
動物などの遺体を土に埋める時、
絶対ビニールなどに入れたままではいけないと、
聞いた事がある。
埋めた遺体が、とんでもない状態になるから、と。


で、この映画。
デ・ニーロは冒頭から、
人間の遺体をビニールにくるんだまま埋める。
小動物で駄目なのだから、
人間なら、もっと大変な状態になるのではと、気になって(笑)。


評価 ★★★☆☆

「静かなる男」 [映画]

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〔1952年/アメリカ〕


アイルランドの小さな村にやって来たジョン・ウェイン。
ここは彼の生まれ故郷で、
生家で暮らしたいという夢を持って、
戻ってきたのだ。


ウェインは、今は他人のものになっている生家を
買い取ろうとするが、
以前からそこを欲しがっていたヴィクター・マクラグレンがおり、
持ち主の前で争う。
結局ウェインが勝つが、
マクラグレンのウェインへの感情は最悪だ。


ウェインは、村に着いてすぐ、
美しい女・モーリン・オハラに惹かれる。
しかし、彼女の兄こそマクラグレンであり、
マクラグレンは2人の結婚には猛反対。


ウェインはマクラグレンの承諾無しに、
オハラと結婚するが、
アイルランドの風習で、
花嫁には持参金が大切な所を、
オハラは一銭も持たせては貰えず、
彼女はとても恥ずかしがる。
金など必要ないとウェインは言うが、
刷り込まれた考えを変える事はできない。


ウェインは、マクラグレンを殴る機会が
幾度となくあった。
しかし、彼は決して手を出そうとはしなかった。
それは、彼の過去に起こったある出来事に起因していた・・・。





ジョン・フォード監督作品。


フォード監督とジョン・ウェインの組み合わせと聞けば、
西部劇だと思う方が殆どだろうし、
私も観る前は、てっきりそうだろうと思い込んでいた。


フォード監督自身が、
アイルランドの移民だそうで、
ロケもアイルランドで行われた、
思い入れいっぱいの映画なのだそうだ。


物語はジョン・ウェインが、
小さな駅に降り立つ場面から始まるのだけれど、
彼はすぐに、村の若い女・モーリン・オハラを
好きになる。


その展開がもう、
ただ一目見ただけで、
彼女の性格とか人間性とか、
そんな事は全くお構いなしな感じで、
「早っ!」って感じなんだな(笑)。


しかも、このオハラが勝気で。
なんであんなにいつも怒っているのかと思うくらい、
私から見ると可愛げがないのよ。
女の子はもっと笑ったほうがいいよ、って(笑)


ヴィクター・マクラグレンも、
最初からウェインに対して喧嘩腰で、
好人物とは言い難い、その態度。


マクラグレンがオハラに持参金を持たせないのも、
妹を思う気持ちというより、
嫌がらせにしか見えない。
どうも好きになれない。


ただ、この映画、
とても評価が高い。
私がこの映画の「心」を受け止める
素養がないのであろう。


なんで相手を殴る事が前提?
過去の出来後がなければ、
とっくに殴っていたという事?
現代の感覚に当てはめては駄目なようだ。


評価 ★★★☆☆