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「アジャパー天国」 [映画]

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〔1953年/日本〕


キャバレーのウエイター・ズンさん(伴淳三郎)は、
ラブレターの代筆を副業としている。


彼と同じオンボロアパートの住人・土井浩一(高島忠夫)は、
近所の金持ち令嬢・千春(星美智子)と恋仲だったが、
千春の母・茂子は、2人の仲を絶対に認めない。


千春の父・篤雄(花菱アチャコ)は、
婿養子で、いつも茂子にやり込められ、
小さくなって暮らしている。
篤雄は浩一と千春の駆け落ちを応援し、
ズンさんのアパートに匿う。


ズンさんの兄・キンさん(柳家金語楼)は、
ズンさんのアパートに住む田所ゆき(清川虹子)に惚れているが、
ゆきは、戦地に行ったきり帰らない夫・稔(田中春男)の
復員を信じており、
娘と2人、日々祈るような気持ちで暮らしている。


実は稔は、とうに日本に帰ってきていた。
しかし、ヤクザの仲間になってしまったため、
ゆきに会わせる顔がなく、帰れずにいるのだ。


しかし、ある日、思い切ってゆきのアパートに行った稔は、
ゆきが再婚していると勘違いし、
再びヤクザの組に戻ってしまう・・・。





タイトルから、
もっとハチャメチャな内容かと想像していたら、
思っていたより真っ当な人情喜劇で、
それなりに面白かった。


そもそも、「アジャパー」って、
何だろう?どういう意味?と思っていたけれど、
まぁ、深い意味はない、
掛け声のようなものなのかもしれない。
伴淳三郎さん演じるズンさんが、
何か驚いた時に「アジャー」と発しているから、
そういった時に咄嗟に出る言葉として使えるのかも。
(ごめんなさい、ハッキリとは分からない(笑))


とにかく登場人物が多くて、
その人々がみんな知り合いというのはご愛嬌。
知り合いを辿って行ったら、
大きな円ができそうだ(笑)。


そして、その多くの人たちが、
恋しているのが可愛い。
メインの恋は千春と浩一だけど、
ズンさんも、キンさんも、
千春の兄も、女中も、
キャバレーの花売り娘も。


夫の復員を待ちわびるゆきだって、
夫に恋してるみたいだ。
ある意味、彼女が一番一途で素敵。


ラブレターの代筆を副業とするズンさんが書いたものが、
ズンさんの片思いする女の子に送られていたのが、
ちょっと切ない。
女の子がその手紙を見せると、
ズンさんは、手紙を読まずに、
内容を諳んじて、女の子が驚くのよ。


ラストに、キャバレーで大乱闘が起きて、
そこが面白いという方も多いようだけれど、
私は、この内容にドタバタは必要ない気がしたな。
最後まで人情喜劇な方が、個人的には好き。


古川緑波さんとか、トニー谷さんとか、
名前は知ってるけど、
その芸の面白さを知らないというのが、
とっても残念で。
それを知っていたら、
もっともっと楽しめたと思うのだけれど。


評価 ★★★☆☆

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