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「アフロ田中」 [映画]

Afrotanaka.jpg
〔2012年/日本〕


幼い頃から、
その強力な天然パーマのせいでいじめられていた男・田中広(松田翔太)は、
高校生になった。


いつも4人の悪友たち、
大沢みきお(堤下敦)
岡本一(田中圭)
村田大介(遠藤要)
井上真也(駒木根隆介) とつるんでは、
くだらない話に時間を潰す彼であったが、
なんとなくノリで高校を中退。
埼玉から上京し、
今は工事現場で働いている。


そんなある日、井上から結婚式の招待状が届いた。
自分たちも結婚する年になったのかと、
感慨にひたりながらも、
田中は、ある約束を思い出していた。


お互いの結婚式に出席する際は、
必ず彼女を同伴する事にしようという約束を・・・。


「ま、あいつらだってどうせ彼女なんかいないだろ」と、
軽く馬鹿にして、
結婚式のひと月前に、悪友と会った田中だったが、
なんと、自分以外全員彼女がいるではないか!


や、やばい。
彼女がいないの、本当に俺だけじゃん。
彼女がいるフリを続けるしかなかった田中。
式まであと1ヶ月。
どうしよう・・・。





あはは~、面白い。
こういうの好き(笑)。


松田翔太演じる田中の、
無愛想な表向きの顔と、
内面の緊張や焦りとのギャップが大きくて笑ってしまう。


特に、アパートの隣の部屋に越してきた佐々木希と話す時、
彼女に下心を悟られまいと、
必死になってクールを装うその態度が可笑しい。
若い女の子たちに言いたいな。
好きな男の子がとてもそっけなく見えても、
それは自分の本心を隠すがゆえなの「かも」しれない、と(笑)。


悪友たちとのやり取りも、
楽しくて大好き。
中身の無い与太話に花を咲かせる様子も、
男の子らしくて面白いし、
それにまた、彼らの彼女たちというのが、
またなんとも・・・(笑)。


松田翔太のあのアフロヘアーは、
もちろんカツラなんだろうけれど、
物凄く重そうで、暑そうで。
大変だなぁと思ったけれど、
実際、どうなんだろう。
かぶってみれば、意外とそうでもないのかもしれないけど。


登場人物たちの実年齢がめちゃくちゃなんだけど、
この手の映画だと、それが全く気にならない。
松田翔太と堤下敦の年齢差は8歳もあるのに、
同級生(笑)。
さらに、松田の母親を辺見えみりが演じているという、
はちゃめちゃ感。
気の強いおばちゃんなイメージが、
彼女にピッタリなんだろうけど。


コミックを映画化したという事で、
原作を読んでみたいけれど、
さすがにこれは、図書館にはなかった(笑)。
どうしたらいいものか。


評価 ★★★☆☆





ついに今年も最後の日となってしまいました。
1年間、それなりに楽しい日々だった事、
そして、こんな私でも支えてくれる全ての方々に感謝しています。


毎年、
「1年間、1日も欠かさず映画を観たと言える年にしたい」と思いつつ、
旅行や、その他の事情で達成できたことがなかったのですが、
今年初めて、その目標が叶いました。
本数も、今から観ようと思っている作品を入れて516本と、
過去最高となりました。


沢山観たからどうの、というわけではないのですが、
一生に一度でも、そういう年があってもいいのではと思っていたので、
そういう意味で、達成感を感じています。


ブログを書くために映画を観てるわけではないですが、
自分が感じた思いを表現できるこの手段が、
励みになっている事も事実です。
昔にはなかったこんな表現方法がある今の時代を、
とてもありがたく、幸せに思っています。


こんな与太ブログでも、
読んで下さる方がいるなら、
それはとてもありがたく、
感謝の気持ちで一杯です。
一年間本当にありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。

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「雪の喪章」 [映画]

yukinomosho.jpg
〔1967年/日本〕


昭和五年・金沢。


ひと月前、金箔問屋の老舗に嫁いだ若尾文子は、
幸せそのものだった。
夫・福田豊土も姑も優しく、
暮らしぶりも豊かだ。


ところが、驚くような事実が発覚する。
夫は若尾と結婚する前から、
女中・中村玉緒と出来上がっていたのだ。
しかも、中村は妊娠の気配さえあるではないか。


ショックのあまり、
雪深い山奥で死のうとした若尾だが、
番頭の天知茂に助けられ、
近所の旅館に入る。
そこで若尾は、天知から思わぬ愛の告白を受け動揺する。
しかし、夫が入ってきたため、
天知は逃げ出し、そのまま行方不明となる。


その後、若尾も子供を生み、
中村も、一度の流産のあと出産。
2人の女は、同じ家の中で、
子育てをする事となるも、
中村は子どもを事故で死なせてしまう。


さらに、家が火事になり、
中村を金沢に残して、
大阪に出た家族。
やっと得た、妾のいない穏やかな生活。
しかし、夫に召集令状が来る。
人生の波に翻弄される若尾は・・・。





出だしは面白かったんだけどなぁ。
幸せだったはずの新妻・若尾さんが、
夫の不貞を知り、ショックを受ける。
これぞ若尾映画!という始まり。
しかも、その相手は中村玉緒だ。
期待するなと言う方が無理だ(笑)。


中村はとっても性格のいい女で、
若尾さんは彼女を突き放しきれない。
夫との関係を知りながら、
一つ屋根の下で暮らす2人。
妻妾同居ってやつだ。


そんなどさくさに、
天知茂から求愛されるのよ。
これは四角関係に突入か!?と
思うじゃない(笑)。


でも、話はどんどん大河ドラマになってゆく。


戦争になって、
夫が兵隊に行って、
病気で戻ってきて、
その間に、
逃げた天知は大金持ちになっていて、
中村は旅館の敏腕女将になっちゃって、
気が付くと、若尾さんの子供は大学生、
という、
1時間半の間に、
エピソードてんこ盛り(笑)。



若尾さんがとっても綺麗で、
そして、ちょっと怖い。
事故で中村の子供が死んだ時、
人に見えない所で薄笑いを浮かべたりするんだ。
そういった細かい部分で、
ファンが期待する若尾文子が描かれていたので、
そこは満足。


評価 ★★★☆☆

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「がめつい奴」 [映画]

gametsuiyatsu.jpg
〔1960年/日本〕


大阪・釜ヶ崎の貧民街に住むお鹿婆さん(三益愛子)は、
ケチで有名。
彼女は、旅館とは名ばかりの、
客たちが雑魚寝するような宿泊所を経営し、
その金を貯めるのが楽しみだ。
彼女は他人はもちろん、
実の息子・健太(高島忠夫)さえ絶対信用しない。
唯一、彼女が心を許しているのは、
孤児で、少し頭のゆっくりな少女・テコ(中山千夏)だけ。


お鹿婆さんは、戦後のどさくさ期に、
釜ヶ崎の一帯を自分の土地だと言い張り、
そこに旅館を建てたのだ。


実は、宿泊客の1人・初江(草笛光子)こそ、
その土地の本当の持ち主であり、
権利書も有していた。
初江は常に、
「この旅館を立ち退いてもらう」と息巻いているが、
お鹿婆さんはまるで動じない。
さらに、初江の妹・絹(団令子)と健太が恋仲になってしまい、
余計に話がややこしい。


同じく宿泊客の1人・熊吉(森雅之)は、
初江を言葉巧みに誘い込み、
権利書を手に入れ、
さらに、彼女の操まで奪ってしまう。


そんな中、お鹿婆さんの義理の弟だという彦八(森繁久彌)が、
訪ねて来た。
調子のいい事を言いながら、
どこか胡散臭い彦八を、
お鹿は当然、信用するはずもない。


熊吉が、初江の権利書を二束三文でヤクザに売ってしまう。
それを知った初江は・・・。





面白い。
面白すぎる。
基本はコメディで、
何度も笑わせられるけど、
サスペンスな要素もあって、目が離せない。
手に汗をかいちゃって、
持っていたタオルで拭いたくらい。
笑いながら緊迫感を感じるって、
凄い事だ。


お鹿婆さんは、自分が持っている、
三千万円という大金
(現代に換算したら、一体いくらになるんだろう)を甕に入れ、
その上に梅干しを乗せてカムフラージュしている。
そして、それを知っているのはテコだけ。


婆さんの金を狙う彦八が、
テコを巧みに手懐けて、
金をいただこうとするのだけれど、
その場面が秀逸。
面白くて面白くて、見入ってしまう。
もちろん、事はそう簡単に運ぶはずもなく、
オチがまた、笑える。


初江の場面は悲し過ぎる。
傍目には、誰がどう見ても真っ当ではない熊吉のような男を、
なぜ信用してしまったのか。
「権利書を渡しちゃ駄目!」と、
本気で叫びたくなったくらい。


熊吉には、日本とロシアのハーフの嫁・おたか(安西郷子)がいて、
やはり同じような手口で金を巻き上げた過去があり、
現在はヒモ生活。
初江とおたかは、
1人の男を取り合う仲でありながら、
被害者同士ともいえる。
最初は争っていたが、
最後は同盟を結ぶに至る過程が素晴らしい。


不勉強な私は、ウィキペディアで調べて初めて知ったのだけれど、
この作品は、
元々、菊田一夫脚本の舞台劇で、
「キャッツ」に抜かれるまで、
ロングラン公演の記録を持っていたそうだ。


今では普通に使っている、「がめつい」という言葉も、
菊田一夫の造語だと知ってビックリ。
戦前の辞書に、
このような言葉は載っていないそうだ。


釜ヶ崎という場所と、
そこで暮らす人々がまた強烈。
釜ヶ崎の中で車が事故でも起こそうものなら、
5分も経たないうちに、
人々が寄ってたかって、車を解体して持ち去ってしまう。
警察が来た時は、事故の痕跡さえ残っていない有様(笑)。
(大きな声では言えないけれど、人が死んだ時も、
 洋服の一つも無駄にはしない)


こういった、カオスのような場所にたまらなく惹かれてしまう。
私のこの気持ちって、何なのだろう。
自分は殺風景とも言えるような、
物の少ない家に住んでいるくせに、
香港の九龍城、
ブラジルのファベーラなどなど、
たまに思い出しては、
画像を検索して、真剣に見てしまう。


こんな面白い映画が埋もれているのは、
本当に勿体ない。
1人でも多くの方に観てほしいという気持ちになります。


評価 ★★★★★

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「ウィンターズ・ボーン」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


17歳の少女・ジェニファー・ローレンスは、
孤立したような集落で、
幼い弟と妹の世話をしながら暮らしている。


麻薬の密売人の父は行方知れず、
そして、そんな生活に疲れ切った母は精神のバランスを崩し、
ローレンスが頑張らなければ、
家族はすぐにでも崩壊してしまいそうだ。


そんな中、家に保安官がやって来た。
逮捕された父が、
家と土地を保釈金の担保にしてしまい、
来週の裁判に出廷しないと、
一家は住む場所さえ失うと言うのだ。


あまりの事態に驚き、
ローレンスは父を探し始める。
しかし、行方を辿ってゆくうちに、
父はもう死んでいるとの確信を深めてゆく。


それならそれで、
父の死を確実に証明しなければ家を奪われてしまう。
ローレンスは、
父の死を知っていると思われる、
村の実力者の家を訪ねるが・・・。





ニューヨークの摩天楼や、
煌びやかなラスベガスがアメリカなら、
この貧しい寒村も、
アメリカである事に変わりはない。


「ペーパーボーイ 真夏の引力」でも、
同じような事を書いた気がするけれど、
あちらの季節が夏だったのに対して、
こちらは冬。
余計に辛く、孤独で、貧しい感じ強く出ているように思う。


ジェニファー・ローレンスの、
いい意味でのふてぶてしい感じが、
この役に上手くハマっている。


彼女の人生は、
ピーンと張った糸のように、
緊張感に満ちていて、
ゆるみというか、遊びというか、
そういったものがまるで無い。


生きてゆく為に必要な事、
家事から、お金の心配から、
全てをこなしながら、
弟たちと歩く時は、
その時間を利用して、
算数やスペルを教える無駄の無さ。


こんな環境なら、
グレても不思議はなさそうだけど、
彼女にはグレる暇さえないみたいだ。


終盤は仰天するようなシーンが待っている。
沼に連れていかれたローレンスが、
沼に手を突っ込んで・・・
もうこれ以上は書きたくない(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「トリコロール 赤の愛」 [映画]

tricoloraka.jpg
〔1994年/フランス〕


ジュネーブで暮らす女子大生・イレーヌ・ジャコブは、
人気モデルでもある、美しい女性。


ある日、彼女は、車を運転中、
犬を轢いてしまう。
幸い、軽傷で済み、
首輪に記載された飼い主の住所に赴く。


飼い主は、初老の男・ジャン・ルイ・トランティニャンで
引退した元判事だと言う。
トランティニャンの家に入ったジャコブは、
そこにあった機械から聞こえてくる音声に驚く。


トランティニャンは、近隣の家の電話の盗聴を
趣味としていたのだ。


ゲイを隠して、結婚生活を営む男、
麻薬の密売人、
恋人同士、など、
彼の盗聴相手は様々で、
しかし、ジャコブはそれを許せず、
やめてほしいと彼に懇願する。


数日後、トランティニャンが、
盗聴の罪で告発されたと知ったジャコブは、
密告したのは自分ではないと言う為、
再び彼の家を訪ねるが・・・。





昨日も書いた、
「トリコロール」シリーズの、「赤」。


人気モデルという設定のイレーヌ・ジャコブが
写った写真が、
宣伝用の特大ポスターになって、
街角に貼られるのだけれど、
彼女のバックに使われる赤い色がすんごく印象的で、
本当に綺麗。
さすが、赤がテーマなだけの事はある。


そして、そんな彼女が偶然知り合うのが、
盗聴を繰り返す、元判事の男。


現役の時は、
法の番人として活躍していたであろう彼も、
今は、孤独に苛まれているように私には見えた。
他人の生活を覗き見るくらいしか、
日々の生き甲斐を見い出せないような。


この映画には、
もう一つ、サイドストーリーがある。
ジャコブが暮らすお部屋の近くの
別のお部屋に住む別の青年のお話。
2つの物語は交差する事はないのだけれど、
思わせぶりなラストが待っている。


この「赤」は、シリーズ最終章だけれど、
ラストで、「青」と「白」と「赤」の登場人物たちが、
同じ運命を共有するという作りになっていて、
そこは思わず、ビデオを巻き戻して、
2度見しちゃった。


もし、これから3本を観られる方がおられるなら、
「青」「白」「赤」の順番を絶対お勧めします。


評価 ★★★☆☆

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