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「浮草物語」 [映画]

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〔1934年/日本〕

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昨年2013年が、
小津安二郎監督の生誕110年、没後50年というのは、
以前、こちらにも書きましたが、
お誕生日とご命日が12月12日という事で、
神保町シアターで、
11月23日から
小津監督の全作品を上映するという企画が始まり、
1月13日に終了しました。


私自身も、去年、この記念の年に勝手に便乗して、
小津監督の未見だった作品を制覇した事も書きましたが、
その作品群の中の1本、「浮草物語」を神保町にて、
先週11日に再見してきました。


というのも、
自宅鑑賞と違い、
このサイレント映画に、
弁士さんとピアノの生伴奏が付くというのです。
小津監督の映画を劇場で観るのも初めて、
そして、サイレント映画に弁士さんと伴奏が付くというのも
初めての体験で、
とても楽しみにしていた企画です。


この日の弁士さんは、坂本頼光さんという男性のかたで、
今まで60本ほどの作品を手掛けてきたと、
パンフレットに書かれています。
映画が始まり、最初は、
「なるほど、弁士さんってこんな感じなんだ」と思いながら
観ていたのですが、
そのうちにスクリーンと坂本さんの声が
頭の中でピッタリ重なり、
その場で坂本さんが話されている事など忘れてしまうくらい、
のめり込んでしまいました。


それは洋画の日本語吹き替え版とはまた違う、
独特の世界で、
感情を込めて語られる坂本さんのセリフ回しは、
「浮草物語」が持つ、
笑いと悲哀にも、とても合っていると感じました。


そして、ピアノの伴奏は柳下美恵さん。
サイレント映画専門のピアノ奏者さんのようで、
どんなジャンルの映画でもこなされるとの事。
この日も、映画の1シーン1シーンに、
素晴らしくマッチした演奏を付けてくださり、
気持ちが大変に盛り上がりました。


本当に素晴らしい体験ができた事を
嬉しく思っています。
今の映画に音声が付くのは当たり前ですが、
昔の人は、このような形で映画を楽しんでいたのだなぁと、
自分が生まれる前の時代に、
思いを馳せたりもしました。


なんだか上手い事が書けない自分が残念なのですが、
機会があったらまた、
弁士さん付きでサイレント映画を観てみたいと思っています。
映画はまだまだ奥が深いと思い知り、
これからももっともっと色々な作品に出会いたいという気持ちを
強くしています。

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