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「遊びの時間は終らない」 [映画]

asobinojikanwaowanarai.jpg
〔1991年/日本〕


交番勤務の巡査・本木雅弘は、
極端に融通が利かない、
真面目な男。
何事も、ほどほどという事が出来ない性格。


彼は、銀行の防犯訓練において、
犯人役に選ばれ、モデルガンを持って乗り込む。
訓練は上手くいき、すぐ終わると思われたが、
本木は、
「自分は刑事役の西川忠志をガンで殺したのだから、
死人が起き出すのはおかしい」みたいな事を言い出し、
銀行に立て篭もってしまう。


警察の上層部は大慌てだが、
本木は自分の信念を変えようとはしない。
さらに、マスコミが騒ぎ出し、
テレビはリアルタイムで状況を放送、
一連の出来事は、全国的に有名になってしまう。


銀行の前は、黒山の人だかり。
本木のカッコよさもあって、
ギャルたちは親衛隊を作り、
男たちは、彼の男気にシンパシーを感じてか、
皆で名前をコール。
事態は収拾がつかなくなってくる・・・。





あまりに荒唐無稽な話に、
「ありえねー」と言いながらも、
あははははは~と笑ってしまう。


とにかく本木雅弘の融通の利かなさは天下一品。
観ているこちらは、彼が本気で強盗を企んでいるのかと
時々、気になるのだけれど、
死人役の刑事を気遣って、
敬語で話したりする所から、
やっぱりこれは、防犯訓練なのだと思い出す。


テレビのレポーターの騒ぎっぷりも可笑しい。
1人の女レポーターは、
誰も目を付けていなかった、
本木の実家を独占取材する。
本木の両親は、床屋を営む、人の良さそうな市民で、
この状況に戸惑っている。


レポーターはそんな両親におかまいなしで、
本木の部屋に入り込んで、
クローゼット中まで中継しまくる。
それを銀行内のテレビで観ている本木。
物凄くおかしな絵だった(笑)。


人質役のベテラン女子行員が、テレビのアナウンサーから、
「○○さん。年齢30歳」と読み上げられ、
若い女子行員が、
「30歳!?27歳だって言ってたのに~」と言うのは、
普段サバ読み得意の私にはシャレにならない場面(笑)。


全編、ほぼ銀行内が舞台というのが、
低予算っぽくて、ちょっと飽きるけど、
結構楽しめた。


評価 ★★★☆☆

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「ブラックブック」 [映画]

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〔2006年/オランダ〕


1944年。
オランダはナチスドイツの占領下となり、
ユダヤ人たちは逃げる以外、
生きる道が無い時代・・・。


美人歌手・カリス・ファン・ハウテンは、
ユダヤ人の逃亡を手引きするという男・ピーター・ブロックの
言葉を信じ、
指定された船着場に行く。
そこには、多数のユダヤ人が集まっており、
両親や弟とも再会する。


船は出発するが、夜、なぜかドイツ軍の船が待ち伏せしており、
銃を乱射する。
川に飛び込んだハウテンだけがかろうじて助かるが、
家族を含む全員が死亡。


その後、彼女はレジスタントのグループに入る。
ナチスの情報を探るため、
名前を変え、髪を染めた彼女は、
ドイツ諜報部の将校・ゼバスティアン・コッホに近付く。


コッホの愛人になったハウテン。
盗聴器を仕掛け、
情報を仲間に流す彼女だったが、
コッホは、良識ある紳士で、
流血を好まない、
ナチスらしくない、真っ当な人間であった。


コッホの人柄に触れるにつれ、
彼に惹かれていくハウテン。
しかし、状況は最悪の様相を呈してくる・・・。





観ている最中も、観終わった後も、
気分が落ち込んで、
中々這い上がれなかった。


カリス・ファン・ハウテンは、
船に乗る前に、
自分の金や宝石を、預けていた人間から受け取るのだけれど、
その際、
「人を信用しない方がいい」と言われる。
この映画は、このセリフこそ全てを表していると言っていい。


信用していた人間が実は敵だったり、
ハウテン自身も、裏切り者と誤解される。
もう、誰も信用できない。
時代のせいもあろうが、
頼れる者など、誰もいやしない。


船着場で、彼女が両親と弟に再会した時の、
涙が出そうになるくらい嬉しい気持ち、
そしてその後、目の前で家族が撃ち殺される場面、
天国から地獄に落とされたような、
その状況に、
私なら、自分もこの場で死んだ方が楽だと思ってしまうかもと、
そこまで考えてしまった。


その後も、ハウテンは、
数奇な運命に操られ、
想像を絶するような体験をしながら、
それでも何とか生き延びる。
人はどんな状況でも、
やっぱり生きる道を模索してしまう。
それが「生きる為に生きる」という事なのだろう。


監督はポール・バーホーベン。
この監督のイメージといえば、
私は、「スターシップ・トゥルーパーズ」が一番なのだけれど、
(あれはあれで、大好きだけど(笑))
こんな映画も作れるのだと、
ちょっとビックリ。
出身国であるオランダで、
このような過去があった事を、
伝えたかっただろうか。


評価 ★★★★☆

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「アウトレイジ ビヨンド」 [映画]

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〔2012年/日本〕


ヤクザ同士の熾烈な抗争で、
一応の決着を見た、あの事件から5年。
今や“山王会”は三浦友和を頭に、
関東最大勢力となり、
政治の世界にまで、手を伸ばしていた。


“山王会”の急成長は、加瀬亮の能力に因る所が大きかった。
インテリヤクザの加瀬は、
今までとは全く違う方法で、
組の資金を稼いでおり、
三浦はそんな彼を、一番の側近として扱っているのだ。


しかし、そんな加瀬を、
古参のヤクザたちが面白く思うはずもなく、
“山王会”内部では、不満の火種が燻り始めているのも事実だった。


そんな中、ヤクザ壊滅の狙う刑事・小日向文世は、
北野武を出所させる。
小日向は意図的に、
以前は対立していた北野と中野英雄を対面させ、
2人の力を利用し、
関西で最大勢力の“花菱会”と“山王会”を、
対立させようという腹なのだ・・・。





この映画を観る前に、
人間関係をおさらいしておこうと思って、
「アウトレイジ」を2回続けて観ちゃったよ(笑)。


そんなお勉強(笑)の成果もあってか、
今回は前作より面白く感じた。
何より、
前作のラストで大活躍(?)だった三浦友和が、
“山王会”の組長の座に納まっているという始まりが、
いかにも分かり易く、話に入っていきやすい。


前作で、私が一番好きだった加瀬亮が、
最初は相変わらずのインテリぶりを発揮して、
惚れ惚れして観ていたのだけれど、
その後の演技がもっと凄かった。


というのも、彼は北野が死んだものと思っており、
それが、生きていて、さらに出所した事を知り、
パニックに陥ってしまうのだ。


その後はもう、病的なヒステリー状態で、
(男のヒステリーって、女のそれより手に負えない感じ)
舎弟に北野殺しを命じたり、当たり散らす様子が、
何か心の病気の発症を思わせるような演技で、
ヤクザの怖さとは違う怖さを感じさせる。


こういう書き方はどうかと思うが、
人を殺すのに、こんな方法があるのかと思わされるような場面が、
2度ほどあり、
そんな時、いつも私は、
北野武の心の底にある恐ろしさを感じてしまう。
もしかしたら、ヤクザの世界では、
普通の事なのかもしれないけれど、
私には、あんな方法は全く思い付かない。


出演陣も豪華で楽しめる。
難を言えば、
“花菱会”のヤクザたちの演技は良かったけれど、
大阪弁に迫力を感じなかった所。
ここはできれば、大阪生まれ大阪育ちの俳優さんで固めてほしかった。


評価 ★★★★☆

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「バッド・ガールズ」 [映画]

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〔1994年/アメリカ〕


1980年代。
ある売春宿で、娼婦・メアリー・スチュアート・マスターソンが
客から嫌がらせを受ける。
彼女を庇おうと、宿主・マデリーン・ストウは客を射殺。


縛り首になる寸前、
ストウは、マスターソン、
アンディ・マクドウェル、ドリュー・バリモアに助けられ、
逃亡する事になる。


ストウは銀行口座に貯めてきた金が、
結構な額になっており、
また、マスターソンは、亡くなった夫と一緒に買った土地を
持っていた。
そこで製材所を作り、4人で暮らそうという事になる。


ストウが銀行で、自分の金を受け取ろうとした瞬間、
銀行強盗が入って来る。
強盗団のリーダー・ジェームズ・ルッソを見て、
ストウは驚く。
彼はかつてストウの恋人だったのだ。


結局ストウは、自分の金もルッソに奪われる。
取り返しにルッソ一味が住む砦に乗り込んだ彼女だが・・・。





全然“バッド”じゃない、女の子映画であった(笑)。


だって、みんないい子だよ。
悪い事なんか一つもしないし、
堅実に生きようと頑張ってるし。


娼婦だった彼女たちのガンさばきが、
何故かとっても上手いのが可笑しい。
一体どこでそんな技を身につけたのか(笑)。


彼女たちは、
ストウが殺した客の未亡人が雇った探偵から追われる事になるのだけれど、
しつこい追跡劇があるのかと思ったら、
それほどでもなく、
それより、ジェームズ・ルッソとの関係の方が
重要になる。
なんだか焦点がハッキリしない。


というより、
ラストは、「もしかして続編あり?」みたいな終わり方で、
次回は探偵との対峙がメインみたいに匂わせている。
作られてはいないようだけれども(笑)。


あとはお約束のように、
カッコいい男と知り合いになって、
彼らが助けてくれるという流れ。
やっぱり甘い(笑)。


マデリーン・ストウがめっちゃ綺麗。
でも女優って綺麗だからといって、
大ブレイクというわけじゃないのね。
それ以外の何かが必要なのでしょうね。


それから、やっぱりドリュー・バリモアが可愛い。
ストーリーより、
女の子たちを楽しむ映画。


評価 ★★★☆☆

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「燃えつきた納屋」 [映画]

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〔1973年/日本〕


フランスの田舎町。
冬になると、雪に閉ざされるこの地で、
若い女の他殺体が発見される。


女はこの町とは無関係の人間で、
都会から来たらしい。
雪の上で殺され、
金が奪われていた。


判事のアラン・ドロンは、
事件を調査する為に、町に赴く。
殺人現場から一番近い農家に目を付けたドロンは、
そこの家族から、
聞き取り調査を行う。


その家を取り仕切る、主婦・シモーヌ・シニョレは、
自分の家族は事件とは無関係だと言い、
息子のアリバイを証言する。


彼女が庇った息子は、
嫁とうまくいっておらず、
彼は妻と都会に出て、関係を修復する事を切望していた。
しかし、そのための資金が無く、
シニョレに、土地を売って金を作ってほしいと、
前々から願っているのだ。


シニョレとドロンは、
静かな攻防を繰り広げ、
また、シニョレの家の問題点があぶり出されてくる。
犯人は誰なのか。
家族はどうなるのか・・・。





「年上の女」のレビューで、
最近見た俳優さんを、
すぐ直後に別の映画で偶然観て、驚く事があると
書いたのだけれど、
またまたビックリ。


今度は、「年上の女」で、主人公と懇意になる年上の女役の
シモーヌ・シニョレと、この映画でまたお目にかかってしまった。
「年上の女」の時は、35歳の人妻の役を
美しく演じていたけれど、
この映画では、
もう孫のいる、中年女性の役だった。
公開時、52歳だから、当然なのだけれど。


でも、年を重ねても、
とても素敵な事に変わりはない。
悪女のイメージの強い彼女だけれど、
この映画では、
農家の強い母親を堂々と演じていた。


彼女は息子を信じてはいるけれど、
疑う気持ちが全くゼロではない。
さらに、息子と上手くいっていない、
息子の嫁をよく思っていない。
男の子を持つ母親にしたら、
「もっと息子を大切にしなさいよ!」と
言いたい所なのであろう。
どこの国でも、嫁と姑の関係は変わらない。


アラン・ドロンも、
紳士な判事の役がハマっていた。
事件の調査をしているとはいっても、
無理な事をするわけではなく、
とてもスマートに対応する。


だからシニョレの家の事情も、
強引に聞き出したわけではなく、
自然な流れで分かっているという感じ。


ラストはあっけない。
事件の解決より、
ドロンとシニョレの競演を観る為の映画な気がする。


評価 ★★★☆☆

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