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「ブラックブック」 [映画]

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〔2006年/オランダ〕


1944年。
オランダはナチスドイツの占領下となり、
ユダヤ人たちは逃げる以外、
生きる道が無い時代・・・。


美人歌手・カリス・ファン・ハウテンは、
ユダヤ人の逃亡を手引きするという男・ピーター・ブロックの
言葉を信じ、
指定された船着場に行く。
そこには、多数のユダヤ人が集まっており、
両親や弟とも再会する。


船は出発するが、夜、なぜかドイツ軍の船が待ち伏せしており、
銃を乱射する。
川に飛び込んだハウテンだけがかろうじて助かるが、
家族を含む全員が死亡。


その後、彼女はレジスタントのグループに入る。
ナチスの情報を探るため、
名前を変え、髪を染めた彼女は、
ドイツ諜報部の将校・ゼバスティアン・コッホに近付く。


コッホの愛人になったハウテン。
盗聴器を仕掛け、
情報を仲間に流す彼女だったが、
コッホは、良識ある紳士で、
流血を好まない、
ナチスらしくない、真っ当な人間であった。


コッホの人柄に触れるにつれ、
彼に惹かれていくハウテン。
しかし、状況は最悪の様相を呈してくる・・・。





観ている最中も、観終わった後も、
気分が落ち込んで、
中々這い上がれなかった。


カリス・ファン・ハウテンは、
船に乗る前に、
自分の金や宝石を、預けていた人間から受け取るのだけれど、
その際、
「人を信用しない方がいい」と言われる。
この映画は、このセリフこそ全てを表していると言っていい。


信用していた人間が実は敵だったり、
ハウテン自身も、裏切り者と誤解される。
もう、誰も信用できない。
時代のせいもあろうが、
頼れる者など、誰もいやしない。


船着場で、彼女が両親と弟に再会した時の、
涙が出そうになるくらい嬉しい気持ち、
そしてその後、目の前で家族が撃ち殺される場面、
天国から地獄に落とされたような、
その状況に、
私なら、自分もこの場で死んだ方が楽だと思ってしまうかもと、
そこまで考えてしまった。


その後も、ハウテンは、
数奇な運命に操られ、
想像を絶するような体験をしながら、
それでも何とか生き延びる。
人はどんな状況でも、
やっぱり生きる道を模索してしまう。
それが「生きる為に生きる」という事なのだろう。


監督はポール・バーホーベン。
この監督のイメージといえば、
私は、「スターシップ・トゥルーパーズ」が一番なのだけれど、
(あれはあれで、大好きだけど(笑))
こんな映画も作れるのだと、
ちょっとビックリ。
出身国であるオランダで、
このような過去があった事を、
伝えたかっただろうか。


評価 ★★★★☆

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