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「勝利と敗北」 [映画]

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〔1960年/日本〕


ラピュタ阿佐ヶ谷で観た。

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あるボクシングの試合後、
チャンピオンが突然引退を発表。


ボクシング協会は、早急に新しいチャンピオンを
決めなければならない。
ランキング上位の者から決定できればいいのだが、
そう簡単にいかないのは、どこの世界も同じ。


特に、山村聡の経営するジムでは、
ランキング1位の川口浩と、
ランキングは7位だが、
川口とは実力伯仲の本郷浩次郎がおり、
山村はどちらを推薦するかで悩む。


川口は、真面目な性格で、
昼間は自動車工場で働く青年。
しかし本郷は、複雑な家庭環境のせいでグレており、
練習に身が入らない。
そのせいで、実力はあるのにランクが上がらないのだ。


川口には恋人・若尾文子がいるが、
彼女は川口に引退を望んでいる。
普通に結婚し、普通に暮らすのが彼女の夢だ。
しかし、川口は結婚を引き伸ばす。
若尾はもう待てないと、別れを告げる。


結局、川口が選ばれ、本郷は荒れる。
そんな彼に、ヤクザの安部徹が近付いてくる。
自分の所に来ないかと、本郷を誘ってきたのだ。


紆余曲折の末、
川口と本郷はリングで相対する。
勝つのはどちらなのか・・・。





意外に見応えのあるボクシング映画。
ストーリーもしっかりしているし、
登場人物たちの、
誰の気持ちも分かり、
誰にでも感情移入がしやすい。


超個人的な難を言えば、
川口浩様が、名前の一番上になっているのに、
実質的な主役が本郷浩次郎なところ(笑)。
それから、若尾文子さんも、
思っていた以上に出番が少なかった。
ネットで色々な感想を読ませていただいていたら、
これはスケジュールの都合ではないかと書かれていた方がおられた。
浩様と本郷さんの役が入れ替わったら、
もっともっと良かったのになぁと、勝手に妄想。
けれどそれは、私のワガママというものね(笑)。


最近は、普通のアイドルでも、
体を鍛えすぎ、筋肉付けすぎな気がしてならないのだけれど、
それと比べてしまうと、
ボクサー役の皆さんは、ヒョロヒョロしているようにも見える。
けれど、まぁ、こんなものだと思って見れば、
特に問題はないし、
試合のシーンは、結構迫力があった。


野添ひとみさんが、
この映画では、浩様の妹を演じている。
1960年といえば、2人が結婚した年。
兄妹役だなんて、
きっと2人とも可笑しかっただろうなぁと、
勝手に推察する。
2人は雰囲気も似ているので、
全然違和感もなく、可愛かった。


当時はまだ、家庭にテレビがなかったのだろう。
喫茶店で浩様の試合を夢中で観戦する若尾さん。
けれど、後から入ってきた若い女の子の集団に
チャンネルを変えられてしまい、
テレビを求めて町を彷徨う。
そんなシーンからも、時代が読み取れる。


また別の日にも、同じ喫茶店で試合を観戦。
「あの人、よほどボクシングが好きなのね」と、
噂されるシーンに笑える。
若尾さんの風貌とボクシングが合わないので、尚更。


浩様のお母さん役が浦辺粂子さんだったり、
新珠三千代(めっちゃ綺麗だった)や、
船越英二さん、高松英郎さんなどなど、
スターがちょい役で出ていて、そういう面でも豪華。


評価 ★★★★☆

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