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「燃えつきた納屋」 [映画]

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〔1973年/日本〕


フランスの田舎町。
冬になると、雪に閉ざされるこの地で、
若い女の他殺体が発見される。


女はこの町とは無関係の人間で、
都会から来たらしい。
雪の上で殺され、
金が奪われていた。


判事のアラン・ドロンは、
事件を調査する為に、町に赴く。
殺人現場から一番近い農家に目を付けたドロンは、
そこの家族から、
聞き取り調査を行う。


その家を取り仕切る、主婦・シモーヌ・シニョレは、
自分の家族は事件とは無関係だと言い、
息子のアリバイを証言する。


彼女が庇った息子は、
嫁とうまくいっておらず、
彼は妻と都会に出て、関係を修復する事を切望していた。
しかし、そのための資金が無く、
シニョレに、土地を売って金を作ってほしいと、
前々から願っているのだ。


シニョレとドロンは、
静かな攻防を繰り広げ、
また、シニョレの家の問題点があぶり出されてくる。
犯人は誰なのか。
家族はどうなるのか・・・。





「年上の女」のレビューで、
最近見た俳優さんを、
すぐ直後に別の映画で偶然観て、驚く事があると
書いたのだけれど、
またまたビックリ。


今度は、「年上の女」で、主人公と懇意になる年上の女役の
シモーヌ・シニョレと、この映画でまたお目にかかってしまった。
「年上の女」の時は、35歳の人妻の役を
美しく演じていたけれど、
この映画では、
もう孫のいる、中年女性の役だった。
公開時、52歳だから、当然なのだけれど。


でも、年を重ねても、
とても素敵な事に変わりはない。
悪女のイメージの強い彼女だけれど、
この映画では、
農家の強い母親を堂々と演じていた。


彼女は息子を信じてはいるけれど、
疑う気持ちが全くゼロではない。
さらに、息子と上手くいっていない、
息子の嫁をよく思っていない。
男の子を持つ母親にしたら、
「もっと息子を大切にしなさいよ!」と
言いたい所なのであろう。
どこの国でも、嫁と姑の関係は変わらない。


アラン・ドロンも、
紳士な判事の役がハマっていた。
事件の調査をしているとはいっても、
無理な事をするわけではなく、
とてもスマートに対応する。


だからシニョレの家の事情も、
強引に聞き出したわけではなく、
自然な流れで分かっているという感じ。


ラストはあっけない。
事件の解決より、
ドロンとシニョレの競演を観る為の映画な気がする。


評価 ★★★☆☆

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