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「アルキメデスの大戦」 [映画]

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〔2019年/日本〕


昭和8年。
軍事路線を歩み始めた日本。
海軍は、戦艦大和の建造を計画するが、
山本五十六(舘ひろし)は、
それに反対する。


巨大戦艦の建造がいかに無駄遣いか、
それを証明するため、
山本は、数学の天才と言われる、
帝大中退の青年・櫂(菅田将暉)に、
見積りの再計算を依頼する。


しかし、櫂は大の軍隊嫌いで、変わり者。
最初は頑なに拒否していたが、
山本の熱心な言葉に心動かされ、
帝国海軍の中枢に飛び込んでゆく・・・。





試写会で観た。


今の邦画の戦争ものは、
どうも、しゃっちょこばってばかりで、
あまり好きではないので、
この映画もどうかな、と思っていたのだけれど、
とても面白かった。


親に対しても敬語を使うような、
最近の戦争ものに、
「いくら昔だって、そんなわけないだろ」という思いでいたけど、
この映画は、
笑いの要素が多分にあり、
130分と長いけど、
え!もう終わり!?と思うくらい、
あっという間。


菅田将暉くん演じる、
天才数学者、というのが、
それはそれは凄くて。


彼は、常にメジャーを持ち歩き、
ありとあらゆる物の長さを計測する。
彼の部下についた、柄本佑くんに、
「君、物の長さを測りたいと思わないの?
 へー、変わってるね」と、
のたまうくらい。
変わってるのは、お前じゃ(笑)。


そんな菅田くんだから、
横須賀に行って、本物の軍艦に乗り込んで、
そこかしこを測りまくって、
なんと、大和の図面を予測で製作してしまう。


その後も色々あり、
菅田くんの、
天才っぷりに目を見張るばかりなのと、


とにかく、時間に追われる内容で、
「早く早く」と、
こっちの気が急いてしまう(笑)。


悲しい、悲惨、笑い声は将校の高笑いだけ、
なんていうのでなく、
これからも、
こういう反戦映画が、
どんどん作られるといいのになぁ。


評価 ★★★★☆

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「ニューヨーク 最高の訳あり物件」 [映画]

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〔2017年/ドイツ〕


ニューヨークの超高級アパートで夫・ニックと暮らす、
人気モデルのジェイド(イングリッド・ボルゾ・ベルタル)も、
40歳になり、
デザイナーとして、再出発しようとしている。


ところが、ある日、
ジェイドは、ニックから突然、離婚したいと言われてしまう。
ショックな気持ちのまま、アパートに帰ると、
ニックの前の妻・マリア(カッチャ・リーマン)が、
なぜか上がり込んでいる。


マリア曰く、
自分も、このアパートの所有権を半分持っている、と言う。
生き方も、考え方も、趣味も、
何もかもが合わないジェイドとマリアだが、
問題が解決するまで、
一緒に暮らす事に・・・。





妻が40歳になると、
ポイ捨てして、
若い女に走る癖のある男。


そして、
共通点は、そんな男を夫にしたというだけの、
2人の女、ジェイドとマリア。


マリアは、ジェイドよりずっと年上って事もあるけど、
とても落ち着いている。
だって、今、ジェイドが苦しんでいる事を、
自分も40歳の時、経験したんだもの。
しかも、ジェイドが原因で。


2人に所有権があるという、
超高級アパートを、
ジェイドは、早く売りたくて、
マリアは、絶対売りたくなくて、
ぶつかる。


お金の事だけを考えたら、
部屋を売って、
その収益を
2人で綺麗に半分こに分けるのが
ベストなんだろうけど、


でも、そのアパートってのが、
とっても素敵で、
手放すのが惜しいんだな。


近代的なピカピカのマンションではないんだけど、
古さに趣があって、
広くて、
メゾネットになってて、

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もし、私が、この部屋を誰かからタダでいただける、
なんて事になったら、
大喜びで、貰っちゃうな(笑)。
不動産、大好きだし。


この映画、
予告と本編のイメージが、
ちょっと違うような。


予告だと、
ジェイドとマリアがタッグを組んで、
ニックに仕返しして、
胸がスッとする、と取れるんだけど。


でも、ニックはまるでギャフンと言う事もなく、
映画は終わった。
ちょっと肩透かしかも。


評価 ★★★☆☆

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「女たちの庭」 [映画]

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〔1967年/日本〕


日本橋で織物問屋をする石塚家。
主の宗一郎(小沢栄太郎)
妻の綾子(高峰三枝子)
長女・初子(小畑絹子)
次女・悠子(香山美子)
三女・いずみ(生田悦子)
そして、
初子の夫や子供たちがいて、
にぎやかだ。


悠子は、もう何度も見合いをしているが、
中々、結婚に踏み切れずにいる。
そんな中、
宗一郎の友人・真山が親代わりになって育てたという、
加川(山口崇)が家にやって来る。


宗一郎は、加川を気に入り、
悠子の婿にどうかと考える。
しかし、真山の名前を聞いた途端、
綾子の顔色が密かに変わった事に
気付く者はいなかった・・・。





出だしはコメディタッチ。


石塚家に遊びに来た、
加川を気に入り、
自分が付き合いたいと言い出す、
三女のいずみ。


そうなると、
急に惜しくなったのか、
年上の私に権利があるとばかりに、
張り合い出す、次女の悠子。


でも、話は少しずつ、
シリアスな方向へ。


父の友人・真山との間に、
なにやら秘密があるっぽい母。
その事に、娘たちは気付いていくんだけど、
ショックは受けても、
家庭が決定的に壊れることはない。


そして、全ては、
女たちの中だけで帰結する。
タイトル通り、
主役はあくまで女。
男は女の人生の添え物(笑)。
だって、一度だって、
「お父さんが可哀想」なんてセリフはなかった(笑)。


そんな「お父さん」を演じている、
小沢栄太郎さんが良かったなぁ。
悪役の多い小沢さんだけど、
この映画では、
とってもいい父親を演じていた。


普通に考えたら、
泥沼な話を、
「さわやか」とポスターに書いてある所が凄い。
だって、まさかの托卵よ(笑)。
いや、私は、咎める気は全くない。
人生、秘密が多いほど、
スリリングで楽しいではないか。


それから、ポスターを見て、
倍賞千恵子さんも、
この家族の一員なのかと思ったら、
香山美子さんの友人役で、
出番はそう多くはなかった。
文字通りの「友情出演」であった。


評価 ★★★☆☆

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「ハウス・ジャック・ビルト」 [映画]

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〔2018年/スウェーデン〕


雪の山道を車で走っていたジャック(マット・ディロン)は、
途中、車が故障して困っている女(ユマ・サーマン)を助ける。
しかし、女の無神経な発言にカッとなった彼は、
女を殺し、
その遺体を、自身が所有する冷蔵倉庫に入れる。


次に、ある未亡人の家に、
保険の調査員を装って入り込んだジャックは、
未亡人を殺し、
また遺体を、冷蔵倉庫に保管。


その後、12年間、
ジャックは殺人を繰り返し、
遺体は必ず、冷蔵。
彼が行き着いた先は・・・。





カンヌ映画祭では、
100人以上が途中退出、
しかし、最後まで観た人からは、
スタンディングオベーションが起こるほど大絶賛だったと言われる、
ラース・フォン・トリアー監督の衝撃作。


ハリウッドでは、
どんな内容の映画でも、
幼い子供だけは殺さない、という、
暗黙のルールがあると聞いたことがあるけど、
(真偽は分からぬが)
デンマーク人の監督は、そんな事はお構いなし。
子供だろうが、女だろうか、関係ない。
殺して殺して、殺しまくる。


私がシリアルキラーに興味がある事は、
ここでも時々書いているけれど、
何人もの人を殺す人って、
ある種の悪運が強いのかも、と思った。


なにせ、このジャックさん、
2回目の殺人のあと、
車で遺体を引き摺って、
自分の倉庫に運ぶんだけど、
なんと、路上には、
延々と血の跡が。
(ポスター参照)


それが証拠となって、捕まっていれば、
その後の殺人はなかったはずなのに、
すごいタイミングで、
突然の豪雨が!
血は綺麗に洗い流され、
ジャックさんは、その後も殺人を続行できることに。
あれこそ、「恵みの雨」だと思ったわ(笑)。


それから、
ジャックさんが、強迫性障害っぽいのが、
ちょっと可笑しい。


彼は殺人を犯したあと、
「椅子の下に血の跡が残っているかも」とか、
「壁の絵に血が飛び散っているかも」とか、
考えちゃって、
現場から去ろうにも、
去る事ができない。


そんなに気になるなら、
殺さなければいいのに、と思うのは、
素人考えね。
私のような凡人には計り知れない野望が
彼にはあるのだから。


ラストの解釈は、
私にはよく分からなかったけど、
分からなくていいのかも。


だって、そもそも、
シリアルキラーの葛藤なんて、
分かりたくても、分からないのが当たり前だろうし。


評価 ★★★☆☆

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「ブレス あの波の向こうへ」 [映画]

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〔2017年/オーストラリア〕


1970年代。
仲良しの少年2人、
パイクレット(サムソン・コールター)とルーニー(ベン・スペンス)は、
日々、刺激を求めて動き回っていた。


そんな彼らは、
ある日、
サンドー(サイモン・ベイカー)というサーファーと知り合い、
サーフィンを教えてもらう事に。


サンドーの妻・イーヴァ(エリザベス・デビッキ)が
大変に魅力的な事もあり、
2人は、サンドーの家に入り浸るようになる。


パイクレットとルーニーは、
次第にライバル心を燃やすようになるが、
そんなある日、
パイクレットを打ちのめすような出来事があり・・・。





試写会で観た。


上映前に、
原作を翻訳した、
佐和田敬司さんと、
映画ライターの新谷里映さんによる
トークショーがあった。

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お二人は、


「オーストラリア映画というと、
どうしても、
”マッドマックス”的なものを思い出す方が多いだろうけれど、
実は素晴らしい映画が沢山ある。


オーストラリア出身でハリウッドで
大活躍している、
ヒュー・ジャックマン、ニコール・キッドマン、
ラッセル・クロウなどの俳優さんも沢山いる。


これを機会にオーストラリア映画をぜひ観てほしいです」
と語られる。


この映画は、
オーストラリアの海辺の街を舞台に、
サーフィンに夢中になる、
少年の成長物語。


といっても、サーフィンだけがメインではなく、
人間の心の葛藤や、
性のめざめなどが、
これでもか、と描かれ、
太陽と海の明るい映画、と考えると、ちょっと違う。


友人と同時に始めた趣味で、
最初は、切磋琢磨してやっていたのに、
片方だけが選ばれる、というような出来事があって、
それは、辛いなぁと思ったり。


でも、人間万事塞翁が馬だ。
結果的に、
選ばれなくて良かったじゃないか、思えるラストで。


サーフィンの場面は、
さすがに見応えがある。
あんな風に波に乗れたら、
気持ちがいいだろうな。


と、サーフィンのメッカ・辻堂に住んだことがあるのに、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2019-03-24
一度もした事がない私が言ってみる(笑)。


評価 ★★★☆☆

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