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「にっぽん実話時代」 [映画]

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〔1963年/日本〕


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高島忠夫さんが亡くなられました。


下書きに入っていた、
高島さん主演の映画をアップしてみたのですが、
いつもの、明るいイメージの高島さんと違って、
この映画では、
結構、嫌な役を演じておられました。


バラエティー番組の司会などをされる前は、
高島さんは、いい映画に沢山出ていたのですよね。
またお一人、
素晴らしい俳優さんを失って、淋しいです。

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出版社の社長・平田昭彦は、
売り上げの伸びない経済誌に見切りをつけ、
大衆雑誌の出版に方向転換する。


新編集長に高島忠夫を据えると、
高島は、
「どんなスキャンダルでもいい。
 煙が立っていなかったら、火を点けてでも 
 煙を立たせろ」と
社員に発破をかける。


初めは抵抗していた社員たちだが、
次第に高島の考えに染まり、
でっち上げの記事を書き、
雑誌の売り上げは上昇するが・・・。





ありもしない事を、
さも、本当にあったかのように雑誌に書き、
書かれた人の、その後の人生が
どうなっても知らんぷり。


そんな、なりふり構わない編集長を、
高島忠夫が演じる、
雑誌社の内幕もの。


なにせ、婚約して、幸せいっぱいの若い女優に、
堕胎した事があるだの、
他に男がいるだのと、
100%嘘の記事を書いて、
自殺未遂にまで追い込み、


トルコ嬢を買収して、
店内の会話を録音させ、
それをソノシートにして
雑誌の付録にするなど、
やり方が酷いったらない。


このまま行ったら、
この人たち、バチが当たる、と思いながら観ていたら、
あれ?
ちょっと話が違う方向へ。


あるルートから、
銀行が不正融資をしている事を知った、
高島忠夫と、部下たちが、
巨悪に立ち向かっていく、という展開に。


結局そうなるのか。
それより、下世話なら下世話のまま、
高島忠夫たちに、
何らかのお咎めがあった方が、
面白かったかもしれない。


だって、彼らに、
人生をめちゃくちゃにされた人達はどうなるの?
その人達の、「その後」はまるで描かれていない。
私には、不正融資なんかより、
そちらの方が大問題に思える。


それにしても、
他人のスキャンダルを暴いて、
それを楽しむ大衆という形は、
今も、全然変わっていないけれど、


ネットがある分、
むしろ、今の方がずっと大変な気がする。


昔は、雑誌にスキャンダルが出たって、
3ヶ月もすれば、
そんな事はみんな忘れてしまうけど、
1度ネットに載ってしまうと、そうはいかない。
噂は永遠に、ネットに残ってしまう。


それに、今は、
書き手は、雑誌社のライターだけではない。


正義感に溢れた人々が、
他人の1ミリのミスも許さない、見逃さないといった体で、
他人を叩きまくる。
匿名な分だけ、
責任もなく、雑誌より怖い。


それを書いている人達だって、
みんながみんな、
完璧に生きているわけではあるまいに。
・・・って、私も人の事は言えないけど。
何か思う所があると、
ヤフコメや2ちゃんねるに書き込みしちゃう事もあるし(笑)。


評価 ★★★☆☆

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