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「北の果ての小さな村で」 [映画]

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〔2017年/フランス〕


デンマークで暮らす28歳の教師・アンダースは、
グリーンランドの東部の村、チニツキラークの小学校に
赴任する。


軽い気持ちで、かの地に行ったアンダースだが、
考えが甘かったことに、
すぐ気付かされる。


酷寒の慣れない生活、
よそ者を受け入れない人々、
言う事を聞かない生徒・・・。
アンダースは、この土地にすぐ嫌気が差す。


そんな中、
生徒の一人・アサーが、
一週間も学校を欠席し・・・。





試写会で観た。


フィクションとノンフィクションが混ざったような、
ドキュメンタリーにも近い映画。


教育ってなんだろうと、
考えずにはいられない。


教師として赴任したアンダースが、
学校に来ない生徒・アサーの家を訪ねると、
祖母が言う。


「アサーは、祖父に付いて、
 一週間、猟に出ている。
 人生で必要な事は、全て祖父から教わる。
 それは学校に行くより重要な事だ」と。


確かに、グリーンランドの猟師になるには、
読み書きや計算より、
犬ぞりの走らせ方、
アザラシの捕らえ方や捌き方のを学ぶ方が
ずっと大事だ。
それが生きる事に直結する。


それから、
グリーンランドの人々が、
事あるごとに、
「これだからデンマーク人は」とか、
「ここはデンマークじゃない」などと言うのも、
なんだか他人事とは思えずに観ていた。


隣り合ったり、近かったりする国同士って、
なぜか揉めやすい。
そして、そこに、
昔、植民地にしてたとか、されたとか、
そんな理由が加えられると、
さらに拗れる。


日本も、某隣国と、
今、最悪の状況にあるらしいけど、
きっと、地球規模で見たら、
「よくある事」の一つなだけなんだろうなぁ、と。


映画も楽しみだったけど、
上映後のトークショーがめっちゃ楽しみだった。
ゲストに、エッセイストの能町みね子さんが登壇されたのです。
能町さんの本は何冊か読んでいます。
特に、「お家賃ですけど」は最近読んだばかりで、
なんだかタイムリーな感じで嬉しい。

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生で見る能町さんは、
テレビやお写真で見る印象より、
さらにお綺麗で、
思わず「うわぁ、素敵」と
ひとりごと言っちゃいました。

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能町さんは、
「逃北〜つかれたときは北へ逃げます」という本を書かれているくらい、
何かあると、北の方に逃げたくなるという方で、
その理由について、


南に住まわれているかたは、
どこかで、
南を誇りに思っているようなところがあるのだけれど、
北に行くと、
「なんでこんな所に来たの?」と、住んでいる当人たちが言うくらい、
どこか卑下したところがある。
そこがいい、と。
そっかぁ、
そんな風に考えた事はなかったけど、
言われてみると、確かにそんな気もする。


で、そんな能町さんは、
雪深いグリーンランドが大好きで、
長期間旅した事があるそうだ。


お話しを聞いているうちに、私も、
「北、いいかも・・・」と思ったりして、
まったく、すぐ影響される女(笑)。


評価 ★★★☆☆

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