「アルファ、殺しの権利」 [映画]
〔2018年/フィリピン〕
フィリピンの警察官・エスピーノは、
情報提供者の若者を囮にし、
薬物組織に踏み込む。
銃撃戦の末、
その場にいた全員を射殺、
作戦は成功したように思えた。
けれど、その際、
エスピーノは、
犯人の遺体から、
ドラッグを盗み、
横流しするつもりで、
情報提供者に、それを渡し・・・。
上映会で観た。
「東南アジア 映画の巨匠たち」というイベントの一本。
フィリピンでは、数年前から、
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、
麻薬撲滅のために、
「超法規的殺人指令」を出している事が、
国際的にも話題になっているけれど、
なんというか、
それをリアルに、
目の当たりに見せられた、そんな感じ。
ドゥテルテ大統領のしている事が、
手放しで「良い事」とは言えないけど、
大統領だって、
何も好きこのんで、
麻薬に関わる人を殺したいと思っているわけではあるまい。
それだけ、フィリピンという国が
薬物に汚染され、
そうでもしなければ、
国が良くならない、
苦肉の策という事ではないかと、想像する。
けれど、麻薬に関われば、
間違いなく殺される、と分かっていても、
それでも関わる人々が、
この映画では、描かれる。
しかも、表向き善人の、警察官まで。
難しい問題だ。
とにかく貧しい。
だから麻薬に手を染める。
でも、国がそれを許さない。
貧しさから抜け出すのが一番なんだろうけど、
じゃあ、どうすればいいのかと言っても、
案もない。
麻薬を運ぶ方法にも驚いてしまう。
果物に仕込んだり、
伝書鳩の足に括り付けるなどは、もう普通、
それどころか、
自分の可愛い赤ちゃんの、
おむつの中にまで入れて、運ぶ。
たとえ自分は犯罪者でも、
せめて子供だけは別の人生を、と、
思わないものかなぁ、と思ったけど、
貧すれば鈍する、ってやつなんでしょうね。
上映後、
ブリランテ・メンドーサ監督のトークショーがあった。
この映画の出演者の殆どは、
プロの俳優さんではなく、
撮影も、
本物のスラムで行われたそうだ。
リアルなはずだわ。
評価 ★★★☆☆
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