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「欲望のバージニア」 [映画]

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〔2012年/アメリカ〕


1931年。
禁酒法時代。
バージニア州・フランクリンでは、
酒の密造が盛んに行われれていた。


この町の3兄弟、
ハワード(ジェイソン・クラーク)、
フォレスト(トム・ハーディ)、
ジャック(シャイア・ラブーフ)たちも、
密造酒で儲けている。


特に次男のフォレストは、
男気溢れる堅実な性格で、
ハワードも一目置く存在。
しかし、ジャックは、
もう少し仕事の手を広げたいと考えている。


そんな中、
町に新しい取締官・レイクス(ガイ・ピアース)が
就任してくる。
レイクスは高額な賄賂を要求し、
それに従う者も多い中、
3兄弟はそれを拒否。
そのため、レイクスの陰湿な脅しが始まり・・・。





国民性の違いだとは分かっているけど、
アメリカって本当に面白いな、と思う。


禁酒法があるのに、
禁銃法がないなんて、
私の感覚からしたら「逆でしょ」って感じで。
自分の身は自分で守るという事が
根底にあるんだろうけど。


で、禁止されてはいても、
酒が飲みたい気持ちは皆同じ。
だから、密造酒を作る者、
それを売り捌く者が出てくるのは、
当然の成り行き。
上手く立ち回った者は、
大金持ちになれる、という寸法。


主人公の3兄弟は、
「不死身」と噂されていて、
本当に死なない。
ついに死んだ、と思う場面でも死なない(笑)。
そんな馬鹿なと思うけど、
実話なのだそうだ。


ガイ・ピアースが、
変な髪型してて、
キモいのよ(笑)。
で、キモいんだけど、
なんでだか、じーっと見ていたい感じで(笑)。


ピアースの場面だけ、
まとめた映像、ないかな。
なんか、ハマる(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「鶴八鶴次郎」 [映画]

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〔1956年/日本〕


新内語りのコンビ、
三味線の鶴八(淡島千景)と鶴次郎(高田浩吉)は
その優れた芸で、大変な人気を誇っている。


2人は、普段は仲が良いのだが、
芸の事になると、
絶対に譲歩せず、
大喧嘩を繰り返す。


そんなある日、鶴八は、
ご贔屓の松崎(山村聡)から嫁に欲しいと申し出される。
松崎は、人柄も家柄も申し分ない相手。
鶴八がその事を鶴次郎に打ち明けると、
鶴次郎は、「昔からお前が好きだった」と恋の告白。
その言葉を待っていた鶴八は、嬉し涙。


鶴八と鶴次郎の結婚が決まるが、
つまらない理由で鶴次郎が激昂。
2人は本当に別れてしまい、
鶴八は松崎の妻になる。


2年後。
松崎の妻として、
不自由のない生活をしていた鶴八に、
一度だけ、鶴次郎と舞台に出ないか、という話が持ち上がり・・・。





4年前、
山田五十鈴と長谷川一夫の、
1938年版の方を観て、
めちゃくちゃ感動し、
 ↓
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2015-08-29
リメイクされた、
この1956年版もぜひ観たいと思っていたのだけれど、
願いがやっと叶った。


とはいえ、
やっぱり1938年版の印象が強烈すぎるのかなぁ、
こちらが凡作に感じられてならない。


そもそも、長さが全然違う。
1938年版が89分だったのに対して、
こちらは125分。
なんだかダラダラしている印象が否めない。
この映画だけ単品で評価すれば、
名作だと思うのだろうけど、
どうしても、あちらと比べてしまうから分が悪い。


これらの映画が作られた当時、
まさか、このような鑑賞のされ方をする未来が来るとは、
予想もしていなかっただろうなぁ。


もちろん、こちらの映画にも
良い所はいっぱいある。


鶴八と鶴次郎が、
別れる事になった理由の伏線が
こちらではきっちり描かれている。
それが、上映時間が長くなった原因でもあるけど、
なるほど、そんなサイドストーリーがあるのかと納得。
おそらくそれは、
川口松太郎さんの原作に書かれているのだろうと想像する。


淡島千景さんと高田浩吉さんの
コンビネーションもいい。
2人は芸の事になると、
それはもう、大変な喧嘩をするのだけれど、
少し頭が冷えると
「ごめんね。てへ」って感じで謝るのよ。
それが可愛くて。


周囲の人たちは、なんとか2人に喧嘩をさせまいと、
「芸の話はするなよ、するなよ」と、
そればかり気にしていて、笑える。


観終わって、色々調べていたら、
この映画の元になったという洋画があると
書かれている方がいた。


それって本当?
まったくキリがない。
1つの映画を観ると、
芋づる式に(言葉の使い方間違ってる?(笑))
別の映画のタイトルが出てくる。
観たくてたまらなくなる。
都内に1件、在庫しているレンタル店があるようだ。
今度行ってみよう。


評価 ★★★☆☆

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「アルファ、殺しの権利」 [映画]

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〔2018年/フィリピン〕


フィリピンの警察官・エスピーノは、
情報提供者の若者を囮にし、
薬物組織に踏み込む。


銃撃戦の末、
その場にいた全員を射殺、
作戦は成功したように思えた。


けれど、その際、
エスピーノは、
犯人の遺体から、
ドラッグを盗み、
横流しするつもりで、
情報提供者に、それを渡し・・・。





上映会で観た。


「東南アジア 映画の巨匠たち」というイベントの一本。

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フィリピンでは、数年前から、
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、
麻薬撲滅のために、
「超法規的殺人指令」を出している事が、
国際的にも話題になっているけれど、


なんというか、
それをリアルに、
目の当たりに見せられた、そんな感じ。


ドゥテルテ大統領のしている事が、
手放しで「良い事」とは言えないけど、
大統領だって、
何も好きこのんで、
麻薬に関わる人を殺したいと思っているわけではあるまい。


それだけ、フィリピンという国が
薬物に汚染され、
そうでもしなければ、
国が良くならない、
苦肉の策という事ではないかと、想像する。


けれど、麻薬に関われば、
間違いなく殺される、と分かっていても、
それでも関わる人々が、
この映画では、描かれる。
しかも、表向き善人の、警察官まで。


難しい問題だ。
とにかく貧しい。
だから麻薬に手を染める。
でも、国がそれを許さない。
貧しさから抜け出すのが一番なんだろうけど、
じゃあ、どうすればいいのかと言っても、
案もない。


麻薬を運ぶ方法にも驚いてしまう。
果物に仕込んだり、
伝書鳩の足に括り付けるなどは、もう普通、
それどころか、
自分の可愛い赤ちゃんの、
おむつの中にまで入れて、運ぶ。


たとえ自分は犯罪者でも、
せめて子供だけは別の人生を、と、
思わないものかなぁ、と思ったけど、
貧すれば鈍する、ってやつなんでしょうね。

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上映後、
ブリランテ・メンドーサ監督のトークショーがあった。


この映画の出演者の殆どは、
プロの俳優さんではなく、
撮影も、
本物のスラムで行われたそうだ。
リアルなはずだわ。


評価 ★★★☆☆

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「シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢」 [映画]

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〔2018年/フランス〕


うつ病のベルトランは、
会社を辞め、ひきこもり気味な毎日で、
子供たちからも、馬鹿にされている。


彼は町の公営プールで、
男子のシンクロナイズドスイミングのメンバーを募集している事を知り、
参加してみようと決意する。


しかし、メンバーは、
ベルトラン同様か、それ以上に、
私生活に問題を抱えた奴らばかり。


彼らは、2人の女性コーチの指導の元、
無謀にも、
世界選手権を目指す事になるが・・・。





試写会で観た。


男性のシンクロナイズドスイミングというだけで、
大丈夫かいな、と思うのに、
さらに、そのメンバーというのが、
中年のオッサンたちで、
殆どの皆さんが、
お腹が出たような方たちばかり。


趣味でしているなら、
それもありかな、と思うけど、
世界選手権を目指すってんだから、
応援していいんだか、
笑っていいんだか、
分からなくなる(笑)。


シンクロがメインの映画だけど、
メンバーの私生活が、丁寧に描かれ、
中には、
私の悩みと少しかぶる人もいたりして、
あぁ、分かるなぁ、と。


肝心の、
シンクロそのものの練習場面はあまりなく、
ジョギングなど、
基礎体力をつける練習の場面が多い。


どうやら、映画の観客にも、
凄いものを見せて、
驚かせよう、という手法らしい(笑)。


で、本番なんだけど、
まず、彼らの選曲に、うわー!とやられちゃう。
フィリップ・ベイリーとフィル・コリンズの
「イージー・ラヴァー」よ!
なんていいセンス。
嬉しくて、顔が笑っちゃって、
スクリーンを見ながら、
手を叩きたくなるのを、こらえた。


彼らの大会での結果は書かないけど、
日本のチームが出ていたのも、
かなり嬉しかった。


しかも、相当上手いらしく、
途中まで、
トップの位置にいる。


多分、あの終わり方だと、
日本もメダルをもらえたような。
架空の話とはいえ、
日本や、日本人が立派だと
本当に誇らしい気持ちになる。


評価 ★★★☆☆

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「パピヨン」 [映画]

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〔2017年/アメリカ〕


1931年。
胸に蝶の刺青を入れている事から、
「パピヨン」と呼ばれる男(チャーリー・ハナム)は、
金庫破りだったが、
仲間の裏切りにより、
殺人犯に仕立て上げられ、逮捕されてしまう。


終身刑の判決を受けた彼は、
脱獄不可能と言われるフランス領ギアナのデビルズ島の監獄に
送られる船の中で、
ドガ(ラミ・マレック)と知り合う。
ドガは紙幣偽造の罪で、同じく島流しになったのだ。


デビルズ島の環境は劣悪で、
囚人たちは虫けら扱い。
脱獄を試みた者は、
1度目は、2年間、
2度めは、5年間の独房暮らしを強いられ、
島で殺人を犯した者は、即日処刑というルールがあった。


パピヨンは、
脱獄を実行するも、失敗。
独房に入れられ、
地獄のような2年間を過ごすが、
出された後も、
何度も脱獄を試み・・・。





1973年の、
スティーブ・マックイーン主演のオリジナルは、
10年くらい前に、市民上映会か何かで観た。


ただ、世間で名作と言われているほどには、
感動しなかった事を思い出す。
ほぼ、記憶にもないので、
映画日記を調べてみたら、
なんと、ビックリ。
それなりに感想らしい事が書いてあるじゃないか。
観た直後に書いて、
書いた途端、すっかり記憶から消え去ったのかもしれない(笑)。


なので、ほぼ初めてという気持ちで、
この映画を観る。
オリジナルで感動されたかたには、
もしかしたら物足りないかもしれないけど、
これはこれで、
なかなか面白かった。


脱獄不可能と言われ、
失敗したら、厳しい罰が待っているのに、
それでも、何度も何度も、
逃げ出そうと試みるパピヨン。


もし彼が、本当に殺人を犯しているなら、
自分が悪いんだから諦めなよ、と思う所だけれど、
彼は無実なわけで、
だから、応援したくなる。


最初の見どころは、2年間の独房生活。
あぁ、人間があんな所に入れられたら、
おそらく精神のバランスを崩す。
実際、死んでゆく者が多数。
オリジナルでは、栄養補給のために、
虫なんかを食べていたようだけど、
本作では、そのようなシーンはなかった。
そういう壮絶な場面がないと、
これだからリメイクは、と言われてしまいそうな気もするけど。


私は、パピヨンが、
最後に送られた、「悪魔島」の場面が好きだな。
ここはもう、
刑務所長も、看守も手に負えない囚人が最後に送られる島で、
監視者は誰もいない。


ここにいる囚人たちは、
精神に異常をきたしている者が殆どで、
むしろ、静かで、平和。


パピヨンは、ここでドガと再会するんだけど、
ドガは、ここでの生活を謳歌しているようで、
脱獄より、ここで一生を終えたい、と言う。
ドガのような繊細な人は、
それもありかと思うし、
幸せそうにも見える。


これは、実話だというから驚き。
これを書いたアンリ・シャリエールは、
自分の体験を本にしたのだそうだ。
つまり、パピヨンは、
ついに脱獄に成功したって事なのよね。
うーん、すごい。
そして、出版した「パピヨン」が、世界的大ヒット!
うーん、羨ましい(笑)。


もう一度オリジナルを観ようと思う。
今度はきっと、楽しめる気がする。


評価 ★★★★☆

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