「ちょっと今から仕事やめてくる」 [映画]
〔2017年/日本〕
ブラック企業に勤め、
部長からの、
叱責に耐え切れなくなった
青山隆(工藤阿須加)は、
駅のホームで、意識が遠のく。
危うく電車に撥ねられそうになるのを、
助けてくれたのが、
隆と同年代のヤマモト(福士蒼汰)。
ヤマモトは、小学生の時、
隆と同じクラスだったが、
3年生の時、転校したと言う。
隆の記憶は曖昧だったが、
教師の話ですっかり盛り上がる。
ヤマモトのおかげで
明るくなれた隆は、
大口の仕事をゲットするなど、
運が向いてくる。
ところが、
ヤマモトの名前をネットで検索した隆は、
彼がすでに死んでいることを知る・・・。
試写会で観た。
工藤阿須加演じる主人公の、
会社での様子が辛くて辛くて、
観ているだけで、
疲れ果ててしまう。
なんなんだ、あの部長って男は。
なぜあんなに怒鳴る。
なぜあんなに恫喝する。
なぜ物に当たる。
あれは若手の育成や指導ではなく、
いじめだ。
大の男が、公共の場で、
反論できない相手に威張り散らす姿ほど、
みっともない事はない。
この映画のような、
部下に対してもそうだし、
ウェイターさんとか、店員さんとか、駅員さんとかに、
殊更に大きな態度を取る人って、
日頃、どんだけストレス溜まってるのか。
周囲の人間がドン引きして、
「馬鹿な奴だ」と軽蔑している事に気付かないのか。
まさか、「カッコいい?俺」とか思ってないよね?
あれじゃあ、主人公でなくても、
心が壊れてしまう。
会社が嫌だからと、
すぐに辞めてしまうのはどうかと思う場合もあるけど、
この映画のような状況だったら、
「辞めて、他を探した方がいいかも」と
言いたくなる。
電車に飛び込んで亡くなった方のニュースを見る度に、
それで足止め食った方はお気の毒だな、と思ってきたけど、
案外この映画のようなケースも多いのかなぁと、
思ったりもした。
「死のう」という明確な意志はないのだけれど、
何らかの理由で疲れ果て、
全てがもうどうでもいいや、という感じで、
意識が死の方へ引っ張られるみたいな。
いや、だからと言って、
人に迷惑を掛けてはいけないけれど。
それにしても、
福士蒼汰くんって、
こんなにいい演技をするんだ、と
初めて知った。
彼は子供の頃、関西に引っ越したという設定で、
関西弁で喋りまくるのだけれど、
それがめっちゃ明るくて面白い。
彼のような人がいたら、
隆でなくても、明るくなれるような気がする。
ただ、後半の展開は
ちょっと無理があるかなぁ。
私が隆だったら、あの選択はないな。
まぁ、人生、それぞれ自由だけど。
評価 ★★★☆☆