「夕陽が泣いている」 [映画]
〔1967年/日本〕
ミュージシャンを目指す健次(山内賢)ら、
バンドのメンバーは、
仕事を探していたが、
上手くいかない。
そんな中、
一流ギタリスト・伊吹毅(横内章次)の
妹・洋子(和泉雅子)と偶然知り合ったメンバー。
バンドのマネジメントをしたいと言い出した洋子の
申し出を受け、
活動をスタートさせる。
バンドは注目され始めるが、
伊吹が、健次の知り合いのチンピラに刺された事から、
活動停止を余儀なくされる。
健次は旅先で、
楽曲「夕陽が泣いている」を作る。
その曲が認められ、
スパイダースが演奏する事になり・・・。
ミュージシャンを目指す若者たちの、
夢と挫折を描いた、
中々の佳作。
私はGSについて、
詳しいわけではないけれど、
当時も、そして今も、
このような若者は沢山いるのだろうと想像する。
夢を叶えるのは、
才能と努力は勿論だけど、
やっぱり、運に依る所が大きいと、
こういった映画を観ると思う。
もしも、バンドのメンバーが、
洋子と出会っていなかったら、
もしも洋子が、
伊吹毅の妹でなかったら、
などなど、
諸条件が揃っていなかったら、
話は進まない。
そんな偶然、あるわけないさ、
と切り捨てるのは簡単だけど、
偶然って結構ある。
怖ろしいと思うくらいに。
あとは、それをどう利用するかではないか。
伊吹役の横内章次さんがいい。
この方は、
本物のギタリストで、
俳優は本業でないせいなのか、
セリフがちょっと素人っぽい。
それが逆に、
この映画を良い物にしている。
ドキュメンタリーみたいな雰囲気を出すことに
成功させている。
ラスト近い場面で、彼の、
「お前たちを待ってたんだよ」というセリフなんて、
この人は普段から、
こんな風に話すんだろうな、なんて感じさせたりして。
ラスト、
バンドが、スパイダースと同じステージで歌い、
和泉雅子の顔が映る場面が素敵。
「夕陽が泣いている」っていい歌だ。
評価 ★★★☆☆