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「42 世界を変えた男」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


1945年。
第二次世界大戦が終結したとはいえ、
アメリカではまだまだ人種差別が根強く残っていた。


それはメジャーリーグでも例外ではなく、
選手は白人だけ。
そんな状況を打開しようと、
ドジャースのGM・ブランチ・ニッキー(ハリソン・フォード)は、
黒人選手の中から、
ジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)を選び出し、
入団させる。


世間の非難は想像以上に凄まじく、
ファンも、マスコミも、
チームメイトさえも、
ジャッキーの存在を認めない。


しかし、どんな目に遭っても、
ひたすら自分の野球をし、
結果を出してゆくジャッキーに、
人々の意識は少しづつ変わってゆき・・・。





実力さえあれば、
肌の色など関係ない・・・
それがスポーツの世界だと思っていたけれど、
それは今だから言える事で、
昔はそうではなかった、という事を、
実話を元に描いた映画。


まぁ、今だって、
例えばイチロー氏なども、
「人種差別的な事はあった」と言っているくらいだから、
そういう意識は根強いんだろうけれど。


映画の中で一番凄いのは、
ある試合で、相手チームの監督が、
とにかく言葉の限りを尽くして、
ジャッキーを貶める場面。


もし今、公共の場で、
あのような事をしたら、
どれだけ非難されるだろう。
映画を観ているこちらも悔しかったなぁ。
すんごいストレスだと思うわ。


それから観戦に来ていた父親が、
ジャッキーを罵倒し始めると、
最初は迷っていた幼い息子が、
父親の真似をし出す場面。


差別って、やっぱり刷り込みなのね。
そうやって次世代に連鎖してゆく。
人はいつでも、
誰かの優位に立っていたいという
本能があるのかもしれないけど・・・。


野球映画は良いなぁ。
毎度の事だけど、
ファインプレーの場面は、
本気で拍手したくなる。
撮影テクニックの事はよく分からないけど、
何だかとても、撮り方も上手いような気がして、
見入ってしまった。


評価 ★★★☆☆

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「お茶漬の味」 [映画]

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〔1952年/日本〕


佐分利信と小暮実千代は、
結婚8年目の夫婦で、子供はいない。


見合いで出会った2人は、
お互いに価値観が合わないまま結婚し、
なんとなく今日まで来てしまった。
特に小暮は、
生活全般にスマートさのない田舎出身の夫を、
どこか見下している。


小暮は、日々の無聊を慰めるように、
友人の淡島千景や、
姪の津島恵子と遊びまわり、
家事は家政婦に任せきり。
佐分利も、そんな妻を
好き放題させている。


ある日、津島が見合いの席から逃げ出してくる。
津島は、
「愛のない結婚をして、佐分利の夫婦のようにはなりたくない」と言い、
また、佐分利も、
「無理に結婚させても、僕たちのような夫婦が一組増えるだけ」と、
初めて本音のような言葉を発する。


佐分利の発言にショックを受けた小暮は、
置き手紙をして、神戸の友人宅へ遊びに行ってしまう。
ところが、その間に、
佐分利の南米への出張が決まってしまい、
彼は神戸に電報を打つが、
ついに小暮は出発にまでに帰って来ず、
佐分利は出立してしまう・・・。





小津安二郎監督の、
夫婦を描いた作品。


私は今まで、
佐分利信という俳優の良さが
よく分からずにいた。
なんだかぶっきらぼうで、
退屈な演技しかできない人だと思っていた。


でも、この映画では、
彼のそんなイメージがピッタリ合っていて、
すんごく良い。


言いたい放題、やりたい放題の我儘な妻・小暮実千代を、
咎めるわけでもなく、諌めるわけでもなく、
無言で見守っている。
お見合いで結婚した妻には、
今まで激しい感情を抱いた事もないという男の役を、
見事に演じている。


小暮実千代がまた強くて(笑)。
彼女は佐分利がいない所で、
彼を「鈍感さん」などと呼んで、
馬鹿にしている。
そんな小暮を見て、
「見合い結婚は嫌だ」と思ってしまう、
津島の若い娘らしい感情も分からなくはない。
彼女は、
「私は結婚したら、旦那様の悪口なんて絶対言わないわ」と言う。


まぁ、小暮は小暮で、淋しいんでしょうね。
結婚したとはいえ、
夫が自分を愛してくれているとは感じられず、
放っておかれている。
好き放題できるという事は、
どうでもいいとイコールのようなもの。
怒りでもいいから、自分にぶつけてくれたら、
まだ愛情を感じられるだろうに。


小暮は、旅行したり、
歌舞伎に行ったり、野球観戦したり、
遊ぶネタには事欠かないようだ。
何しろ佐分利は、
出世して、お金だけは稼いでくるらしい。
小暮は、自分の家のキッチンに、
何があるのか、
冷蔵庫の中身さえ知らない。
ちょっと羨ましいようなご身分だわ(笑)。


ラストが大変に良い。
誰かと長く一緒に暮らすには、
互いの歩み寄りがとても大切なのだと、
この映画は教えてくれる。


評価 ★★★★☆

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「2ガンズ」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグは、
メキシコマフィアの手先となって働くコンビ。


しかし本当は、
ワシントンは麻薬取締局の捜査官、
ウォールバーグは海軍犯罪捜査局の捜査官。
彼らはお互いの正体を知らずに、
動いているのだ。


ある日、2人は、
ボスの金が保管されいる銀行を襲い、
300万ドルを手に入れようと計画、
実行する。


すると、銀行にあったのは、
予想をはるかに超えた金額、4000万ドル!
ところが、ウォールバーグと一緒にその金が消えてしまい、
裏切られた事を知るワシントン。


しかし、ウォールバーグも、
上司の裏切りで、
その金を失っていた。


再びコンビを組んだ2人は・・・。





デンゼル・ワシントンと、
マーク・ウォールバーグって、
今まで一緒に映画に出ていた事ってあったっけ?と考えてみたけれど、
ありそうで、なさそうで、
なさそうで、ありそうで、
ちょっと確信が持てない。


おそらく、時が経てば、
よくあるアクション犯罪映画の1本になってしまうだろうけど、
なんとなく観る映画としては、
楽しめると思う。


とにかく、
4000万ドルというお札が、
見た目にもハンパない量で、
お金もあそこまでいくと、
ただの「モノ」に見えてきてしまう(笑)。


映画の中でそのような大金を見ると、
ストーリーそっちのけで、
「あのお金が私のものだったら、あれをしてこれをして」と、
ストーリーを追うのと並行して考えてしまうものだから、
頭の中が忙しい(笑)。


そんな大金を、
麻薬取締局と、
海軍情報部と、
CIAと、
メキシコマフィアが
奪い合うわけだけれど、
やっぱり、メキシコマフィア、最高!(笑)。


もともと、メキシコの犯罪物が大好きというのもあるけど、
この映画では、
ある動物を使って、
ワシントンとウォールバーグを拷問しておった。
私だったら恐怖で動けなくて、
2人のような機敏な動きは出来ず、
すぐ殺されてしまうと思うわ。
(この先の人生で、あのような目に遭う事はないとは思うけど(笑))。


評価 ★★★☆☆

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「出来ごころ」 [映画]

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〔1933年/日本〕


子持ちの男やもめ・喜八は、
工場で日雇い労働をする、貧しいが気のいい男。


ある日、喜八は、長屋の隣に住む青年・次郎と、
寄席に行った帰り道、
何か困り果てているような女・春江と出会う。


彼女は、勤務していた会社が潰れ、
身寄りもなく、途方に暮れているのだ。


可哀相に思った喜八は、
行きつけの飲み屋のかあやんに、
春江を泊まらせてやってくれと頼む。


春江の性格の良さを見込んだかあやんは、
そのまま彼女を自分の店で働かせる事にする。


喜八も、春江の気立ての良さと、
その美しさを気に入り、
いい年をして、恋心を抱くようになる。
しかし、春江は、
若くてルックスのいい次郎に惹かれ始めていた。


そんなある日、
喜八の息子が重病になり・・・。





小津安二郎監督のサイレント映画。


これもなかなか面白い。
ラストはどうなるの?という思いで、
ワクワクしながら観る。


喜八と次郎、
喜八と息子。
どうにも女っ気のない日常に(かあやんは別(笑))、
偶然飛び込んできた、春江という女に、
夢中になってしまう喜八の気持ちも、
分からないではない。


でも・・・ね、
年若く美しい春江が、
どう考えても、子持ちの男やもめの喜八と付き合うとは思えないのが、
この作品の、
喜劇でもあり、
悲劇でもある所。
この恋の顛末は、誰が見ても一目瞭然。


次郎がまた、すんごくいいんだな。
喜八の気持ちを知っている彼は、
自分に思いを寄せているらしい春江に、
とてもつれない。


春江がまた、純粋で可愛くて。
彼女がもっと性悪女だったら、
別の展開になっていたんだろうけど、
でも、どんな性悪だとしても、
喜八から奪えるものは、
何も無さそうだしなぁ(笑)。


喜八の息子が病気になった理由がまた、
なんとも・・・(笑)。
病気なのに喜劇というのも、
すごいものだわ。


ラストはちょっと無理矢理な感じがしないでもないけど、
喜八の気性がよく出ていると思えば悪くはない。
いい映画だった。


評価 ★★★★☆

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「キャリー」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


地味で、どこか暗い少女・キャリー(クロエ・グレース・モレッツ)は、
高校でも浮いた存在。


ある日、学校の更衣室で初潮を迎えたキャリーは、
パニックとなり、
女生徒たちから馬鹿にされ、
動画まで撮られてしまう。


彼女の母(ジュリアン・ムーア)は狂信的で、
性を極端に嫌い、
娘の成長をも邪悪なものと決めつける。
他の学友と同じでありたと願うキャリーにとって、
母は彼女の幸せを邪魔する存在のようだ。


更衣室での出来事を動画撮影した少女・クリスは、
その事を教師に叱責され、
プロムへの出席を禁止されてしまう。


一方、キャリーをいじめた事を後悔し始めた女生徒・スーは、
罪滅ぼしのため、
自分のボーイフレンド・トミーに、
プロムのパートナーにキャリーを誘ってやってほしいと懇願、
トミーもそれを承諾する。


学校の人気者、トミーに誘われ、夢心地のキャリー。
しかし、キャリーのせいでプロムに出られなくなったと
逆恨みするクリスは、
ある壮絶な仕返しを思い付き・・・。





1976年に、ブライアン・デ・パルマ監督、
シシー・スペイセク主演で映画化された、
ホラー映画「キャリー」のリメイク版。
比べれば、色々不満はあるだろうけど、
私は結構楽しめた。


ずいぶん前にビデオを観たので、
細かい事は忘れてしまったけれど、
大筋はほぼオリジナルと同じだと思う。


現代の高校生らしく、
ケータイや動画をフル利用というのが、
一番違う点かもしれない。


ホラー映画とはいえ、
内臓がぐちゃぐちゃするわけでも、
モンスターが出てくるわけでもないので、
一般映画とそう変わらない。
何より、
一番怖いのは、モンスターではなく、
人間だという思いを強く持つ。


オリジナルも、本作も、
キャリーへのいじめが辛くて。
多民族国家のアメリカは、
個性を重んじるんじゃないかなんて、
私も子供の頃は思ったものだけれど、
それは夢物語のようで、
やっぱり、みんなと違う子に対しては容赦ない。
いじめの無い国なんてありはしない。


キャリーの母親が、
なんであんなにも性を忌み嫌うのか、
宗教的素養のない私には、
完全に理解できず。
過去に乱暴されたとか、
そのような事も無さそうだし。
スティーブン・キングの原作を読めば分かるのだろうか。


映画的な説得力だけでいえば、
シシー・スペイセクの方がリアルかも。
本作のクロエちゃんは、可愛過ぎ。
あれじゃ、いじめられるような要素が少ない気がするわ(笑)。


それから、
オリジナルでも本作でも、
トミーの運命が個人的に不満(笑)。
あまり詳しくは書けないけれど。


評価 ★★★☆☆

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