SSブログ

「隠された記憶」 [映画]

kakusaretakioku.jpg
〔2005年/フランス〕


TVのキャスター・ダニエル・オートゥイユと、
出版社勤務のジュリエット・ビノシュは、
12歳の息子がいる、恵まれた夫婦。


ある日、彼らの家の前に、
レジ袋に入れられたビデオテープが置かれていた。
そこに映っていたのは、
固定カメラでただひたすら、彼らの家が撮り続けられた映像で、
薄気味の悪さが感じられた。


また、同じ袋には、
子供が口から血を流しているような絵が入っており、
同じ絵は、
職場や、息子の学校にも届けられる。


さらに、2度3度とビデオが届けられ、
警察に訴えた夫妻だが、
実害がないという事で、
相手にしてもらえず、
フラストレーションは溜まるばかり。


そんな中、オートゥイユは、
子供の頃の、ある出来事を思い出していた。
それは、両親が孤児のマジッドという少年を引き取り、
数日間、一緒に暮らした事。


しかしオートゥイユはマジッドを理由もなく嫌い、
両親に嘘の訴えをして、
マジッドを孤児院に追いやったのだ。


マジッドが現在住むマンションを突き止めたオートゥイユは、
彼に会いに行くが・・・。





殺人が起こるわけでもなく、
直接的に嫌がらせを受けるわけでもないけれど、
ひたすら自分の家をビデオで撮られるという行為の気持ちの悪さに、
犯人は誰なのだろうと、見入ってしまう。


ビデオテープの場面が結構長いけれど、
不思議と飽きる事はない。


ダニエル・オートゥイユがTVで顔を晒す有名人なだけに、
狂信的なファンの仕業とも考えられるし、
ジュリエット・ビノシュの、
思わせぶりな交友関係から、
そちらの関係者の嫉妬かなとも思ったけれど、
この邦題が引っ掛かる。


何か古い出来事が、
この事件を引き起こしているはず、という
考えから抜け出せない。


そして次第に分かってくる、
オートゥイユの、幼い頃の出来事。


幼い頃、
自分ではそれほど深く考えずしてしまった事で、
今になって、
「悪い事をしたな」と相手に詫びたいような出来事は、
確かに私にもある。
まして、オートゥイユの場合、
マジッドの人生をも左右させてしまう嘘をついたわけだから、
いつまでも良心の呵責に苛まれていても、
不思議ではあるまい。
その罪悪感が、この映画の核といってもいい。


ただ、この映画には答えがない。
スッキリしたオチが欲しい私には、
消化不良な内容だった。
私には、この映画を読む能力がないのだろう。


途中で、息を飲むようなシーンがあって、
思わず「ひっ!」っと声が出てしまった。
自宅で観てよかった(笑)。


評価 ★★★☆☆

nice!(24)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画