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「青春の夢いまいづこ」 [映画]

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〔1932年/日本〕


江川宇礼雄は父が会社を経営する、
裕福な家のボンボン。


大学ではいつも斎藤達雄、大山健二、笠智衆らとつるんでは
大学前のカフェに出掛けたりしている。
カフェの愛らしい女給・田中絹代は、
彼らのマドンナ。
みんな彼女に、何らかの思いを抱いている。


そんなある日、江川の父が急死し、
彼は大学を中退し、会社を継がねばならなくなる。
慣れない社長業と、
中々抜けない学生気分。


1年後、斎藤達が就職する時期がやってきた。
就職難の折、
彼らは江川の会社に入れてほしいと頼みに来て、
江川はその願いを受け入れる。


しかし、主従関係となってしまった、
江川と、他の3人は、
今までのように気楽な関係とはいかず、
なんとなくギクシャクしてしまう。


さらに、田中をめぐって、
斎藤と対立するようになってしまい・・・。





小津安二郎監督のサイレント映画。


タイトルを聞いただけで、
切なくなるような気がするけど、
内容も、本質は切ない。
展開がコミカルなので、
一見コメディのようにも見えるけれど。


大学時代、
あんなに仲良しだった学友が、
自分の会社に社員として入ってきた途端、
ギクシャクしてしまうという過程が、
なんだか悲しい。


親しければ親しいほど、
友達とは主従関係になってはダメだと痛感する。
どんなに就職口がなくても、
友達が社長をする会社に入っては、
今までの関係が崩れてしまう。
友達とは、外で会って、
互いに仕事の愚痴を言い合うくらいがちょうどいい。


笑える場面も多い。


江川は立場が立場なだけに、
お見合いの話が多く、
2人の見合い相手が出てくる。


どちらも、金持ちの娘らしいけれど、
なんだかいい感じのしない女たちで、
田中絹代の愛らしさには、足元にも及ばない。
当然、江川も結婚する気にはならず、
わざと嫌われるような事をしたりする。


カンニングの場面も大変。
腕を骨折したふりをして、
包帯の中にカンニングペーパーを入れたり(笑)。


ラスト、田中が、
どちらの男を選ぶのか、
興味があったけれど、
やっぱりそうきたか、という結末。
私だったら、そちらは選ばないかもしれないな(笑)。


評価 ★★★★☆

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