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「落第はしたけれど」 [映画]

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〔1930年/日本〕


卒業試験真っ最中の
大学の教室。


斎藤達雄と友人たちは、
カンニングで、なんとか及第点を取ろうと必死。


試験が終わり、卒業が確定した者たちの名前が
貼り出された。
すると、斎藤以外の友人は卒業が決まり、
彼一人だけが落第してしまう。


落ち込む斎藤。
恋人の田中絹代が彼の下宿にやって来て、
就職試験の為に、
手作りのネクタイをプレゼントしてくれる。
そんな彼女に斎藤は、
卒業できなかったことを中々言い出せない。


さらに、友人たちが謝恩会や
就職試験に出掛けてゆくのを淋しく見守り・・・。





小津安二郎監督のサイレント映画。


ジャンルはコメディとなっているし、
観られた方も、
そういったご意見が多いようだけれども、
私はなんだか悲しかったなぁ。


友人の中で自分だけが留年する斎藤達雄が、
なんだか可哀相で。
カンニングは決して許される行為ではないけれど、
みんなで協力し合って、
試験を受ける様子は笑えたのに。


大学の留年なんて、
長い人生から考えたら、
取るに足らない事なんだけど、
その時の本人は必死だものね。
斎藤のショックな様子が悲しくて。


普段は斎藤より成績が悪いのに、合格しちゃった友達が
大変に申し訳なさそうにしている気持ちも分かる。
試験は時の運だから仕方ないけど、
日頃、斎藤から勉強を教わっていたから、
余計に辛いよね。


田中絹代がとっても可愛い。
若い頃はあんなにチャーミングだったんだと
初めて知った。


ラストが悲壮でないのが救い。
留年したって、卒業したって、
大差ないって思えるのがいい。


評価 ★★★☆☆

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