SSブログ

「ラヴァーズ・キス」 [映画]

lover’skiss .jpg
〔2002年/日本〕


鎌倉で暮らす高校生・平山綾は、
学校一の遊び人と噂される同級生・成宮寛貴と、
ちょっとしたきっかけから口をきくようになり、
すぐに関係する。


平山自身も、男と遊んでいるとの噂が絶えず、
女子たちからは白い目で見られており、
たった一人の友人で理解者は市川実日子だけだ。


しかし、成宮と関わるうちに、
彼が噂のように遊んでいるわけではないと知った平山は、
本気で彼を愛するようになる。


平山の妹・宮崎あおいは、
そんな姉に冷たく当たり、姉妹仲は最悪だ。
そして、宮崎には誰にも話せない胸の内がある。


成宮の後輩・石垣佑麿は成宮を慕い、
石垣の友人・阿部進之介はそんな石垣に、
漫才コンビのように絡んでくる。
石垣と阿部の会話は楽しいが、
2人も、胸の内にある思いを抱えている。


平山は幼い頃の出来事がトラウマになっている。
成宮も、ある事で、自殺未遂しかけたくらい悩んでいる。
市川にも、ある思いがある。
6人の高校生たちは、どこへ進んでゆくのか・・・。





吉田秋生の同名コミックを読んだ時、
物語の構成が面白く、
映画化されたものも、ぜひ観なくてはと思い、
借りてきた。


映画も漫画と同じで、何章かに分かれており、
同じ場面を、別の人物の視点で見るという手法で描かれる。
「あの時、この人物は、こう思っていたわけね」と、
後から解る仕組み。


演じている俳優陣は、
私が描くイメージとはちょっと違うけれど、
それはまぁ、よし。
そんなにピッタリの人物がいるわけないし、
そもそも、「ピッタリだ」、と思うかたも沢山いるだろうし。


この6人の中で、
やはり出世頭は宮崎あおいであろう。
10年前の映画だけあって、
まだとても幼く、
ふてくされた態度や、
姉に対する暴言、
しかし、すぐ反省できる柔らかい心など、
どうしても彼女に目が行きがちだった。


これは映画のせいでなく、
原作がそうなのだが、
6人のうち4人が、ある嗜好の持ち主で、
成宮の秘密はもっとすごい。
そんな人たちが、同時に同じ学校にいるものかな、とちょっと思う。
その辺が漫画的といえば漫画的。


評価 ★★★☆☆

nice!(11)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「マイウェイ 12,000キロの真実」 [映画]

myway.jpg
〔2011年/韓国〕


1928年、京城(現在のソウル)在住の軍人・夏八木勲の家に、
日本から息子一家が引っ越してくる。


夏八木の家の、韓国人の使用人の小学生の息子は俊足自慢で、
同じ年頃の夏八木の孫と、その場で駆けっこをする。
いい友達ができたと周りは喜ぶが、
その後、ある事件が起こり、使用人は解雇される。


大人になった二人、オダギリジョーとチャン・ドンゴンは、
大きなマラソン大会で、いつも1位を争ってきた。
ドンゴンは、いつかオリンピック出場をと願うようになる。


太平洋戦争が始まり、
ドンゴンは日本人として戦争に行く。
そして戦場でオダギリと再会。
オダギリは、冷血な上官で、
戦場でもマラソンの練習を続けるドンゴンに、
憎しみの目を向けるのだった。


オダギリはロシア軍への特攻兵にドンゴンを選ぶが、
奇襲に遭い、
2人を含む多数の日本兵が捕虜として、
酷寒のロシアで過酷な労働を強いられる。


オダギリは上下関係のなくなったドンゴンと接し、
また、ロシアの無情な上官にかつての自分を重ね合わせ、
自分の愚かさに気付き始める。


しかし、戦争はまだ終わりはしなかった。
ドンゴンのオリンピック出場の夢は叶うのか・・・。





映画の7割は戦場でのシーンといっていいと思う。
毎回書くけれど、
「戦争はキチガイだ・・・」という言葉が頭の中でリフレインして、
止まらない。


殺し合いも勿論だけど、
昨日まで仲間だった者が、
今日は敵の将校に媚を売り、
戦友を庇おうともしない。
「それもこれも、みんな生きる為。仕方ない仕方ない・・・」、と、
自分に言い聞かせながらスクリーンを観る。


オダギリジョーが出ているせいもあり、
私はこれを、日韓合同映画だと思っていたのだが、
ネットで調べると、韓国映画のようだ。
そのせいかどうかは分からないけれど、
どうしてもチャン・ドンゴンの方に思い入れが強くなるような作り。


ドンゴンたち、韓国人は皆、
日本が韓国を日本の領土としたせいで、
日本人として戦う事を強要され、朝鮮語の使用は絶対禁止。
(それでも仲間うちでは朝鮮語しか話さないが)
ドンゴンはつまらない理由をつけられては虐げられるが、
それでも美しい心は失わない。


オダギリも冷酷だが、
それ以上に韓国人をいたぶるのが、山本太郎。
彼はまるでサディストのように、
「ノロマな朝鮮人!」と罵り、
酷い仕打ちをする。


社会的発言で話題になった山本が、
この役をどのような気持ちで演じたのだろうかと、
なんだかとても気になってしまった。


映画は、ノルマンディ上陸作戦にまで話が及ぶ。
その場面は、「プライベート・ライアン」の、
あの激烈な冒頭の場面を思い出さずにはいられなかった。
あの戦いをこちらから見るとこうなるわけね、と、
戦争の歴史として興味深かった。


評価 ★★★☆☆

nice!(15)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」 [映画]

mybigfatwedding.jpg
〔2002年/アメリカ〕


ニア・ヴァルダロス、30歳。
冴えない容貌で恋人もおらず、
家業のレストランを地味に手伝う、独身女性。


彼女の父親・マイケル・コンスタンティンはギリシャからの移民で、
とにかくギリシャ命の男。
家はパルテノン神殿を模したような作り、
庭には彫刻が並び、
全ての人類・文明はギリシャから始まったと、
公言して憚らない。


ヴァルダロスは一念発起し、
大学に通う事を決める。
お洒落をし、内気な性格を直そうと努力し、
変わり始めた頃、
教師・ジョン・コーベットと熱烈な恋に落ちる。


しかしギリシャ系でないコーベットとの交際に、
父親は猛反対。
悩んだヴァルダロスはコーベットに、
駆け落ちを持ち掛けるまで思い詰めるが、
コーベットは、「自分を恥じるような行為はやめよう」と、
どこまでも懐深く、真っ当で温かい。


コーベットは父親に挨拶に行くが、
なにせ係累が多いギリシャ系、
家には驚くような数の親類が集まっており、
コーベットを驚かせる。
二人は無事結婚まで辿り着けるのか・・・。





なんとも愉快な物語。
ジャンル分けするとしたら、ラブコメディだろうが、
ファミリーコメディといった方がしっくりくる内容。


主役はニア・ヴァルダロスなのだろうが、
彼女より目立つのが父親のマイケル・コンスタンティン。
彼は一日中、ギリシャの事しか考えていない(笑)。
彼は、「全ての言語は、必ずギリシャ語が語源だ」と言い張り、
ヴァルダロスの友達に、「何か一つ単語を言ってみろ、証明する」と言う。
友達が、「じゃあ、“着物”は?」と意地悪く言うと、
目を白黒させながらも、有り得ない理論を展開するといった具合(笑)。


ヴァルダロスとコーベットの、
実家の対比が笑える。
コーベットを迎えるヴァルダロスの親戚の数と、
そのテンションの高さは異様なものがあるが、
コーベットの実家に挨拶に行ったはヴァルダロスは、
物静かな両親とソファーで向かい合い、
「シーン」としたその部屋は、空気の音まで聞こえそうな雰囲気(笑)。


両親同志の顔合わせの場面がまた笑える。
6人だけの静かな集いだったはずが、
またまたヴァルダロスの父親は、
親戚全部を呼んでしまう。
驚くコーベットの両親の顔と、
その場のやり取りがなんとも可笑しくて、
一人で爆笑してしまった。


ヴァルダロスの一族のあまりの凄さに、
コーベットが「やっぱり無理だ」と言い出すのではないかと、
ちょっとハラハラするが、
そのような事はなく、
コーベットは意外と楽しんでいるようにも見受けられて、
その辺の波乱はない。
1時間半の内容なので、
無駄な場面が無く、スッキリと楽しめる。


ギリシャ人って、本当にこんななのだろうか(笑)。
これを観たギリシャの人が、何と言うのか聞いてみたい。
もし日本がこのような形で描かれるとしたら、
どんな内容になるんだろう。


評価 ★★★★☆

nice!(17)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「ゴルゴ13」 [映画]

golgo13.jpg
〔1973年/日本〕


イランで美しい女性ばかりが失踪するという事件が起こり、
秘密警察が事件解決の為、
ホテルの一室に集まり協議する。


犯人は、アラブ人実業家のマックス・ボアだと分かっており、
何度も捜査員を送り込んでいるのだが、
皆、拷問の末、殺害されてしまい、
警察は怒りに燃えていた。


ついに幹部たちは、殺し屋・ゴルゴ13(高倉健)に、
ボア殺害を依頼する。
イランに飛んだゴルゴは、
ボアの身辺を探るが、
ボアには多数の影武者がして、
どれが本物なのかもよく分からない。


また、妻を誘拐された現地の刑事が、
ゴルゴをボアの一味と勘違いし、
ゴルゴは追われる身となってしまう。
果たして、ボア殺害は成功するのか・・・。





「ゴルゴ13」は、もちろん何編か読んだ事はあるが、
まとめ読みをした事はない。
1巻から読んでいったら面白いだろうなと思う事もあるけれど、
実行する予定は、今の所ない。


で、この映画。
ゴルゴが全然強くなくて、観ていて困っちゃう(笑)。
寡黙で、めっちゃスカしてるんだけど、
物凄く無防備な所もあって、
背中を銃で狙われる場面さえある。


秘密警察の女性秘書が、
ゴルゴに「プレゼント」として差し出されるんだけど、
一夜を共にした彼女は、
ゴルゴにすっかり参ってしまって、
その後、助けてるんだか、足手纏いなんだか分からない存在として、
活躍する(笑)。
ゴルゴも満更でもない様子で、
情が湧いちゃったりしてる。


せっかくのゴルゴの映画化なんだから、
もっと鮮やかな手さばきが観たかったな。
いかにも70年代な邦画。
今作ったら、もう少し面白いものができるかもしれない。


全編オール中東ロケで、
日本人は高倉健のみ。
しかしセリフは全員日本語で、
字幕を読む手間が省けるように出来ている。
気楽といえば気楽。


以前にもDVDで、千葉真一の「ゴルゴ13 九龍の首」という
映画を観た事がある。
ストーリーは千葉版の方がずっとマシだが、
その髪型に笑った。


評価 ★★☆☆☆

nice!(15)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「チェブラーシカ」 [映画]

Cheburashka.jpg
〔2010年/日本〕


どこかの街から、オレンジの木箱に入れられて送られてきた、
見た事のない生き物。
上手く立つ事が出来ないその子を、
くだもの屋のおじさんは、
チェブラーシカ(バッタリ倒れ屋さん)と名付ける。


一方、友達のいないワニのゲーナは、
淋しさから、“友達募集”の貼り紙をする。
それを見たチェブラーシカは、
ゲーナの家を訪ね、二人は仲良しになる。


ある日、街にサーカス団がやって来た。
初めて観るサーカスに、チェブラーシカとゲーナは大興奮。
自分たちもサーカスに入れて貰おうと、
団長に芸を見せるが、門前払い(笑)。


その後2人は、
サーカスに入るために、
綱渡りの練習をしている少女・マーシャや、
生き別れになった孫娘を探す手品師のおじいさんなどと、
友達になってゆく。





元々、ロシアの絵本のキャラクターだというチェブラーシカだが、
これは日本で作られた映画だそうだ。
それって、日本のキティちゃんが、
外国でアニメ化されるようなものなのだろうか(笑)。


チェブラーシカの表情や動きが可愛くてたまらない。
小さくて、ちょこちょこ歩いている姿が、なんとも愛らしい。
私はチェブラーシカをずっとクマだと思っていたのだが、
友人はサルだと思っていた、という話になり、
ウィキペディアで調べてみた所、
「小熊とサルの中間ような、不思議な小動物」と書かれていた。
友人と私が思っていた動物が、両方入っていた事が可笑しかった。


そもそも、これを観た限り、チェブラーシカって正体不明。
くだもの屋のおじさんが、オレンジの木箱を開けたら、
そこに入っていたというのだが、
一体、誰が送ってきたんだろう(笑)。
もちろん可愛いから、
正体不明でも、何ら問題ないんだけど。


チェブラーシカの声を担当しているのが、
大橋のぞみちゃんなのだが、
これがもう、チェブラーシカのイメージにピッタリで、
本当に可愛い。


意地悪なシャパクリャクというおばあさんのキャラがいる。
これがチェブラーシカやゲーナのように若かったら、
全体の空気が変わりそうだが、
おばあさんだから仕方ないな、という雰囲気が漂っている気がして、
悪キャラとして、上手い設定だと思う。


1969年のロシアのオリジナル版も、
いつか必ず観てみたい。


評価 ★★★☆☆

nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画