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「くれなずめ」 [映画]

kurenazume.jpg
〔2021年/日本〕


吉尾(成田凌)
明石(若葉竜也)
曽川(浜野謙太)
田島(藤原季節)
水島(目次立樹)
藤田(高良健吾)
の6人は、
高校時代の帰宅部の仲間。


今日は久し振りに全員が揃った。
友人の結婚式で、
6人揃って、
赤いふんどし一丁で、
ウルフルズの「それが答えだ!」を踊る、
そのリハーサルをするためだ。


けれど、本番で、
客はドン引き。
余興は大恥をかいて終わる。


二次会まで、
3時間も間がある。
6人は、この隙間時間に、
様々な思い出を語り合うが・・・。





試写会で観た。


上映後、
予定にはなかった、
松居大悟監督と、
目次立樹さんの舞台挨拶があり、
映画についてのお話を聞くことができた。

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まず、タイトルの、
「くれなずめ」というのは、
日が暮れそうで、なかなか暮れない状態を指す、
「くれなずむ」を命令形にした、
監督の造語だそうで、
では、なぜ、
「くれなずめ」なのか、
それは、この6人の登場人物たちが、
ある思いから、
まだ抜け出せずにいるからだ。


ネタバレになってしまうから、
詳しい事は書けないけど、
それは彼らにとって、
悲しく、
そして、認めたくない出来事で、
さらに、大きな後悔もある。


6人の会話が、
まるでアドリブのように自由に感じられたのだけれど、
ちゃんと、
キッチリした脚本があるとのことだ。
やっぱり俳優さんって、凄い。


それから、観客のかたとの質疑応答に、
監督さんが、毎回、
「なるほど・・・」と唸っておられたのが、
興味深かった。
映画でも、演劇でもそうだと思うけど、
作り手が思っている答えと、
観客の捉え方は全然違うんだ、
作品は、作り手の手を離れたら、
もう観客のものであり、
自由な感じ方をしていいんだと思わされた
出来事だった。


撮影の裏話、
例えば、
登場人物たちの高校時代と、
現在の髪型が殆ど同じとか、
高校生なのに、髭が生えているなどは、
意図した事ではなく、
単に、撮影スケジュールの都合だそうで、
でもきっと、それだって、
観る人は、そこに意味を見出そうとするんだろうなぁと思う。


なんだかこの映画、
後になって、じわじわくる。


評価 ★★★☆☆

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「じゃりン子チエ」 [映画]

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〔1981年/日本〕


大阪で暮らす、小学5年生の少女・チエ(声・中山千夏)は、
父親・テツ(声・西川のりお)がどーしようもない男なので、
子供ながら、たった一人で、
ホルモン焼き屋を切り盛りしている。


テツは、
博打と喧嘩に明け暮れる毎日で、
生活は、チエのホルモン焼き屋の
売り上げに頼っている。


チエの母・ヨシエは、
テツに「出て行け!」と言われたことを真に受け、
現在は、別居中。
しかし、テツに内緒で、
チエと時々会っている。
チエはヨシエが大好きだ。


ある日、テツと敵対している、
ヤクザの親分の飼い猫・アントニオが、
チエの飼い猫・小鉄と喧嘩し、
数日後、アントニオが死んでしまう・・・。





漫画、「じゃりン子チエ」は、
コミックスを全巻持っているくらい好きだけど、
映画も、テレビアニメも観たことがなかった。
今回、劇場にかかったので、
やっと観る事ができて、嬉しい。


にしても、
考えてみると、この漫画、
絶妙なバランスの上に成り立っている話なんだなぁと、
つくづく思う。


というのも、チエを取り巻く人々は、
本当に、真っ当な人ばかり。
たった一人、
父親のテツだけが、
いつも平和をぶち壊してくれる。


チエの母のヨシエは、
よくテツのような男と結婚したな、と思うような、
優しく、美しく、
最高の母親だし、


テツの両親は、
どーしようもない息子に
厳しくあたる。
いつもチエの心配をしてくれて、
実の息子より、
嫁のヨシエのほうが、よほど仲が良い。


他にも、学校の先生にしろ、
近所の人にしろ、みんないい人ばかりだ。


つまり、真っ当な人が1,000人束になっても、
テツが一人いるおかげで、
全てがおかしな事になってしまうという(笑)。


私から見ると、
テツはヤクザそのものなのだが、
テツ自身は、ヤクザが大嫌い、というのも、
よく分からない(笑)。
組に属していないだけ、な気がする。


そんなテツと、ヨシエの距離感が、
本当に微妙で、
これが夫婦なのか、と思うような感じが
可笑しい。
テツは、別居してるヨシエとたまに会うと、
照れるのか、あがってしまうのか、
必要以上に、冷たかったり、素っ気なくなる。
特に、漫画だと、
その辺の感じが絶妙。
テツはロクデナシだけど、
女性関係は綺麗なようだ。


この映画、
西川きよし、横山やすし、
島田紳助、松本竜介、
京唄子、鳳啓助、
オール巨人、オール阪神、
芦屋雁之助、桂三枝、
笑福亭仁鶴などなど、
関西の大物芸人さんたちが声優を務めていて、
大変に豪華。


久し振りに、
あの漫画特有の世界観を味わった。


評価 ★★★☆☆

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「マッド・ダディ」 [映画]

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〔2017年/アメリカ〕


ブレント・ライアン(ニコラス・ケイジ)は、
妻・ケンダル(セルマ・ブレア)と、
思春期の娘・カーリー、
小学生の息子・ジョシュの
4人家族。


カーリーが反抗的なのが、
ちょっと気になるところだが、
まぁまぁの人生。
そこそこの幸せ。


ところがある日、
世間の親たちが、
何かに憑りつかれたように、
実の子を殺し始め、大騒ぎとなる。


子供たちの身を案じ、
急いで帰宅したブレントだが、
カーリーとジョシュの顔を見た途端、
殺したいという衝動を抑え切れなくなり・・・。





ある日、突然、
親が、我が子を殺したくなる衝動に駆られ、
どうしても抑え切れなくなる、という、
90分に満たない、ホラーな小作品。


んな馬鹿な、というのは簡単だけど、
何か意味がある気もして、真剣に観てしまった。
この手の作品にしては、
アメリカでの評価も悪くないという。


なぜそのような現象が起こるのか、
原因は全く分からない。
ウイルスか何かで、
脳の、「子供を守りたい」という部分が、
破壊されてしまったのか、
はたまた、集団ヒステリーなのか。


親たちは、我が子に襲い掛かり、
殺してゆくのだけれど、
他人の子には興味を示さない。
あくまでも、ターゲットは血を分けた子供のみ。


しかも、目の前にいる子を、
衝動的に殺すだけでなく、
子供たちが地下室に隠れたと知ると、
夫婦で、ガス栓に長いホースを取り付けて、
地下に充満させるなど、
強い殺意を見せる。


そのくせ、
ニコラスが内緒で所持していた拳銃を、
息子が持っていたと知った妻は、
「なぜ、拳銃なんて買ったの!
 子供が持ち出して危ないじゃない!」と
夫を責める。


あぁ、なぜか自分は、子殺しの衝動は抑えられないけれど、
本能のどこかで、
そんな自分から、子供を助けたいと思っているのだと
信じたい。


それから、この現象に、
年齢は関係あるのだろうか、
と思っていたら、
やっぱり、やって来た、ニコラスの両親。


両親はニコラスに激しく襲い掛かる。
やはり年齢は関係ないらしい。
それから、余談だけど、孫には襲い掛からない。


こんな映画を、
ニコラス・ケイジが主演してるってのも、凄い。
ジャケット写真でも分かるように、
大変な狂気を役を演じておった。


評価 ★★★☆☆

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「ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち」 [映画]

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〔2020年/日本〕


1994年。
西方仁也(田中圭)は、
リレハンメルオリンピックの団体ラージヒルの
メンバーだったが、
あと一歩で金メダル、というところで、
最後の選手・原田雅彦(濱津隆之)が
ジャンプを失敗、
銀メダルに終わる。


4年後。
今年の長野オリンピックで、今度こそ悲願の金メダルを、
と意気込む西方だったが、
直前に腰を痛め、
代表に選ばれず、失意のどん底へ。


そんな中、
監督の神崎(古田新太)が、
テストジャンパーとして、
オリンピックに参加してほしいと、
西方に頼みにくる。


「なんで俺が裏方に」と
激しく反発した西方だが、
それでも、神崎の要請を受け、
テストジャンパーのメンバーに。
そして、オリンピック当日・・・。





試写会で観た。


思っていた以上の感動に、
涙が出た。
映画が終わると、
観客の皆様から大きな拍手が。
劇場で拍手の体験をしたのは久し振り。
多くのかたと、同じ空間で、
感動を共有できたことを嬉しく思いました。


オリンピック招致以来、
様々なトラブルに見舞われ、
こんなにオリンピックに振り回された国があるんだろうかと思うくらい、
大変な事ばかりの日本だけれど、


こういった映画を観ると、
オリンピックの主役は、
お偉い役員などでは絶対になく、
選手や裏方さんなんだ、という
当たり前の事に、
あらためて、気付かされる。


実話なので、
登場人物たちは、
全て実在する、
知っている名前の方々ばかり。


その中で、
長野オリンピックでテストジャンパーを務めた、
西方仁也さんにスポットを当て、
物語は進行する。


テストジャンパーをすることになった西方さんの
苦悩は計り知れない。
25人いる他のメンバーは、
全員が、将来のオリンピックを担う若者たち。


その中で、一人だけ年長で、
一度は銀メダルまで取った西方さんは、
まるで落伍者のようで、
任務に身が入らないし、
4年前は、チームとしてやっていた、
原田雅彦選手や葛西紀明選手の為に、
ジャンプのコースを整える仕事は、
大変な屈辱だ。


この映画、綺麗ごとだけが
描かれていないのがいい。
テストジャンパーに甘んじている西方さんは、
原田雅彦選手に、
「お前さえ失敗しなければ、金メダルが取れた」と食ってかかり、


原田選手が飛ぶ際は、
「落ちろ」と念じてしまう。
それは、確かに醜い感情ではあるけれど、
じゃあ、自分が同じ立場になった時、
絶対同じ事をしないか、と問われて、
しない、と言い切れる自信は、私にはない。
自分の心の黒い部分は、自分が一番よく知っている。


そしてその後の展開。
私は無宗教だけど、
「神様は、ちゃんと見せ場を作ってくれた」、
と本気で思った。
涙せずにはいられなかった。


評価 ★★★★☆

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「暗夜行路」 [映画]

anyakoro.jpg
〔1959年/日本〕


母と死に別れた4歳の時任謙作は、
なぜか、兄たちと引き離され、
1人だけ、祖父に引き取られる。


成長し、小説家になった謙作(池部良)は、
祖父の死後、
祖父の妾・お栄(淡島千景)に身の回りの世話などをしてもらいながら
暮らしていた。
そんな中、謙作は、
幼馴染の愛子に結婚を申し込むが、
あれほど親しくしていた
愛子の母は急に素っ気なくなり、
プロポーズは断られる。


傷心の謙作は、
落ち着いて小説を書くため、
尾道に行く。
その地で、お栄の事を思い出していた謙作は、
お栄と結婚しようと思い立ち、
兄に、その旨を手紙にしたためるが、
兄からの返事は思いもかけぬものだった。


謙作は、
祖父と、母の間にできた、
不義の子だというのだ・・・。





家長である、祖父が、
息子の嫁を手籠めにするという話は、
山崎豊子さんの、
「華麗なる一族」でも描かれていたけれど、
昔は、よくあった事なのか、
それとも、ただの創作なのか。


いずれにしても、
この、志賀直哉原作の「暗夜行路」の場合、
主人公の謙作が、母が死んだ途端、
祖父に引き取られるというのも、
分からなくもない。
今まで、謙作と暮らしてきた父にとっては、
謙作の顔を見るたびに、
父と妻との事が思い出されて、
相当な苦しみだったに違いない。


それから、その後、
祖父の妾だった、お栄が、
謙作のプロポーズを断ったのも、合点がいく。
いくら祖父が死んだとはいえ、
直ぐに、その息子(世間的には孫だが)と
結婚するなど、
真っ当なお栄には、
できない事だったのだろう。


その後、謙作は、
直子(山本富士子)という女と出会い、
結婚する。
新婚時代、2人はとても仲の良い夫婦だったけれど、


なんと、謙作の身の上に、
今度は、自分の父と、
同じ運命が待ち受けているのだ。


自分の留守中に、
直子が従兄に手籠めにされるという・・・。


なんだか暗い話だった。
これを観に行った目的は、
山本富士子さん。
ただ、この映画の山本さんは、
クネクネした、
ものの優先順位が分かっていないような女で、
彼女がもう少し、しっかりしていたら、という場面が、
多々ある。


それより、淡島千景さん。
めっちゃいい女っぷりに、
惚れ惚れする。


それから、何より、
池部良さん。
池部さんの事は、
今までにも、何度も映画で観ているけど、
この映画は、特に綺麗に撮れているように思った。
背が高くて、顔が小さくて、
スッとしている。
ちょっと見とれてしまった。


評価 ★★★☆☆

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