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「暗夜行路」 [映画]

anyakoro.jpg
〔1959年/日本〕


母と死に別れた4歳の時任謙作は、
なぜか、兄たちと引き離され、
1人だけ、祖父に引き取られる。


成長し、小説家になった謙作(池部良)は、
祖父の死後、
祖父の妾・お栄(淡島千景)に身の回りの世話などをしてもらいながら
暮らしていた。
そんな中、謙作は、
幼馴染の愛子に結婚を申し込むが、
あれほど親しくしていた
愛子の母は急に素っ気なくなり、
プロポーズは断られる。


傷心の謙作は、
落ち着いて小説を書くため、
尾道に行く。
その地で、お栄の事を思い出していた謙作は、
お栄と結婚しようと思い立ち、
兄に、その旨を手紙にしたためるが、
兄からの返事は思いもかけぬものだった。


謙作は、
祖父と、母の間にできた、
不義の子だというのだ・・・。





家長である、祖父が、
息子の嫁を手籠めにするという話は、
山崎豊子さんの、
「華麗なる一族」でも描かれていたけれど、
昔は、よくあった事なのか、
それとも、ただの創作なのか。


いずれにしても、
この、志賀直哉原作の「暗夜行路」の場合、
主人公の謙作が、母が死んだ途端、
祖父に引き取られるというのも、
分からなくもない。
今まで、謙作と暮らしてきた父にとっては、
謙作の顔を見るたびに、
父と妻との事が思い出されて、
相当な苦しみだったに違いない。


それから、その後、
祖父の妾だった、お栄が、
謙作のプロポーズを断ったのも、合点がいく。
いくら祖父が死んだとはいえ、
直ぐに、その息子(世間的には孫だが)と
結婚するなど、
真っ当なお栄には、
できない事だったのだろう。


その後、謙作は、
直子(山本富士子)という女と出会い、
結婚する。
新婚時代、2人はとても仲の良い夫婦だったけれど、


なんと、謙作の身の上に、
今度は、自分の父と、
同じ運命が待ち受けているのだ。


自分の留守中に、
直子が従兄に手籠めにされるという・・・。


なんだか暗い話だった。
これを観に行った目的は、
山本富士子さん。
ただ、この映画の山本さんは、
クネクネした、
ものの優先順位が分かっていないような女で、
彼女がもう少し、しっかりしていたら、という場面が、
多々ある。


それより、淡島千景さん。
めっちゃいい女っぷりに、
惚れ惚れする。


それから、何より、
池部良さん。
池部さんの事は、
今までにも、何度も映画で観ているけど、
この映画は、特に綺麗に撮れているように思った。
背が高くて、顔が小さくて、
スッとしている。
ちょっと見とれてしまった。


評価 ★★★☆☆

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コメント 10

kousaku

そうそうたる豪華な配役ですね、こんな時代もあったんですね、

by kousaku (2021-04-13 08:30) 

旅爺さん

志賀直哉の暗夜行路は一流俳優で映画化されて有名でしたが、
爺は見損ないました。今では見られない俳優揃いでしたので見たかったです。



















by 旅爺さん (2021-04-13 08:55) 

tommy88

女優陣を見ると、お婆さん役の人ばかりですが、当時はピッチピチの若き乙女だったのですね。映画としては、現在上映不可のレッテルが貼られそうな、しかし、時代が時代ですから大丈夫だったんですね。表現としての「手籠めにする」なんて、まあ当然のように横行していたのでしょう。島崎藤村にしろ、結局自分が姪にちょっかい出してそのまま小説にしただけで、男尊女卑、家長制度、何でもありの、ワシの言うことが聞かれへんのか、という威圧どころか制圧的、支配的なシステム。誰にも文句は言わせない。よくよく考えてみれば我が祖父もお盛んだったようだし。「妻の不貞」と言いはするけれど、夫の愚行とも蛮行とも言わないですし、夫の不貞という指摘は聞いたことがありません(法律上では男女どちらにも使うみたいですが)。部屋で一緒にお酒を飲んでいただけと言ってる現代人は、何と可愛いことでしょう。

by tommy88 (2021-04-13 14:30) 

青山実花

往年の大スターばかりで豪華ですね^^

昔のモラルは、
今とはかけ離れているように思います。
by 青山実花 (2021-04-15 23:23) 

青山実花

旅爺さんさん
コメントありがとうございます。

確かに出演者さんは、
亡くなられた方も多いですね。
旅爺さんさんも、
いつか観られるといいのですが。
by 青山実花 (2021-04-15 23:25) 

青山実花

tommy88さん
コメントありがとうございます。

昔は、淡島千景さんも山本富士子さんも
大変な美しさでした。

昔は、息子の嫁を手籠めにしたり、
まだ少女のような女中に手を付けたり、
家長というのは、やりたい放題だったという話を
聞いたことがあります。
(全員ではないでしょうが)
過去の総理大臣某氏の妻も、
そのせいで、自死されたとの噂があるそうで。

そもそも、この映画の山本富士子さんは、
不貞ではなく、乱暴されたのです。
それでもポスターには不貞と書かれてしまう。
全くおかしな話です。

by 青山実花 (2021-04-15 23:35) 

beny

超一流の俳優さんばっかりですね。。
今の三流タレントが束になっても適わない。
by beny (2021-04-16 22:03) 

裏・市長

志賀直哉原作やん!。

この原作を得て、この出演者なのに、
なぜかソフト化されておらず、
たやすく見る事が出来ない…。

もちらん、SSブログのエセ映画マイスターと、
陰口を叩かれるこの私も見たことがない。

東宝はダメなんだよ。
昭和時代の旧作発掘にまったく興味がない。
というか、正直「商売」としてはうまくない。

出しても売れない。

それよりも、今公開中の「キングVSゴジラ」、
「エヴァン下痢オン」などの関連商品を
出した方がよっぽど売れるし、儲かる。
つまり需要があるということ。

だから、社員を食わせていかねばならない
会社組織の商売としては正しいと言える。

うるさいのは一部の映画マニアだけ。
出せ出せと声だけは大きいのだけれど、
いざ商品化されると買わない。
レンタルで済ませたりしちゃう。

そりゃあ、会社側もいいかげんにしろよ!となる。

オタクって基本的に自己中ですから。
「自分だけがよかったら、それでいい」んです。

こちらのコメント欄でも、
本文とまったく関係なないコメントを残す、
私のような方がおられますが、いいんです。

書きたいことを書かせてもらえれば、
自分の気分はすむのです。
by 裏・市長 (2021-05-16 06:35) 

青山実花

benyさん
コメントありがとうございます。

本当にすごいキャストですね。
昔の俳優さんは堂々としていましたね^^

by 青山実花 (2022-09-09 20:38) 

青山実花

裏・市長さん
コメントありがとうございます。

そうですわ、
この映画は、
志賀直哉原作の、文芸大作ですのよ。

しかも、大映の看板女優・山本富士子さんを
主役に迎え、
相当力の入った映画でございます。


なのに、ソフト化もされていないとは。
名画座で観るしか道はないのかと思うと、
本当に勿体ないことだと思います。

映画好きの人は、
何も、都内に住んでいるとは限らない。
裏・市長さんのように、
奈良県民でも、
映画が大好き、という方もいらっしゃる。

大映でも、東宝でも、日活でも、東映でも、松竹でも、新東宝でも
いいのですが、
自社の全映画をソフト化、
という夢のような話を
実行してはくれないかしら。

特に大映には、
本気でお願いしたいですわ。
そうでもなかったら、
若尾文子出演映画160本DVDボックス、とか。

30万円くらいなら、
わたくし、絶対買いましてよ。

大映さんよろしくお願いいたします。



by 青山実花 (2022-09-09 20:39) 

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