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「若い狼」 [映画]

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〔1961年/日本〕


少年院から出てきた川本信夫(夏木陽介)は、
故郷に帰るも、
炭鉱は廃坑となり、
父は出稼ぎに出たきり、音信不通。
母が身を粉にして幼い弟妹を養っている。


信夫は、
幼馴染で恋人の道子(星由里子)を頼って上京するが、
純朴だった道子はすっかり変り果て、
ズベ公グループに属しながら、
売春をして日銭を稼いでいた。


もう一人の幼馴染で不良大学生の福井は、
信夫に、やくざの組・白狼会に入れとしきりに勧めてくるが、
信夫はやくざになるのは絶対に嫌で、
仕事を探して、歩き回る。


しかし、少年院出に就職は難しく、
意気消沈した信夫は、
結局、福井が出入りしている白狼会に行ってしまう・・・。





「人生は何度でもやり直せる」とか、
「過去を振り返らず、前だけ見て」とか、
言うのは簡単だけれど、
やっぱり、
前科のある人に、
社会が冷たいのは現実なんだと、
この映画を観ていると、よく分かる。


夏木陽介さん演じる、主人公の信夫は、
少年院から出てきて、
これからの人生は、
真っ当に生きていきたいと願っている。


けれど、世の中は甘くなかった。
一番ショックだったのは、
信夫に、
口当たりのいい、
優しい言葉をかけてくれていた恩師が、
就職を頼んだところ、
急に口ごもり、
言葉を濁した事。


そして、それを隣で聞いていた、
何も事情を知らない人が、
「私が世話しましょうか」と言ってくれたけど、
信夫が少年院出だと知ると、
やっぱり、黙り込んでしまった事。


もちろん、世の中には、
前科があっても立ち直って、
立派に暮らしている人も沢山いる。


それは努力もとても大事だけど、
やっぱり運に依るところも大きいのかなぁと思う。


それに、もし、
自分の血縁者や、親しい友人が、
前科のある人と結婚すると言ったら、
全く1ミリも心配しないという自信は、
私にはないし、
不安に思わない人なんているんだろうか、とも思う。
難しいところだ。


堅気になりたいと、
心から願っても、
それが叶えられない青年の役を
夏木陽介さんが好演。


それから、
星由里子さんのイメージがいつもと違っていたのも、
ちょっと驚き。
私の中で星さんは、
女子大生のイメージが大きかったから。


評価 ★★★☆☆

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