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「化粧」 [映画]

kesho.jpg
〔1984年/日本〕


蔦野つね(京マチ子)は、
京都で料亭「蔦乃屋」を切り盛りする女将。
長女・頼子(松坂慶子)は、銀座でクラブ「アジュール」を経営し、
次女・里子(池上季実子)が、「蔦乃屋」の跡取りとして、
婿をとっている。
三女の槇子(和由布子)はまだ大学生だ。


頼子には、双子の姉・鈴子がいたが、
二十歳で自殺していた。
今日は、鈴子の墓参り。
すると、頼子は墓地で、
鈴子を死に追いやった男・熊倉(伊丹十三)と出会う。


数日後、熊倉が「アジュール」にやって来た。
昔、羽振りの良かった彼も、
今は落ちぶれ、
生活に困窮しているらしい。


一方、里子は、
東京のコンピュータ会社の専務・椎名(竹脇無我)と、
道ならぬ恋に落ち・・・。





最初は、
「ずいぶん、男に都合がいい内容だなぁ、
 さすが、渡辺淳一センセー原作だけの事はある」
なんて思って観ていた。


何せ、松坂慶子さん演じる、主人公・頼子は、
自分の双子の姉を死に追いやった、
伊丹十三さん演じる・熊倉を、
憎んでも憎み足りないというのに、
彼の呼び出しに応じたり、
アパートに行ったり、
嫌いなら無視しろや、と思っていたのよ。


で、図々しい熊倉は、
さらに図に乗って、
自分の商売を成功させるために、
デパート経営者の男・秋山と、
「一晩でいいから付き合ってやってくれ、
 そうしたら、自分はもう一度這い上がれる」
などと、言い出す。
なんで、あんたの彼女でもない私が、
そんな事せなあかんの、と言いたいくらいである。


でも、頼子はOKする。
観ているこちらは、
「えーーー! OKしちゃうの!?」
てな思いでビックリする。


でも、それは私の早とちりであった。
秋山に会った頼子は、
「一晩、私を自由にしてください。
 でも、その代わりに、
 熊倉とは絶対取り引きしないでください」と。


あぁ、
大きな商談を成立させるのも女。
ぶっ潰すのも女。
女の体一つ。


いや、これは誰にでもできる事ではないよね(笑)。
頼子=松坂慶子という、最高級の女だから、
秋山も、その条件を飲んだのよね。
分かってる、分かってるって(笑)。


そんなこんなで、
頼子の復讐は成功するわけだけど、
スッキリ!というわけではなく、
そこは、複雑。
あやつは最愛の姉を死なせた男だけど、
私も彼に惹かれていたのかしら・・・
・・・って、
もういいじゃないか。
私はあの結末に満足だ(笑)。


松坂慶子さん、池上季実子さん、和由布子さんという
美人三姉妹。
最初は、京マチ子さんも入れて、
四姉妹かと思った。
現代の「細雪」なのかしら、って。


でも、さすがにそれはなかった。
京マチ子さんの娘に松坂慶子さんって、
年齢的に合う?と思ったけど、
お二人は28歳差なのね。
まさしく親子だわ。


評価 ★★★☆☆





この作品で、
京マチ子さんの出演映画、100本中79本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★化粧 (1984)
★男はつらいよ 寅次郎純情詩集 (1976)
 妖婆 (1976)
★金環蝕 (1975)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
★華麗なる一族 (1974)
★玄海遊侠伝 破れかぶれ (1970)
★千羽鶴 (1969)
 小さい逃亡者 (1966)
★沈丁花 (1966)
★他人の顔 (1966)
★甘い汗 (1964)
★現代インチキ物語 ど狸 (1964)
★女系家族 (1963)
★女の一生 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★黒蜥蜴 (1962)
★釈迦 (1961)
 小太刀を使う女 (1961)
★女の勲章 (1961)
★濡れ髪牡丹 (1961)
★婚期 (1961)
★お傳地獄 (1960)
★顔 (1960)
★足にさわった女 (1960)
 三人の顔役 (1960)
★ぼんち (1960)
★流転の王妃 (1960)
★女経 (1960)
★浮草 (1959)
★鍵 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★夜の闘魚 (1959)
★女と海賊 (1959)
★細雪 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
★赤線の灯は消えず (1958)
★大阪の女 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★母 (1958)
★悲しみは女だけに (1958)
★有楽町で逢いましょう (1958)
★穴 (1957)
★夜の蝶 (1957)
★地獄花 (1957)
★女の肌 (1957)
★踊子 (1957)
★いとはん物語 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
★八月十五夜の茶屋 (1956)
★月形半平太 (1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新・平家物語 義仲をめぐる三人の女 (1956)
 新女性問答(1955)
★藤十郎の恋 (1955)
★楊貴妃 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
 春の渦巻 (1954)
 馬賊芸者 (1954)
★千姫 (1954)
★浅草の夜 (1954)
★春琴物語 (1954)
★愛染かつら (1954)
★或る女 (1954)
★地獄門 (1953)
★あに・いもうと (1953)
 黒豹 (1953)
★雨月物語 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
★大佛開眼 (1952)
★美女と盗賊 (1952)
★瀧の白糸 (1952)
★長崎の歌は忘れじ (1952)
★浅草紅団 (1952)
★踊る京マチ子 歌う乙羽信子 (1952)
 恋の阿蘭蛇坂(1951)
 情炎の波止場(1951)
 馬喰一代 (1951)
★源氏物語 (1951)
 牝犬 (1951)
★自由学校 (1951)
★偽れる盛装 (1951)
 美貌の海(1950)
 復活(1950)
★火の鳥(1950)
★羅生門 (1950)
★浅草の肌 (1950)
 遙かなり母の国 (1950)
★続蛇姫道中 (1950)
★蛇姫道中 (1949)
 最後に笑う男(1949)
★痴人の愛 (1949)
 三つの真珠 (1949)
★地下街の弾痕 (1949)
★花くらべ狸御殿 (1949)
 天狗倒し(1944)
 団十郎三代 (1944)

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「妖精は花の匂いがする」 [映画]

youseihahananonioigasuru.jpg
〔1953年/日本〕


大阪の、ある私立の女子大。
金持ちの娘が多く通う、この大学で、
小溝田鶴子(久我美子)は、
病気の姉を抱えて、
アルバイトで学費を稼いでいる。


田鶴子の親友・水絵(木村三津子)は、
助教授・丹下(森雅之)に
深い恋心を抱いており、
結婚まで考えている。


しかし、丹下は、
美しく、健気な田鶴子に
何かと目をかけ、
水絵は次第に、
田鶴子に激しい嫉妬心を抱くようになる。


田鶴子は金のため、
絵のモデルのアルバイトを引き受けるが、
ヌードになった事が学校に知れ、
大問題に発展してしまう・・・。





美しい久我美子さん。
華族の出という久我さんは、
美しいだけでなく、
その品格にも圧倒されてしまう。


私は、
若尾文子さんや、京マチ子さんのような、
ドロドロした映画に出る女優さんに
惹かれる傾向があるけれど、
久我さんは、別の意味で憧れ。


この映画の久我さんは、
学費にも事欠くような、
とても貧しい女子大生の役を演じておられるけれど、
若尾さんや、京さんなら、
「赤線地帯」まっしぐらになりそうなところを(笑)、
決してそうはならない。


どんなに貧しくても、
品位を失わず、
どこか世間知らずな久我さんはとってもいい。


そう、とってもいいんだけど、
ただ、一箇所だけ、ちょっとイラっと(笑)。


絵のモデルになった時、
契約になかった、ヌードになった理由が、
「絵描きがスランプに苦しんでいて、可哀想だったから」って・・・。


そのあと、すぐに、
「もちろん、お金のためだけど」と付け加えはしたけれど、
どうも、引っ掛かるなぁ。
これは、感覚の問題なんだろうけど、
相手が可哀想だから、裸になる、というその思考回路が、
私の「イラ」のスイッチを押してしまったようだ(笑)。


それに比べて、
久我さんのお友達の水絵は、分かりやすい。


自分が片想いしている助教授の心が、
久我さんに傾いている事を、
薄々察している水絵は、
嫉妬の気持ちがあからさまに態度に出る。


うん、苦しいよね。
嫉妬は本当に苦しいよね。
恋って本当に厄介なものだわ。


評価 ★★★☆☆

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「タンポポ」 [映画]

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〔1985年/日本〕


トラックの運転手、
ゴロー(山崎努)と、ガン(渡辺謙)は、
ある日、ふらりと来々軒という、ラーメン屋に入った。


女店主・たんぽぽ(宮本信子)の作るラーメンは
味がイマイチで、
それを指摘したゴローに、
たんぽぽは、弟子にしてほしいと頼み込む。


その日から、
体力づくり、
他店の視察など、
特訓が始まるが・・・。





私が、以前働いていた図書館で、
今でも、
「映画会ボランティア」をしている事は、
何度か書いているのだけれど、


それは、近隣住民の皆様のために、
図書館の会議室で映画を上映する、
というボランティアで、
作品決めから、当日の会場の設営から
片付けまで、
全て手作りで行っている、楽しい会。


で、数年前、
この「タンポポ」を上映したのだけれど、
当日、お当番だった仲間の2人が、
「とても激しくて長いエロシーンがあって困った」と
報告があった。


明確な決まりはないのだけれど、
図書館内で行われている催しという事で、
あまり激しいエロシーンがある映画は避けようと、
自主規制しているのだ。


で、今回、この「タンポポ」のDVDを
友人から借りて観たわけだけれど、
正直、件のエロシーンとやらを楽しみにしていた(笑)。


あれ?思ったいたほどには激しくないし、
時間も、それほど長くはない。
こんなもんか、って感じ。


いや、でもそれはきっと、
私が一人で観ていたせいで、
その時は、とてつもなく激しく長く
感じられたのだろう。
家族や、
付き合って日の浅い恋人と一緒に観る映画の
ラブシーンが、
めっちゃ長く感じられるのと
同じ感覚だったのだと思う。


あれ、エロ問題ばかり書いてるけど、
この映画のテーマは、ラーメンよ。
ラーメンについて書かなくちゃ。


この映画が公開されて、33年、
ラーメンもずいぶん進化を遂げたなぁ、
というのが第一印象。


今、この映画に出てくるような、
シンプルなラーメンを出すお店って、
あまり見ないような。


今の、色々凝っているラーメンは
とても美味しいと思うけど、
この映画に出てくるような、
シンプルなラーメンを
久し振りに食べたくなる。


それから、オムライスも。
めっちゃ美味しそうなオムライスの場面があるから。


伊丹十三監督は、
映画を通して、
「人間の3大欲求」と、
「食の基本」を描きたかったのではないかと
そんな気がしています。


評価 ★★★☆☆

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「ワイルド・スピード スーパーコンボ」 [映画]

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〔2019年/アメリカ〕


ロスで暮らす、
元FBI捜査官のホブス(ドゥエイン・ジョンソン)と
ロンドンで暮らす、
元MI6エージェントのショウ(ジェイソン・ステイサム)。


2人のところに、
政府から協力の要請が入る。
それは、
MI6の女性エージェント・ハッティ(ヴァネッサ・カービー)が
テロ組織から、
全人類を滅ぼす危険なウイルス兵器を奪うも、
行方不明となったため、
その行方を捜してほしい、というミッションだ。


実はハッティは、
ショウの実の妹で、
ウイルスを奪ったのはいいが、
テロリストのボス・ブリクストン(イドリス・エルバ)に急襲され、
姿を消したのだ。


互いに反目するホブスとショウだったが、
ハッティ救出の為に、
協力せざるを得ず、
渋々コンビを組むが・・・。





小学生の頃、
「いつか、人類が滅びるとしたら、
 その原因は、
 巨大生物(恐竜など)ではなく、
 目に見えないウイルスだろう」
と書かれた、子供向けの本を読んだことがある。


また、別の本で、
アマゾンのジャングルで迷子になった少女が、
常日頃、父親から、
「ジャングルで迷ったら、
 肉食動物(豹など)より、
 ”目に見えないもの”に気を付けながら、河を下流に向かって歩きなさい」
と言い聞かせられていた、と書かれていたことも覚えている。


その時は、
人類が滅びるったって、
それは、私が大人になって、死んで、
さらにそれからずっと先の事、
関係ないや、と思っていたし、


ジャングルで迷うなんて、
今も、この先も、私の人生で、
まず有り得ない事だろう、と、
完全に他人事だった。


けれど今、あの時読んだ本の、
読み過ごしてしまいそうな箇所が、
現実となっていることに驚くし、
そして、今にして思えば、
その部分だけを、やけに覚えているのは、
やはり子供ながらに、心のどこかで、
ウイルスの脅威を感じていたのかもしれない、とも思う。


・・・って、すみません。
映画とは全然関係ない事を。
この映画もやっぱり、
全人類を滅ぼすウイルスを扱った内容なので、
最近思った事を書いてしまいました。


公開は去年の8月で、
まさか、その半年後に、
地球上のあらゆる国が、
今のような状態になるなんて夢にも思っていなかっただろう。


しかも、ワル側の主役で、
イドリス・エルバが登場した瞬間に驚いた。
イドリス・エルバといえば、
新コロ騒動の割と早い時期に、
感染したとして、ニュースになった俳優さんじゃないか。
たまたまの事だけど、
偶然ってすごい。


これを書いている、
5月19日、
都内の新規感染者は5人。


このまま終息に向かってほしい。
そして、希望を言うなら、
二度と感染者が出る事なく、
平和で幸せな日本に戻ってほしい。


言霊って、絶対あると思うから、
悪い事は書きません。
今が笑い話になる日がきっと来る、
そう信じます。


評価 ★★★☆☆

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「恐怖の時間」 [映画]

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〔1964年/日本〕


都内のある警察署内は、
今日は平和で、
宿直以外の刑事たちは、
そろそろ帰る準備をしていた。


するとそこへ、拳銃を持った男(山崎努)が押し入り、
「山本という刑事を殺す」と息巻いた。
男は、麻薬の密売をしていた自分の恋人が、
山本刑事に射殺された事を、
逆恨みして、やって来たのだ。


しかし、当の山本は、
外出していた。
男は、刑事たちを人質に立て籠り、
山本を待つと言う。


男は、拳銃だけでなく、
瓶に入ったニトログリセリンを持っていた。
これだけの量のニトロが爆発したら、
この建物など、吹っ飛んでしまう・・・。





大抵の立て籠もり映画は、
ものすごく緊張する作品が殆どだけど、
この映画は、それほどでもなかった。


だって、監禁されているのは、
刑事たちよ。
普通に考えて、犯罪のベテランよ。
しかも、7~8人もいるのよ。
それだけ雁首揃えて、
こんなチンピラの一人くらい、
対処できなくてどうする。


・・・と、そう思いながら観ていたけれど、
刑事さんたち、
結構、失態が多い。
口を滑らせて、
山本刑事が帰ってくる時間を言っちゃったり、
事情を書いた紙を、窓から落としたのに、
通報を受けた人が、
その部屋に電話を掛けてきたり。


途中、なんとかして、
チンピラの手から、
拳銃を離す事に成功したのに、
その拳銃を手にしたのは、
なんと、殺人で逮捕されて、
手錠で繋がれていた女。
鈍くさい流れだわ(笑)。


犯人が待つという山本刑事の役を、
加山雄三さんが演じているのだけど、
その妻役が、星由里子さん。


「若大将シリーズ」は観た事がない私でも、
2人が名コンビだった事は、
当然、知っている。


この映画と、「若大将」シリーズとでは、
どちらが先だったのだろうと、
調べてみたら、


「若大将」が1961年から1971年で、
この映画は、なんと1964年。
おそらく、シリーズの全盛期じゃないか。


当時のお客さんたちは、
きっと胸ときめかせたんじゃないかなぁと、
勝手に想像。


だって、星由里子さんは妊娠していて、
加山さんが付き添って、
病院で検査を受けた帰り、というシーンが出てくるんだもの。
なんだか、洒落ている。


「若大将」シリーズにも、
そろそろ、とりかかってみたい。


評価 ★★★☆☆

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