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「死ぬにはまだ早い」 [映画]

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〔1969年/日本〕


高橋幸治と緑魔子の不倫カップルが、
車で帰る途中、
山小屋風のスナックに寄った。


店内には、チンピラ風の男・黒沢年男、
マスター、医者、タクシー運転手、新婚カップル、
女性の二人連れ、男の一人客がいた。


そこへ、
凶悪犯を追ってきたという警官が入ってきた。
すると黒沢は、ためらいもせず、警察官を射殺し、
10人を人質に、立て籠もった・・・。





何の変哲もないスナックに、
凶悪犯が立て籠もった時、
犯人は、そして、そこにいた人間たちは、
どのような行動に出るのか、
人の心理が上手く描かれた、秀作。


82分の短い映画だけど、
面白さが凝縮されている。
映画は長ければいいってもんじゃない。


出だしは、
倦怠感溢れる、
緑魔子と高橋幸治のカップルが、
けだるそうに会話している。


2人は特に、愛し合っている風でもなく、
何となく、暇つぶしに会っているというように見えて、
予備知識ゼロで観始めた私は、
この二人の恋愛の顛末を見せられるのかな、と思いながら観る。


なので、
休憩のために入ったスナックで、
黒沢年男が銃を持って立て籠もった時の私の顔は、
登場人物たちと同じだったと思う。


怖いなぁ、
気の小さい男が、
自暴自棄になって、
もうどうにでもなれと、暴れた時って。


映画だから仕方ないけど、
人質たちは、
余計な事を話したり、行動したりして、
その度に、犯人を激昂させる。


これが現実で、
もし私が人質だったら、
もう絶対、一言も口をきかないな、と、
この手の映画を観ると、いつも思う。


何を言ったって、
興奮している犯人の心を動かすなんて、まず無理だし、
それに、どこに地雷があるか分からない。
怒らせて、撃たれたりしたら、
それこそ、取り返しがつかない。


それより、犯人だって、
そのうち絶対疲れてくるはずだから、
それを待った方が賢明な気がする。


それから、心打たれたのが、
黒沢年男が、高橋幸治に拳銃を向けた時、
緑魔子が高橋の前に立ち、
「私を殺しなさい」と言った場面。


愛なんてなさそうな2人だったのに、
緑魔子は、
本当は高橋を愛していたのだと。


そして、その後、
話はトンデモ展開に。
最後まで目が離せない。


評価 ★★★★☆

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