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「硝子のジョニー 野獣のように見えて」 [映画]

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〔1962年/日本〕


稚内の貧しい漁村で暮らす、
少し頭のゆっくりな娘・みふね(芦川いづみ)は、
女衒の秋本(アイ・ジョージ)に売られるが、
途中で逃げ出して、列車に飛び乗る。


列車の中で出会った男・ジョー(宍戸錠)と、
いつしか一緒に暮らすようになったみふね。
しかし、秋本がついに彼女を探し出す。


一度は秋本を追い払ったジョーだが、
結局はみふねを捨てて、
出ていってしまう。
それに気付いたみふねは、
今度は、
秋本の所へ行き、
彼の傍を離れようとはしない。


結局、秋本も、
みふねを捨てていく。
絶望的な孤独から、
稚内に帰ったみふねだが、
家族が行方不明だと知り、呆然とする。


そこへ、
ジョーと秋本がやって来て・・・。





神保町シアターで、
芦川いづみ特集をしていることは、
先日書いたけれど、
この、「硝子のジョニー」は、
芦川いずみ出演作の人気投票で、
2位になったという作品。


確かに納得。
どちらかというと、線の細いイメージの芦川さんの
体当たり演技に、
少し驚く。
こんな役ができるのか、と。


物語は、どう見ても、
フェリーニの「道」のパクリなのだろうけど、
「道」のジェルソミーナには、
ザンパノ1人だったのに対して、
こちらは、2人。


1人に捨てられるより、
2人に捨てられる方が、
そのショックは当然2倍強く、
誰に出会っても、
どんなに約束しても、
同じ結果にしかならないみふねに、
こちらは溜息しか出ない。


最初はイライラするんだ。
みふねがジョーを頼るのはまだ分かるとしても、
ジョーに捨てられた、その後、
なぜ女衒の秋本なんかに尽くすのか、って。


でも、
みふねの圧倒的な孤独が胸を打ち、
男に頼る事でしか生きていく術がないのだろうと思うと
納得がいく。
人はみんな、
多かれ少なかれ、
誰かに頼ったり、頼られたりして、
生きているんだろう。
みふねを笑える人なんて、
いはしない。


ラストまで、
悲しい映画だった。


評価 ★★★☆☆

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