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「河」 [映画]

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〔2015年/中国〕


チベットの遊牧民のツェテン一家。
まだ幼い娘・ヤンチェン・ラモは、
母のお腹に赤ちゃんがいると知り、
不安になる。
もう両親の愛情を独り占めできなくなるのでは、と。


父のグルは、
彼の父(ヤンチェン・ラモにとっての祖父)に
ある確執を抱えており、
どうしても許す事ができない。


そんな祖父が病気になり、
ヤンチェン・ラモは父と一緒に、
見舞いに行くが、
父は、祖父に会う事を嫌がり、
自分は扉の前で待ち、
ヤンチェン・ラモだけを中に入らせる。


そんなある日、
一家が飼っている羊が一頭、
狼に殺され、
母を失った子羊を、
ミルクで育てるようになるが・・・。





「中国現代映画特集2016」の上映会に当選し、
角川のビルの中にある映写室で観た。


さすが、角川。
映写室も、ロビーも、お手洗いも、
それはそれは清潔で、
とても気持ちがいい。
腐っても角川だ(すみません(笑))。


で、この映画。


チベットの遊牧民の家族の日常を描いているわけだけれど、
何といっても、
ヤンチェン・ラモの愛らしさに尽きる。


彼女は、しっかりしているように見えるけれど、
そこはまだ子供。
生まれてくる赤ちゃんの存在を脅威に感じるところなど、
私もその気持ち、分かるなぁと思ったりして。


母親を失った子羊を、
殊の外、可愛がる様子は、
まるで子羊に自分を重ねているようにも見えて、
ちょっと切なくなる。
子羊の、その後の顛末も悲しい。


哺乳瓶などないチベットでは、
子羊を人間の手で育てる時は、
動物の角を哺乳瓶代わりにするのだと、
初めて知った。
物が無いなら、無いなりに工夫する。
そういった事って、
とても大切なんじゃないかと思ったりする。


それから、
ヤンチェン・ラモの父の気持ちが、
私には痛いほど、よく分かった。


父の父は、
家族より、僧侶の道を選び、
村の人からは、
「立派な人」だと言われている。


しかし、社会的にどんなに立派な人でも、
家族にとっては、必ずしもそうとは限らない。
他人は表っつらの事しか知らないから、
勝手な事ばかり言うけれど、
お前がこの親の子供だったら、
果たして同じ事が言えるのか、と言いたい。


チベットの荒涼として風景には言葉も出ない。
見渡す限り、何もない高原。
冬は大雪が降るわけではないけれど、
大地は凍っており、
テントを張るために杭を打ち込むのも一仕事なようだ。


地球って、本当に広い。


評価 ★★★☆☆

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