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「海賊じいちゃんの贈りもの」 [映画]

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〔2014年/イギリス〕


ロンドンで暮らすマクラウド家の、
お父さん、お母さん、
しっかり者の9歳の長女・ロッティ、
海賊に憧れる6歳の長男・ミッキー、
おしゃまな末っ子・ジェスの5人は、
おじいちゃんの75歳の誕生日パーティに参加する為、
スコットランドまで、今まさに車で出発しようとしている。


けれど、子供たちはお父さんとお母さんから、
念を押されている。
二人が既に別居し、
離婚に向けて協議中である事を、
おじいちゃんや親戚のみんなに
絶対に話してはいけないと。


おじいちゃんの家に着いたけれど、
大人たちの争いは絶えない。
お父さんと伯父さんの仲は悪く、
伯父さんの奥さんは、なんだか不安定。
従兄弟はバイオリンばかり弾いている。


子供たちとおじいちゃんは、
海までドライブに行く事にした。
浜辺でおじいちゃんは、
自分が海賊の末裔である事を話してくれた。
子供たちは大興奮。


ところが、ふと気が付くと、
おじいちゃんが息をしていない。
驚いた子供たちは、
自分たちだけで、おじいちゃんが望んでいた
「海賊式のお葬式」をしてあげようと思い付く・・・。





これは面白い。
人の死を笑いにしてはいけないんだろうけど、
そんな事どうでもいいくらい、クスクス笑いが止まらない。
劇場内からも、笑い声が聞こえる。


なんだろう、死の中にある可笑しみというか、
全ての出来事の中にある滑稽さが、
本当に上手く描かれていて、
そこで右往左往する大人たちが可笑しくて。


どうしようもない大人たちに対して、
子供たちの、
冷静さと、可愛さと、自由な発想。
素晴らしい。


おじいちゃんが主役だと思っていたけれど、
割と早い時間に亡くなって、
そこから起こる騒動は
思い出すだけで笑えてくる。


「海賊式お葬式」は、
他の映画でも観た事があるけれど、
それを子供だけでしてしまった事が大問題で、
大人たちは絶句する。


子供たちの精神状態を心配して
児童相談所?から来た女性がする、
トンチンカンな尋問。
さらに、この衝撃的な出来事を聞きつけて
押しかけてくるマスコミ。
全てが可笑し過ぎる。


映画を観ている者は、
子供たちがした行為は必然というか、
そこに行き着くまでの流れを知っているから、
なんら不自然さを感じないのだけれど、


いきなり聞かされた大人は、
それは仰天するでしょうね。
私だって、もしもこんなニュースをネットで見たら、
「その子供たち、大丈夫なんだろうか」と
思ってしまうに違いない。


「海賊式お葬式」、いいなぁ。
理想だわ。
私も死んだら、ああしてほしいけれど、
でも日本では禁止なんでしょうね、たぶん(笑)。


評価 ★★★★★

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「アデライン、100年目の恋」 [映画]

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〔2015年/アメリカ〕


アデライン・ボウマン(ブレイク・ライヴリー)は、
29歳・・・という事になっているが、
実は100歳を超えている。


彼女は1908年生まれだったが、
車の事故を起こした時、
雷に打たれ蘇生し、
その作用で、年を取れなくなってしまったのだ。


彼女には娘がいるが、
その娘も今は老人。
一緒にいると、祖母と孫のようにしか見えない。


アデラインは、昔、心から愛した男がいたが、
彼と一緒に年を取れない悲しみから、
プロポーズ寸前の彼の前から姿を隠した過去があった。


そんな彼女がパーティで知り合った
エリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)と
恋に落ちた。
エリスの両親の結婚40周年パーティに招待され、
彼の家を訪問すると、
彼の父・ウィリアム(ハリソン・フォード)は、
アデラインの顔を見た途端、激しく動揺する。
彼女が、かつて愛した女性にソックリだったから・・・。





ロマンティックで、
なかなか面白い映画だった。


普通のスピードで年が取れずに苦しむ主人公の映画は、
バンパイア物などでたまに観るけれど、
この映画はオカルトの要素は無く、
ファンタジーには違いないんだろうけれど、
あくまでも、現実の事として描かれている。


だから感情移入がしやすい。
かつて、心から愛した男が、
年を取った姿で自分の前に現れたら、
そしてその時、自分は1ミリも老けていなかったらと、
想像すると、
嬉しいよりも、怖ろしいような気持ちになる。


もちろん、誰にだって、
同世代の人よりは若く見られたいとか、
出来れば年を取らずにいたいといった願望はあるけれど、
まるっきり年を取らないのは辛い。
それでは、永遠の時を彷徨うドラキュラと変わらない。


愛する人と一緒に年を重ねて、
寿命が来たら死ぬ。
それが一番自然で、普通の事。
私は永遠の若さなんて要らないな。


それより、アデラインの秘密を知った
恋人のエリスは、どう思ったのだろうと、
それが気になる。


だって、彼が29歳だと思っていた女性は、
実際は100歳を超えてるのよ。
老女と付き合ってるって事になりはしないか?(笑)


顔や体が29歳のままだからいいのかな。
うーん、その辺、どうやって自分の中で折り合いを付けたのかが
気になる(笑)。


オチがすごい好き。
上手いなぁと思ったし、
ホッとできる。


評価 ★★★★☆

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「オカンの嫁入り」 [映画]

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〔2010年/日本〕


宮崎あおいは、
自分が生まれる前に父を亡くし、
以来、母・大竹しのぶに育てられてきた。


ある夜、大竹は、
金髪に赤いジャンパーを来た、
30歳の男・桐谷健太を伴い、
泥酔して帰ってくる。


翌日、大竹が、
「桐谷と結婚する」と宣言し、宮崎は仰天。
断固反対の姿勢を貫くべく、
隣の祖母の家に避難する。


宮崎は、3年前のある出来事から、
心の病になり、
働きに出られなくなっていた。


また、大竹も、
宮崎には言えない、
ある秘密を抱えており・・・。





「これは絶対に原作を読んでいるはず。
うん、間違いない、読んでるよ・・・」と思うのだけれど、
オカンが若い男と結婚するという以外、
不思議なくらい何も覚えていない(笑)。


気になって日記を調べてみたら、
やっぱり読んでいた。
映画化される事を知って、慌てて読んだらしい。
結局、劇場には行かなかったけれども。


で、5年経って今になって、
映画を観てみたわけだけれど、
同じ大竹しのぶなら、
この間書いた、「キトキト!」よりは好きかな、と思う。
宮崎あおいたん好きだし。


タイトルは「オカンの嫁入り」だけれど、
それより、
母と娘の関係の方に重きが置かれている気がする。
「婿役」の桐谷健太の存在は、
あまり重要でない感じ。


それより、めっちゃ頭にきて、
そして気持ち悪く思ったのが、
あおいたんが心の病を患い、
会社に行けなくなってしまった経緯。


あおいたんは普通のOLをしていたのだけれど、
ある日、転勤してきた男によって、
運命を変えられてしまう。


男は最初は調子が良かったのだけれど、
次第に、あおいたんに付き纏うようになり、
最後は暴力を振るう。
その時のショックで、あおいたんは電車に乗れなくなってしまう。


付き合ってもいない
(付き合ってても駄目だけど)
男から、
なんでこんな目に遭わされなければならないのか。
こんなキチガイ男のせいで、
人生まで狂わされるって、
本当に最悪だけど、
結局泣き寝入り。
こんな事件って、
現実のニュースでもたまに見るけど、
どうにかならないものなのか。


オチはちょっと緩すぎな気もするけど、
まぁ、こんなもんか、ってラスト。


評価 ★★★☆☆

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◆愛子いとしや◆ [本]


愛子いとしや

愛子いとしや

  • 作者: 川口 松太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1982/06
  • メディア: ハードカバー


第一回直木賞受賞者であり、
私の大好きな川口浩様のお父様でもある
川口松太郎さんが上梓された本。


タイトル通り、奥様で女優の三益愛子さんの死後に出された本で、
それはもう、全編、三益さんへの愛で溢れている内容。


この本を読んだ理由は、
お父様から見た、浩様と野添ひとみさんの様子や、
川口家全体がどんな雰囲気だったのかを
知りたいというミーハーなものだったけれど、
結局、ご夫婦の愛情に当てられて終わった(笑)。


子供の話題に関して言えば、
長男の浩様より、
弟妹の恒さん、厚さん、晶さんに関する記述が多い。
それは、浩様の影が薄かったわけではなく、
他の3人が、麻薬で逮捕されるなど、
話題が多すぎて、
必然的にそうならざるを得なかったからに他ならない(笑)。


一度も警察沙汰を起こさず、
離婚を経験しなかったのも浩様だけで、
下の3人は、何かあると浩様に相談に行っていたらしいことが
読み取れる。


川口家だからと、ひいきするわけではないけれど、
松太郎さんの良い所は、
警察沙汰になった子供たちを、
決して庇うような記述がない所。
「育て方が甘かった」と、
きちんと認めておられる。
これが、
「親が留守がちだったから、可哀相だった」などと書かれていたら、
興醒めする所だっただろうと思う。


それにしても、
三益さんより11歳も年上で、
当然自分の方が先に逝くと思っていたところに、
妻に先立たれたショックは、
如何ばかりかと想像する。


そして、浩様が亡くなられたのが、
松太郎さんが亡くなった、
たったの2年後。
51歳という若さだったけれど、
一つだけ幸いだったのは、
松太郎さんより前に亡くならなかった事かと思う。


最愛の妻と、
さらには長男まで先に亡くされていたら、
松太郎さんは、
立ち直れないくらいのショックを受けていただろう。
親と子が、2年差で亡くなるのは、
通常ではあまりない事だ。
とにかく松太郎さんを先に見送れた事だけは、
赤の他人の私が言うのも変だけれど、
ちょっとホッとしている。

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「悪夢のエレベーター」 [映画]

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〔2009年/日本〕


とあるマンションのエレベーターが急に停止し、
4人の男女が閉じ込められてしまう。


昨日刑務所を出たばかりの空き巣狙い・内野聖陽、
ジョギングに出掛けようとしていたモト冬樹、
浮気相手の部屋から出てきた斎藤工、
学校でいじめられ、今から飛び降り自殺しようと考えている佐津川愛美。


モト冬樹は、
他人の手を握っただけで、
その人の心が読めるという
超能力の持ち主で、
内野、斎藤、佐津川の
それぞれの事情を読み取ってしまう。


エレベーターの非常ボタンは
いくら押しても反応せず、
ケータイは、電池切れだったり、忘れたりで、
外部との連絡は不可能。
4人はどうなるのか・・・。





前半はシチュエーションムービーといった様相で、
狭いエレベーターの中での会話と、
回想シーンが殆ど。


泥棒と、ジョギングに出掛ける中年男と、
浮気してる若い男と、自殺願望の少女。
こんな一癖も二癖もある輩が4人も揃えば、
それなりに会話も面白く、
見入ってしまう。


その中でも、
私は内野聖陽が好きだなぁ。
変な大阪弁を操って、
ごちゃごちゃとまくし立てる様子に、
大変な力強さを感じる。


先日の「黒い家」の感想で、
ヘタレなおっさんみたいな事を書いてしまったけれど、
ここで訂正します(笑)。


ウットリするのは斎藤工くん。
妻が臨月だというのに、
愛人の誕生日に指輪を渡し、
しかし、妻の陣痛が始まったと聞けば、
愛人を捨てて駆け付けようとする最悪の夫なのだけれど、
それをあの顔で演じられると、
「彼が何をしても許しちゃう」ってな気持ちにさせられる(笑)。


そんな状況が最後まで続くのかと思っていたけれど、
後半は、流れが変わってくる。


何かあるんだろうな、と思っていたから、
驚きはしなかったけど、
斎藤君の運命に、ちょっとビックリだったけど。


評価 ★★★☆☆

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