SSブログ

「岸辺の旅」 [映画]

image.jpg
〔2015年/日本〕


夫・浅野忠信が突然失踪し、
3年が過ぎた。
妻・深津絵里の傷もようやく癒え、
ピアノの教師として、なんとか生活できるようになった頃・・・。


突然、浅野が帰宅する。
彼は、「自分は死んだ」と言う。
富山の海で自死し、体は蟹の餌になっているだろう、と。


浅野は、この3年、
人間に紛れて生活していたと言う。
そしてその間、世話になった人を訪ねたいと、
深津を誘い、旅に出る。


古い新聞販売店、
小さな食堂、
山奥の農村。


旅を続けてゆくうちに、
浅野と深津は、
自分たちの絆について考えてゆく・・・。





浅野忠信が死者を演じるという本作。


愛する人が突然いなくなった時、
ハッキリその死を知らされるのと、
生死が不明なのとでは、
どちらが辛いだろう。


どっちつかずの状態でいる方が辛いのか、
かすかな望みでも、
そちらに賭けた方がいいのか。


そんな宙ぶらりんの状態でいる妻の所へ、
突然帰ってきた、
幽霊の夫。
しかし、夫がなんだか幽霊らしくないのが面白い。


しかも彼は、
死んでから3年間、
日本の各地を放浪していたと言う。
彼に接した人々は、
彼を幽霊だとは夢にも思わずにいたらしい。
それどころか、
この世には、
浅野と同じように、
普通に生活している幽霊がいるらしい。
そんな事を知らされると、
私まで、周囲を見回したいような気持になる(笑)。


人の、生と死の境目って、
どこにあるんだろうと考えてしまう。


それから、
諦めていた人にもう一度会える、それはいいけれど、
今度本当に別れる時って、
それまで以上に辛いんじゃないかと思う。
そんなだったら、会わない方がいい気がしたりして・・・。


ある役で、
ほんの5分ほどしか出ていない、
蒼井優が、すごい。
彼女はよく、「魔性の女」などと
ゴシップ誌で揶揄されることがあるけれども、
本当に魔性に見える。


これは演技なのか、
無意識なのか。
ただただ、ビックリ。


評価 ★★★☆☆

nice!(60)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画