SSブログ

「たそがれ酒場」 [映画]

image.jpg
〔1955年/日本〕


夕暮れ時。
もうすぐ「たそがれ酒場」が開店する時間。


常連客で、みんなから先生と呼ばれている梅田(小杉勇)は、
元は有名な画家だったが、
今はパチプロとして、小金を稼いでいる。


ピアノ弾きの老人・江藤(小野比呂志)の伴奏に合わせて、
歌手志望の青年・健一(宮原卓也)が歌っている。
ウエイトレスのユキ(野添ひとみ)も、
ピアノに合せて一曲歌う。


元軍人の男、
大学の講師と生徒たち、
愚連隊・・・さまざまな人間で酒場は満員。


客の中に、大きな歌劇団の団長・中小路がいて、
健一の歌声に惚れ込み、
スカウトしてきた。
大きなチャンス。
しかしなぜか江藤は、
その話を頑なに反対する・・・。





神保町シアターで観た。
野添ひとみさんが出ているからというのが理由。


開店から閉店までの酒場の中で起こる
様々な出来事を、
酒場から一歩の外に出る事なく
描いた映画。
これが、いわゆる「グランドホテル形式」というのだろう。


とにかく次から次へと、
スター俳優が現れる。
よーく顔を見て、
「あ!」と気付いたのが、
丹波哲郎と宇津井健。
若すぎて、すぐには分からんかった(笑)。


スターも現れるけど、
事件も起こる。
一晩でこんなに事件が起こる酒場なら、
行ってみたいと思うくらい(笑)。


一つ一つのエピソードは、
それほど掘り下げられるわけではなく、
なんとなく時間が過ぎてゆく。
まぁ、全体を俯瞰して眺めるような映画だから、
当然といえば当然かも。
全員が、酒場の客と従業員でしかないのだから。


この中で、出色なのは、
梅田役の小杉勇さん。


こういう初老の男性ってたまにいる。
人生の何もかもを知り尽くして、
優しくて、達観していて、
枯れているわけじゃないけど、ギラギラしているわけでもなくて、
とにかく素敵な人。


この梅田が、
江藤に、「健一を歌劇団に入れてやってくれ」と説得する場面は、
静かだけれど、圧巻。
何の反論もできないその内容に聞き入った。


評価 ★★★★☆

nice!(69)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画