SSブログ

「サイドウェイズ」 [映画]

sideways.jpg
〔2009年/日本〕


シナリオライターの肩書ながら、
現在は、シナリオ学校の講師に甘んじる小日向文世は、
留学時代の親友・生瀬勝久の結婚式に出席するため、
ロサンゼルスに赴く。


生瀬はアメリカで、
忍者役の俳優として、多少名が売れていたが、
レストランオーナーの婚約者の父親に見込まれ、
現在は雇われ店長をしている、
いわば逆玉に乗った男だ。


生瀬は、結婚前の一週間を、
親友の小日向と過ごしたいと花嫁に言い、
2人でドライブ旅行に出かけるが、
実は、羽目を外す気満々で、
ラスベガスで、女を引っかける事しか頭にない。


しかし、小日向は、
学生時代に家庭教師をした教え子・鈴木京香に会いたいと願い、
彼女が住むナパバレーを目指す。


ナパバレーで、偶然鈴木と再会した2人。
すっかり大人になった鈴木に、
小日向は戸惑い、
生瀬は生瀬で、鈴木の親友・菊地凜子に目を付け、
自分が結婚を控えている事を隠し、
彼女といい仲になってしまう。


小日向と鈴木は、
互いに、会わなかった期間に起きた、
自分の身の上を打ち明け合うが、
小日向が鈴木に言った、
「日本に帰ってくれば・・・」の言葉に、
アメリカで頑張る事を決めた鈴木が言い返し、
険悪なムードになってしまう・・・。





2005年のポール・ジアマッティ主演の映画「サイドウェイ」を、
日本人のキャストでリメイクした作品。


「サイドウェイ」も、地味ながら、
味わい深い映画だっと記憶しているけれど、
本作も観終わった後、
不思議な余韻が残る。
頭の中に、映画の雰囲気が残って、
少しの間離れずにいた。


まず一番重要なのは、
映画の舞台となった、ナパバレーという土地。
ここは、ワインの生産が盛んで、
ワイナリーと呼ばれる、
ワインを試飲できる施設が多数あるようだ。


おそらく、ワイナリーの本当の目的は、
業者による買い付けにあるのだろうと想像するけれど、
個人でも楽しめるらしく、
2人の中年男が試飲する場面がとても多い。


よく分からないけれど、
こういった場合、
ワインは飲み込んではいけないのだろうか?
口に含んだ物を専用の容器に吐き出している場面があったけれど、
もし、私がワインが大好きだったとしたら、
なんだかストレス溜まりそう、と思ったり(笑)。


さらに、ある事にキレた小日向が、
その吐き出す為の専用容器の内容物を
逆に飲んじゃう場面には
「うげー」と1人で叫んじゃった(笑)。


アメリカ人のお嬢様と結婚する生瀬が、
花嫁の両親を目の前にして、
「どうせ日本語は分からないんだから」と、
小日向に色んな事を話す場面に、
クスクス笑ってしまう。


それから、生瀬は忍者俳優として、
アメリカでは結構有名だという設定で、
歩いていても、
時々ファンから声を掛けられる。
で、薬局でお買い物する時も、
子供に騒がれて、
“目的の物”が中々買えないという状況に(笑)。
有名になるというのも、大変ね。


真面目で不器用な小日向には、
幸せになってほしいなぁと、本気で思いながら観てしまう。


評価 ★★★★☆

nice!(27)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「17歳」 [映画]

17sai.jpg
〔2014年/フランス〕


パリの名門女子高に通うイザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、
医師の母と、母の再婚相手、
そして弟の4人暮らし。
彼女は、家族とやってきたバカンスの地で、
ドイツ人の青年と初体験をする。


その数日後に17歳になったイザベルは、
パリに戻ったのち、
ネットで知り合った男を相手に、
売春するようになる。
その際は、自分を“レア”と名乗り、
ソルボンヌ大学の学生だと偽る。


初めての客・ジョルジュ(ヨハン・レイセン)は、
老人だが紳士的な男で、
その後、度々イザベルにコンタクトしてきては、
何度も体を重ねるようになる。


その日も、いつものように、
ジョルジュと会ったイザベルだが、
性行為の最中、ジョルジュが突然死んでしまうという
アクシデントに見舞われる。


ショックのあまり、
ジョルジュの遺体をそのままに、
部屋を飛び出したイザベル。
しかし、警察は彼女を割り出し、
家宅捜索までされてしまう。
イザベルの裏の顔を知った母は動転し、
彼女に詰問するが・・・。





17歳になったばかりの女子高生が、
売春行為に走るという、
扱い方によってはセンセーショナルになりそうな内容のものを、
綺麗にまとめた作品。
監督はフランソワ・オゾン。


イザベルがなぜ売春を始めたのかは、
何も語られないし、分からない。
初体験がアブノーマルだったという事もないし、
むしろ彼女は淡々としている風に見えた。


映画を観る者が各自で判断してほしいという
事なのだろうか。
小説でいえば、行間を読む、とか?


ヌードや、性交のシーンがとっても多いけれども、
不潔感はなく、
観ているこちらも、
イザベルがそれほど悪い事をしているようには思えないという
錯覚に陥ってしまう。
女衒のような男もいないので、
犯罪組織に関わるわけでもない。
全ては、彼女1人がしていた事。


しかも、こういった場合、
イザベルの方が被害者の扱いになるという。
未成年の少女が売春した場合、
買った大人が悪いという事なのでしょうね。


イザベルの売春そのものより、
私が最悪だと思ったのは、
その事が家族に知れた後の、
家の中の雰囲気。


母はもう、イザベルを今までのように普通の娘として見る事ができず、
夫が彼女と2人だけで話しているだけで、
怒るようになってしまう。
これが実の父娘なら、
そう不安にはならないだろうけれど、
血の繋がらない父娘なだけに、
母の気持ちも分からなくはない。


一番大切なはずの娘なのに、
「夫を誘惑されたら」と思うようになっては、
もう母娘関係は終わったと言ってもいい気がする。
それは本当に悲しい事だけれど。


バイアグラを飲んでまで、
17歳と関係したいという老人に、
女は、「しょうがないなぁ」という半笑いだけれど、
当人にしてみれば、
案外真剣なのかもしれない、とも思う。
男じゃないから、深い部分では分からないけれども(笑)。


ただ、17歳の女の子と一緒の時死ぬのは、
いくらなんでも酷だわ。
男にとっては幸せで、理想的な昇天でしょうけれど、
残された女の子にしてみたら、
最悪のシチュエーション。
逃げ出す気持ちも分かる。


評価 ★★★★☆

nice!(22)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「釈迦」 [映画]

shaka.jpg
〔1961年/日本〕


インド北部のある城で、男児が誕生した。
生まれた瞬間立ち上がり、
天を指差したその子はシッダと名付けられ、
大切に育てられる。


20年後、
立派に成長したシッダ(本郷功次郎)は、
美しい姫・ヤショダラーを娶るため、
従兄・ダイバ・ダッタ(勝新太郎)と武術で競い合って勝利し、
ヤショダラーと結婚する。


幸福な生活が何年か続くが、
シッダは次第に、世の中の不平等や、
自分ばかりが恵まれている事に疑問を感じ始める。
ついに彼は悟りを開くため、
家を捨てて出家、
置いて行かれたヤショダラーは泣き暮らす。


シッダに破れ、
ヤショダラーを自分のものにできなかったダイバ・ダッハは、
ずっと恨みを募らせていたが、
シッダが出家したチャンスに、
ヤショダラーの部屋に入り込む。
ヤショダラーは激しく抵抗するが、
手籠めにされてしまい、ショックで自害。
ダイバ・ダッハは、ますますシッダへの憎しみを強くする。


一方、苦行ののち、
ついに悟りを開いたシッダは、
仏陀となり、
その素晴らしい教えを乞うため、
人々が集まり始める・・・。





タイトル通り、
お釈迦様の生涯を描いた映画。
とはいえ、
別に偉人伝といった風ではなく、
内容は俗っぽい。


まぁ、私自身、
面倒臭い説法はちょっと勘弁といった人間なので、
俗っぽいくらいの方が良く、
なかなか面白かった。
なんでもこれは、
大映が総力を結集して作った、
大スペクタクル巨編だそうで、
スターのオンパレード。
(京マチ子、市川雷蔵、山本富士子、
 中村雁治郎、中村玉緒、川崎敬三、杉村春子、山田五十鈴などなど)
誰かが出てくるたびに、
「出たー!」と心の中で叫んでいたよ(笑)。


中でも、一番の目的は、
川口浩様を見る事で、
そのために、大雪の翌日だというのに、
わざわざ神保町まで出掛けたわけで。
自分でも馬鹿だと思うけれど、
この性分はどうしようもなく(笑)。


その浩様は、
ダイバ・ダッハに騙されて、
自分の父を牢に入れてしまうという、
アホ王子を演じておった(笑)。
でも、登場時間も長くて、
そして何より、
私の王子・浩様が、
王子様を演じるのが嬉しくて、
彼の顔ばかり見ていた(笑)。


結局、この映画の本当の主役は、
釈迦ではなく、
ダイバ・ダッハなのでは?という印象。
演じる勝新太郎の容姿が鬼のようで、
本当に憎らしい。


他のスターの皆様も全員、
学芸会みたいな、変な衣装を着せられて、
頑張ってた(笑)。
みんな、釈迦に助けられたり、
諭されたりして、
改心したり、幸せになったりという流れ。
そして悪い奴には天罰が下る、と(笑)。


今、思い出してみても、
結構、中身が濃かった気がする。
160分と長いけれど、飽きる事なく観られた。
間に5分の休憩が入る。


評価 ★★★☆☆

nice!(32)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「僕は友達が少ない」 [映画]

bokuhatomodachigasukunai.jpg
〔2014年/日本〕


ハーフの羽瀬川小鷹(瀬戸康史)は、
金髪なのと、人見知りな性格の為、
転校先の高校でも友達ができず、いつも1人。


ある日の放課後、忘れ物を取りに教室に戻ると、
クラスメイトの三日月夜空(北乃きい)が、
エア友達の“ともちゃん”と会話している姿を見てしまう。
夜空もまた、友達がおらず、
そして他人から、「友達がいない子」と認識されるのを
怖れている。


「部活に入って友達を作ったら」という小鷹の進言に夜空は、
「和気藹々と活動しているグループに今更入れない」と答えるも、
自分が部活を立ち上げればいいと思い付く。


こうして誕生した、“隣人部”。
この部の活動方針は、
「部活の仲間として、とりあえずの友達として付き合いながら、
いつか現れる、本当の友達に備える」、というものだった。


部員募集のポスターを見て集まってきたのは、
個性的で、協調性のない者ばかり。
しかしそれでも、
部室で、各々勝手な事をしているうちに、
次第に仲間意識のようなものが生まれてくるが・・・。





これは想像していたものとはかけ離れていた。
例えば、
「君に届け」みたいな、
爽やかな学園ものだと思っていたのよ。
後半はちょっと現実離れしていて、
バーチャルな世界に入ってしまう。


そっか、元はライトノベルなんだ。
それからアニメ化もされているらしい。
皆さん、このような内容だと知っているのか、
お客さんはたったの4人だった(笑)。


最近、ちょっと北乃きいが好きで、
この映画ではどんな感じかと思ったのだけれど、
なんだかとっても変わった女子高生で、
最初から最後まで、
戦国武将のような言葉遣いで話しておった(笑)。
原作もそうなんだろうか。


“隣人部”のメンバーが、
初めて全員でカラオケに行った時、
北乃演じる夜空が、
そっと涙を拭いたのが印象的だった。
彼女は、カラオケは今までずっと、
1人で行くものだと思っていたから。


栗原類くんが、不気味な生徒会長の役をしていて、
それがぴったりハマっていた。
類くんは、テレビに出てきた頃から好きで、
周囲の人に、その存在を教えまくっていたのよ(笑)。
先週の「徹子の部屋」でも、
ぜひこの映画を観てほしいと言っていた。
(だから観たわけではないです!(笑))


「友達が少ない」って、
その人の人間性の問題ではなく、
個性だと、私は思うけどな。


もちろん、友達はとても大切だし、
学校生活で友達がいないのは、
やっぱり辛い事だとは思うけれど、
だからといって、自分ではどうしようもない場合だって
あるものね。


逆に、
「私は友達が多い」なんて、
強くアピールする人がいたとしたら、
なんだか引いてしまう気がする。


女子高生のスカートの中を覗くような
カメラアングルの多さに、ちょっと辟易。
エロネタは嫌いじゃなけど、
それは相手と場合による。
この映画の場合、
そんなのは必要ないでしょう。
それとも最初から、その手の観客がターゲット?
何も知らずに観た私が悪いのか。


評価 ★★★☆☆

nice!(25)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「スノーピアサー」 [映画]

snowpiercer.jpg
〔2013年/韓国〕


温暖化が進み、
その対策として、
人工的に気温を保つ物質・CW-7が散布された地球。


しかしそれは失敗に終わり、
地球は雪と氷に覆われた、
氷河期のような状態となってしまう。


17年後。
「スノーピアサー」と呼ばれる長い長い列車に乗っている者だけが、
地球に生き残っている人類になってしまった。
この列車は、永久に動き続けるエンジンを動力とし、
1年をかけて、地球を1周する。


列車の後方車両には貧困層の人間が押し込められ、
劣悪な生活を強いられている。
リーダー格の男・クリス・エヴァンスは、
ついに、長く計画していた反乱を起こし、
前方車両へと進み始めた。


途中、エヴァンスは、
列車の設計をしたソン・ガンホを連れ出し、
各車両についているドアを開けるように指示した。
各車両の中は、それぞれに様々な世界があり、
エヴァンスを圧倒させる。


エヴァンスの最終目的は、
先頭車両にいると言われる、
スノーピアサーを開発した、
ウィルフォード産業の社長・エド・ハリスに会う事だ。
まだ一度も会った事のないハリスに、
エヴァンスは会う事ができるのか・・・。





ソン・ガンホが出てきて、
ちょっとビックリしたのだけれど、
あとから調べてみたら、
この映画は韓国のポン・ジュノ監督の作品であった。


とはいえ、
原作はフランスのコミックだというし、
メインキャストはハリウッドの俳優さんたちだし、
日本語もどこからか聞こえてきたりと、
国際色豊か。


最近の近未来映画は、
富裕層と貧困層がハッキリ分離させられている物が多いと、
このブログでも何度か書いてきたけれど、
これも、生き残った人類が、
長い列車の中で前方車両と後方車両に分けられているという、
変則的だけど、流行り(?)のパターン。


まず、なぜそんな列車に人類が押し込められる事になったのか、
そのきっかけが酷過ぎる。
地球温暖化を防ぐために、
化学物質を空から撒くだと!?
その場面は、映像では示されず、
音声だけなのだけれど、
私みたいな物を知らない人間でも、
「それはやめた方がいいんじゃ・・・」と思ったわ。


で、案の定、
その計画は大失敗。
天候さえ科学の力でコントロールしようと考えた、
人間を嘲笑しているような状態で。


最初から最後まで走り続ける列車の内部がまた面白い。
次の車両の移る為に扉を開けると、
そこはもう、想像もしない世界がある。
ある車両は学校、
ある車両は水族館、という風に。


もしかしてこれは、
現代のノアの方舟?とも思ったりもする。
わざわざ自分たちで自分たちを危機に追い込んで、
方舟もなにもないものだけれど。


貧困層に配給される食べ物が凄い。
「プロテイン」と呼ばれるそれは、
なんというか、
羊羹みたいな、ゼリーみたいな物で、
365日、それを食べ続けるらしい。
しかもその原材料ときたら・・・、
知ったら卒倒する人も出てきそう。


変なおばさんが出てるなぁと思っていたら、
あとで、ティルダ・スウィントンと知ってビックリ。
さすが女優ね。


評価 ★★★☆☆

nice!(24)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画