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「17歳」 [映画]

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〔2014年/フランス〕


パリの名門女子高に通うイザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、
医師の母と、母の再婚相手、
そして弟の4人暮らし。
彼女は、家族とやってきたバカンスの地で、
ドイツ人の青年と初体験をする。


その数日後に17歳になったイザベルは、
パリに戻ったのち、
ネットで知り合った男を相手に、
売春するようになる。
その際は、自分を“レア”と名乗り、
ソルボンヌ大学の学生だと偽る。


初めての客・ジョルジュ(ヨハン・レイセン)は、
老人だが紳士的な男で、
その後、度々イザベルにコンタクトしてきては、
何度も体を重ねるようになる。


その日も、いつものように、
ジョルジュと会ったイザベルだが、
性行為の最中、ジョルジュが突然死んでしまうという
アクシデントに見舞われる。


ショックのあまり、
ジョルジュの遺体をそのままに、
部屋を飛び出したイザベル。
しかし、警察は彼女を割り出し、
家宅捜索までされてしまう。
イザベルの裏の顔を知った母は動転し、
彼女に詰問するが・・・。





17歳になったばかりの女子高生が、
売春行為に走るという、
扱い方によってはセンセーショナルになりそうな内容のものを、
綺麗にまとめた作品。
監督はフランソワ・オゾン。


イザベルがなぜ売春を始めたのかは、
何も語られないし、分からない。
初体験がアブノーマルだったという事もないし、
むしろ彼女は淡々としている風に見えた。


映画を観る者が各自で判断してほしいという
事なのだろうか。
小説でいえば、行間を読む、とか?


ヌードや、性交のシーンがとっても多いけれども、
不潔感はなく、
観ているこちらも、
イザベルがそれほど悪い事をしているようには思えないという
錯覚に陥ってしまう。
女衒のような男もいないので、
犯罪組織に関わるわけでもない。
全ては、彼女1人がしていた事。


しかも、こういった場合、
イザベルの方が被害者の扱いになるという。
未成年の少女が売春した場合、
買った大人が悪いという事なのでしょうね。


イザベルの売春そのものより、
私が最悪だと思ったのは、
その事が家族に知れた後の、
家の中の雰囲気。


母はもう、イザベルを今までのように普通の娘として見る事ができず、
夫が彼女と2人だけで話しているだけで、
怒るようになってしまう。
これが実の父娘なら、
そう不安にはならないだろうけれど、
血の繋がらない父娘なだけに、
母の気持ちも分からなくはない。


一番大切なはずの娘なのに、
「夫を誘惑されたら」と思うようになっては、
もう母娘関係は終わったと言ってもいい気がする。
それは本当に悲しい事だけれど。


バイアグラを飲んでまで、
17歳と関係したいという老人に、
女は、「しょうがないなぁ」という半笑いだけれど、
当人にしてみれば、
案外真剣なのかもしれない、とも思う。
男じゃないから、深い部分では分からないけれども(笑)。


ただ、17歳の女の子と一緒の時死ぬのは、
いくらなんでも酷だわ。
男にとっては幸せで、理想的な昇天でしょうけれど、
残された女の子にしてみたら、
最悪のシチュエーション。
逃げ出す気持ちも分かる。


評価 ★★★★☆

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