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◆熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録◆ [映画]


熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

  • 作者: 井川 意高
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2013/11/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


昨年、会社法違反(特別背任)で逮捕された、
大王製紙前会長・井川意高氏が
自らの半生を綴った本。


面白い。
とっても。


私は今まで井川氏の事を、
「お飾り社長」
「名ばかり社長」
だと思っていたのだけれど、
そのイメージは、本書によって、
完全に覆ったといえる。
(あくまでも、この本の「自己申告」を信じれば、の話ではあるが(笑))。


というのも、
東大を出て、父の会社を継ぐ事を決めた井川氏は、
厳しかった父の人事により、
いきなり東京の本社ではなく、
地方の工場に赴任する。
彼はそこで貪欲に、会社内のあらゆる知識を吸収し、
将来の経営者としての力を付けてゆく。


ギャンブルの事ばかりが話題になっているけれど、
これを読むと、
彼が相当に、自分の仕事に誇りを持っていた事が分かるし、
自分は社員にとって、悪い社長ではなかったとの自負もあるようだ。
そのあたりは、読んでいても清々しい。
男が自分の仕事に命懸けで取り組む姿は絵になる。


それから、ギャンブルと同じくらい話題になった、
六本木での、著名人との交友録だけれど、
この部分は、暴露的な話は殆どない。
女性タレントの誰々と会った、という記述はあるけれど、
名前が出ているかたとは、
知り合い以上の事は無かったと明言している。
(ウィキペディアで名前が挙がっている女性の中には、
会った事さえない人もいるという)。
おそらく、本当に関係のあった女性の事は、
書かずにいるのだろうと想像される(笑)。


都市伝説のように言われている、
様々な噂に関しての説明もある。
たとえば、四国で幼少期を過ごした井川氏が、
「飛行機で東京の塾に通っていた」というの噂。
それは、夏休みなどの長期の休みのときに、
東京の集中講義を受けただけでの話であって、
事実ではないという。


また、「大学時代から銀座で豪遊」というのも、
経営者である父に連れられ、
早いうちから銀座に行っていたのは事実であるが、
将来の経営者として、
財界の他の経営者と交友する必要があり、
いわば「帝王学」の一環だという。
嫌味に感じるかもれないが、
大企業の跡継ぎなら、
こうした夜の付き合いは、
非常に大切な事だ、と。


はぁ。。。
一般人には遠い世界のようなお話し。
以前、このブログで、
堀江貴文氏が、私の周囲の当時高校生だった男子たちから、
絶大な支持を受けていたと書いたけれど、
井川氏の話をする男子は聞いた事がない。
堀江氏だったら、
自分でもなれる「かも」しれないけれど、
井川氏になるには、土俵が違うので、
自分に当てはめる事はできないものね。


そして、一番肝心な、
ギャンブルにのめり込んでゆく過程。


これについて井川氏は、
もう、自分の頭がおかしくなっていたとしか
言いようがないと書かれている。


カジノのテーブルに着くと、
食欲さえ消え失せ、
36時間、コーヒーを口にするだけで、
ひたすら賭けに興じるという。
金と時間が無尽蔵にあったら、
おそらく永遠に続けただろうという、
異常な状況。


そして100億を超える借金。
桁が違い過ぎて、
庶民が競馬やパチンコで身持ちを崩すのとは、
基本が違う。


思いっ切りの先入観で書いてしまうなら、
本書には井川氏の育ちの良さが、
行間から滲み出ている気がする。
私は極端な人の、
極端なエピソードが好きなのかもしれないな。


たとえば、
中卒でアルファベットも書けないという、
西村賢太氏などにも強く惹かれてしまうし、
逆に、この井川氏の人生にも、
大変な興味を覚える。


そういう自分は、
平凡こそ命という、
まったく面白みのない人間なわけだけれど(笑)。

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