SSブログ

「大統領の執事の涙」 [映画]

daitouryonoshitsujinonamida.jpg
〔2013年/アメリカ〕


奴隷として、
白人が経営する綿花農場で育ったセシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)は、
ある事件がきっかけで、
綿花摘みの仕事を離れ、
家の中で給仕などをする仕事を任される。


大人になったゲインズは、
奴隷として雇われている家を出、
ホテルのボーイとなるが、
その彼の仕事ぶりを見たホワイトハウスの関係者から、
大統領の執事にスカウトされる。


以来、ゲインズは、
アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、
ニクソン、フォード、カーター、レーガンの7人の大統領に仕え、
その間アメリカで起こった、様々な事件を、
見聞きしてゆく。


家に帰れば、ゲインズには妻と2人の息子がいる。
大学進学を機に独立した長男・ルイス(デヴィッド・オイェロウォ)は、
白人大統領に仕える父とは反対に、
黒人解放運動に身を投じ、
ゲインズとは絶縁状態に。


そして、次男のチャーリー(イライジャ・ケリー)は、
国の為だと、
ベトナム戦争に志願兵として赴く・・・。





アメリカの歴代大統領+人種差別問題とは、
なんともアメリカ人の好みそうな題材だけれど、
それをありがたがって観る、
アメリカとは何の関係もない自分ってどうなのよ?(笑)、と思いながら、
やっぱり面白く観てしまった.



観る前は、
執事が見た大統領の素顔(裏話?)的な話かと思っていたけれど、
感じの悪い暴露的な話はなく、
ただ、各大統領の個性が、
ちょっとユーモラスに描かれている。


執事の仕事は、
この映画にとって、さほどメインではなく、
人種問題の方に重きが置かれている。


なにせ、冒頭の、
奴隷として生まれたゲインズの少年期の出来事からして、
目を背けたくなるような酷いもので。
詳しくは書かないけれど、
彼はその事で、
両親を失ったも同然の境遇になってしまう。


けれど、それは最悪の出来事ではあったけれど、
そのおかげで、
彼は、農場でなく、
家の中での給仕の仕事を与えられて、
それが将来の大統領の執事に繋がってゆくのだから、
人生、悪い事ばかりではない。
「人間万事塞翁が馬」とはこの事ね。


それに、やっぱり人間ってのは、
どこで誰が見ているか分からないなぁ、と、
執事にスカウトされた彼を見て思ったわ。


それから、大統領の執事に就くにあたって、
ホワイトハウス内で見聞きした事は、
絶対に口外しないと誓約書を書かされるらしい。
お喋りな私には、
これが一番難しい任務かも(笑)。
お食事を供するときも、
「何も聞いてはいけない」って、
私には絶対無理!(笑)。


ゲインズはこの仕事のおかげで、
おそらく、黒人の中では、
良い暮らしをしている部類に入るのではないかと思われる。
けれど皮肉なもので、
そんな彼の息子が、
黒人解放運動家として、何度も逮捕される事態になるとは。
やっぱり人生って、どこに転がるか分からない。


大統領の逸話の中では、
ケネディとニクソンが面白いと思ったな。


評価 ★★★☆☆

nice!(26)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画