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「再会の街で」 [映画]

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〔2007年/アメリカ〕


マンハッタンで歯科医をするドン・チードルは、
ある日、大学時代のルームメイト・アダム・サンドラーと
偶然再会する。


懐かしさののあまり、サンドラーに声をかけたが、
しかし、彼は自分の事を覚えていなかった。
サンドラーは9.11の事件で、
妻と3人の娘を亡くし、
心を閉ざしてしまっていたのだ。


チードルもまた、
はた目には恵まれた生活を送ってはいたが、
職場であらぬ疑いをかけられたり、
家庭でも、なぜか妻といると息苦しいような、
悩みを抱えていた。


頻繁に会うようになったチードルとサンドラー。
チードルは、サンドラーになんとか心を開いてもらいたいと、
偶然を装い、
精神科医に引き合わせるが、
すぐに見抜かれ失敗。
サンドラーが苦しみから解放されるのは
そう簡単にはいかないようだ。


やっとセラピーを受ける気になったサンドラー。
しかし、セラピスト・リブ・タイラーの若さに、
「まだ子供だ」とつぶやき、
やはり、なかなか心を開けずに・・・。





私はまだ、大切な人を、
本当の意味で失った経験がないから、
あまり軽々しい事は言えないけれど、
不慮の事件や事故で、
いっぺんに家族全員を失った方の喪失感は、
想像を絶するものだろう。


さっきまで元気に、
電話で話していた家族がいなくなるショック。
それは、乗っていた船から、
浮き輪なしで大海原に突き落とされたような気持ちじゃないかと
思ったりする。


以前観た映画、「ユナイテッド93」は、
9.11事件で、
乗っ取られた飛行機の、
乗客側からの視線で描かれた作品で、
これから死ぬかもしれない乗客が、
大切な人に電話をする場面に涙が出た。


この映画は、その反対側にいる、
残された人の気持ちなんだなぁと思うと、
内容がシンクロしているような気がして、
辛さが増す。


私はセラピーのようなものは受けた事がないのだけれど、
あれって、どうなんだろう。


以前、何かで、
「自分の苦しみを他人に話す事で、
嫌な思い出をなぞってしまい、
余計に苦しむ場合がある」と、
読んだことがある。


でも、私は専門家ではないので、
本当の所は分からない。
話しってスッキリした方がいいのか、
かさぶたが乾くまで、じっと耐えた方がいいのか。


ただ、サンドラーは幸せね。
こんなに親身になってくれるチードルと、
再会できたんだもの。
世の中には、何かに苦しんでいても、
たった一人でそれに耐えるしかない人だって沢山いるんだもの。


評価 ★★★☆☆

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