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「エヴァの告白」 [映画]

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〔2014年/アメリカ〕


1921年。
故郷・ポーランドの戦火を逃れ、
叔母を頼ってニューヨークにやってきた、
エヴァ(マリオン・コティヤール)と、妹のマグダ。


しかし、入国審査で、
マグダが結核と診断され隔離病棟へ、
そしてエヴァも、トラブルから強制送還となり、
アメリカには入れない事態となってしまう。


しかし、途方に暮れるエヴァに声を掛けてきた男がいた。
ブルーノ(ホアキン・フェニックス)と名乗るその男は、
自分の力でアメリカに入国させてくれると言う。
藁にもすがる気持ちでブルーノに頼ったエヴァは、
なんとかアメリカの地を踏む事ができた。


ところが紳士だと思っていたブルーノが、
実は移民の女たちをダンサーとして働かせる悪党で、
売春まで斡旋している事が分かる。


「妹を助けたい」
エヴァの願いはたった一つ。
しかし、それには大変な金がかかる。
彼女はブルーノの言うなりになるしかなく・・・。





たった100年ほど前の話なのに、
アメリカにもこんな過去が・・・と
観た時は思ったけれど、
いや、考えてみれば、
これは現代でも普通にある話ではないのかと
気が付いた。


移民じゃなくたって、
日本国内でもよくある事だ。
何らかの事情で故郷を離れた女が女衒に引っ掛かり、
事件に巻き込まれたというニュースは、
ネットでもしょっちゅう見聞きする。
男と女がいる限り、それは永遠に変わらない。


そんな普遍にある話だけれど、
マリオン・コティヤールの美しさと、
古い時代のニューヨークの雰囲気が、
映画の雰囲気を盛り上げる。


綺麗に着飾って、
男たちの前に出るコティヤールは、
見とれてしまうほど綺麗だし、
レトロな顔立ちが時代背景にハマっている。


そんな彼女を、
最初は商品としか見ていなかったブルーノが、
次第に別の感情を募らせてゆく過程が、
この映画の見所。
ただ、肝心のその流れが、
私にはちょっと物足りない気がした。


そういった設定なら、
もう少し話に緩急つけたほうが盛り上がるのに、と、
勝手にエラソーに思ってしまって(笑)。


ホアキン・フェニックスの演技も悪くはないけど、
最初にエヴァを連れ出した時から、
売春を斡旋する裏の顔が露わになるまでの差が、
あまり無いように感じられて、
いま一つ、憎々しさが足りない。


たとえば、今までニコニコ笑っていた男が、
後ろ手で扉を閉めた瞬間、獣になる、
みたいな演出があれば、
観ているこちらも、
もっと怒りを感じられるし、
その後の彼の心境の変化も、
興味深いものとして受け入れられたのに、と、
ちょっと残念。


もちろん、つまらないというわけではないし、
エヴァの妹の事などは、
ラストまで状況が分からず、
気を揉んでいたわけだけれど。


評価 ★★★☆☆

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