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「娘の冒険」 [映画]

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〔1958年/日本〕


社長令嬢・野添ひとみは、母を亡くし、
父・上原謙と、
祖母・北林谷栄の3人暮らし。
父は婿で、姑の北林には、
何かと気を使って暮らしている。


父に再婚話が持ち上がるが、
野添は、父が誰かに恋をしている事を察する。
大好きな父が、本当に愛する人と結ばれてほしいと
願う彼女は、
ボーイフレンド・川口浩と一緒に、
父の片思いの相手である、
小唄の師匠・京マチ子の家を訪ねる。


京の素敵な様子に惚れ込んだ野添は、
なんとか彼女に父の後妻に来てほしいと、
川口と2人、小唄の弟子にしてもらう。


さらに、京の父・中村雁治郎を鰻屋に誘い、
京の結婚相手について、
色々と聞き出す。
中村は、京の結婚相手の候補として、
上原と、船越英二の名前を上げる。
さらに、野添が上原の娘とは知らない中村は、
「上原には、鬼姑と、不良娘がいるらしい」と言い、
野添を憤慨させる。


野添は、上原と京の結婚を、
上手くまとめる事ができるのか・・・。





出演者の皆様が豪華すぎてビックリ!
若尾文子さんが出ているので、
観に行ったのだれけど、
粗筋に、彼女の事は書けずに終わった(笑)。
実はさらに、山本富士子さんまで出ていて、
しかも彼女も、そう重要な役じゃないのよ。
なんて贅沢なんでしょ。


川口浩様と野添ひとみさんが、
殆どの場面で一緒にいるのだけれど、
それがもう、可愛いカップルで。


野添さんが父親の縁談をまとめようと奔走する際、
浩様に色んな事をさせるんだな。
浩様も、それを嫌がるでもなく、面倒がるわけでもなく、
全ては野添さんの言いなりに動く。
なんて理想のボーイフレンド(笑)。


2人のやる事なす事が、
子供のいたずらみたいで、可笑しくて。
上原謙の後をつけて、
見つかりそうになると隠れたり、
京マチ子を誘って山に行った際、
ライフルで空を撃って、
懐から鳥の剥製を取り出して見せて、
「仕留めた」と言ったり、まるでコント(笑)。


でも、そんな馬鹿馬鹿しい場面でも、
2人はとっても生き生きと演じていて、
とってもいい顔している。
このころ、2人は実生活でも恋人同士だものね。
そりゃあ、楽しいはずだわ(笑)。


昔の映画スターはとっても忙しくて、
年に10本以上も映画を撮っていたと聞いたけれど、
これを観ると、それも分かる気がする。
それぞれが、主役になったり脇役になったりして、
しょうもない(ごめんなさい)ストーリーの映画を、
量産していたんだろうなぁと察する。
今、私はそんな映画を観られる事に、
とっても幸せを感じられるからいいんだけど。


評価 ★★★☆☆

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「うたかたの戀」 [映画]

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〔1936年/フランス〕


19世紀の終わり。
オーストリアでは、学生の社会主義運動が激化。
警察は、運動家たちを検挙し、
名前を職業を尋問するが、
その中に、王室の皇太子・ルドルフ殿下(シャルル・ボワイエ)が混じっていた事に
驚き、困惑する。


ルドルフ殿下は、王室の在り方や、
自分の立場に疑問を抱き、
運動に参加していたのだ。
しかし、そんな彼を国王陛下が認めるはずもなく、
結婚させて、生活を落ち着かせようと、
強引にベルギーの王女を嫁に迎える。


自由の無いそんな人生に辟易する殿下は、
酒で気を紛らわせていたが、
お忍びでカーニバルに出掛けた際、
若く美しい娘・マリー(ダニエル・ダリュー)と出会う。
男爵令嬢のマリーは、
「あなたはルドルフ殿下によく似ている」と言い、
彼が本人だとは気付かずに別れる。


その後、偶然再会した2人は、
激しい恋に落ち、結婚の約束をする。
しかし殿下が、ローマ法王に離婚の申請をするも却下され、
国王も2人の関係を認めない。


何があっても別れない。
そう誓いあった2人は・・・。





これは、1889年に実際に起こった、
オーストリアのルドルフ皇太子の恋愛を
映画にしたものなのだそうだ。
ただ、内容が完全に史実かといえば、
疑問点もあるらしい。
とりあえず映画なので、
とても美しく描かれてはいる。


制作された1936年といえば、昭和11年。
日本では、王室(皇室)のスキャンダルを扱った内容という事で、
公開されたのは、
戦後だったという。


王室だの、皇室だのの
窮屈な感じが、よく伝わってくる。
分かってはいたけれど、
あらためてそう思う。


ルドルフ殿下は、
「全ては、僕のものであって、僕のものではない」
みたいな事を言う。
確かに彼は、好き勝手にやっているように見えるけれど、
自分にとっての大切な事、
どんな思想を持つか、とか、
結婚相手などは、自分では決められない。


ダニエル・ダリューがとても若くて、
おきゃんで可愛い。
初めて殿下と出会った時、
殿下と知らずに会話するのも、
話の流れからすると、上手くできている。
殿下という立場に恋をしたのではなく、
その人柄に惚れたのだと、
観る者を納得させる効果がある。


そして、そんなダリューを引き立たせる為なのだろうけれど、
皇太子の奥さん役の女優さんが、
お世辞にも美しいとは言い難い容貌で。
やっぱりその辺は、
映画のお約束。


それにしても、
いいなぁ、こんな皇太子殿下。
マリーと一緒なる為だったら、
自分の地位を捨てる事も厭わない。
愛する女が王室に入れない
(もしくは、その風潮に合わない)なら、
自分が彼女を連れて、
宮殿を出ると国王陛下に宣言できる、
その気概が羨ましい。
(とは言え、この映画の決着の付け方は絶対駄目だけどさ)。


評価 ★★★☆☆

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「今度は愛妻家」 [映画]

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〔2010年/日本〕


豊川悦司は、かつては人気カメラマンだったが、
今は仕事への意欲を無くし、
1年ほど写真を撮っていない。
そして、妻・薬師丸ひろ子は、
そんな彼を心配し、
なにくれとなく世話を焼く。


薬師丸が箱根に旅行に行く日、
豊川に電話が入った。
女優志望の水川あさみからで、
今から、自宅に遊びに来ると言う。
早く薬師丸を家から出したい彼は焦るが、
薬師丸は彼の態度が変だと言い出す。


なんとか薬師丸を送り出し、
水川といいムードになるが、
そこへ、弟子の濱田岳がやって来る。
その後、水川は濱田と出来上がってしまう。


薬師丸が旅行に出て、
2週間が経ったのち、やっと帰ってくる。
普段は彼女を邪険に扱っている豊川だったが、
実は心配でたまらず、
彼女の帰宅に胸を撫で下ろす。
薬師丸は、無くした結婚指輪を探しに、
沖縄に行っていたと言う・・・。





かなり評価が高いので、
気になっていたのだけれど、
その理由が分かった。
観ているうちに、どんどん引き込まれて、
最後の方は、正座して、身を乗り出して、
セリフを聞き入ってしまう。


さらに、終わった後、
もう一度最初から観てみた。
すると、軽く聞き流していた、
どうって事のないセリフが、
実は大変な意味を持っていたのだと気付く。


これって、舞台劇なのだろうか。
場面は豊川夫婦の家の中が殆どで、
あとは、ちょっとだけ近所と、
夫婦が行った沖縄旅行の場面だけ。
舞台より映画派の私だけれど、
これは舞台でも観てみたいと思う。


豊川悦司と薬師丸ひろ子のやり取りが絶妙。
豊川は、自由業らしく、
頭を金髪にしたちゃらんぽらん野郎で、
逆に薬師丸は、元教師という事で、おばさんっぽい。
豊川は何をするにもかったるそうで、
薬師丸だけが一所懸命。
たとえば、沖縄で牛の糞を踏んだ豊川のビーサンを、
海で洗う薬師丸の様子などは、
私の少ない語彙では表現できないような、心の「何か」を感じる。
ナリはおばさんだけど、めちゃくちゃいい女だと思う。


薬師丸が、普通の話し言葉でセリフを言っているのもいい。
映画によっては、
夫婦なのに敬語で話す作品もあるけれど、
この映画は、とっても自然で好感が持てる。


豊川の知り合いだというオカマを、
石橋蓮司が演じているのだけれど、
これがまた、素晴らしくて。
水川あさみとは喧嘩ばかりするのだけれど、
実は彼女の良さもちゃんと認めてくれる。
女のお爺さんって感じ(笑)。


これを観ると、
相手が男女に限らず、
周囲の人全てを大切にしなくちゃあかんと、
本気で思う。
おそらく、観た方の殆どが、
そう思う気がする。


評価 ★★★★☆

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「白と黒のナイフ」 [映画]

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〔1985年/アメリカ〕


大富豪の女性宅に、何者かが侵入し、
彼女は狩猟用ナイフで惨殺される。


彼女が死んだ事により、
資産は全て夫・ジェフ・ブリッジズが相続する事になるが、
状況証拠により、ブリッジズは逮捕されてしまう。


多額の保釈金を払い、
裁判までは自由の身となったブリッジズは、
敏腕弁護士・グレン・クローズに弁護を依頼する。
彼女の最初に、
「ブリッジズが明らかに犯人だったり、
 嘘を吐いた時は、弁護を降りる」と言い渡し、
弁護を引き受ける。


ブリッジズの無罪を勝ち取る為、
そして、過去に自分を陥れた検事・ピーター・コヨーテと
対決するため、
クローズは証拠集めに奔走する。
さらに、ブリッジズと時間を共有するうちに、
2人は愛し合うようになり、結ばれる。


裁判が始まった。
クローズとコヨーテは、
互いに証拠を出し合い、
一歩も引かぬ様相。
果たして真犯人は誰なのか・・・。





出だしはとっても面白かった。
酷い殺人事件が起こって、
夫が逮捕されたけれど、
真犯人は誰なんだろう、早く知りたい、って。


でも、途中で笑ってしまう。
女弁護士と容疑者が、
一線越えちゃ駄目でしょ。
そんな事をしたら、
特に女は、平静な判断ができなくなる気がする。
しかも、敏腕という割に、
グレン・クローズは、その事を、
後ろめたいとか、そんな風には、
全く感じていないみたいだし。


案の定、
検事のピーター・コヨーテは、
隠し玉とも言える、証人を連れてくる。
それは、ジェフ・ブリッジズの愛人。


グレン・クローズの激しい動揺と、
ブリッジズへの責めの言葉は、
弁護士の立場というより、
女の嫉妬そのもの。
そんな状態じゃ職務を全うできないと思うんだけど。
やっぱり、いくら惚れちゃったとしても、
お楽しみは、全てが片付いた後にした方がいいと思うなぁ(笑)。


裁判の場面はなかなか面白かった。
次々新しい証人が出てきて、楽しめる。
まぁ、アメリカの裁判って、
何か変だとは思うけど、
国民が納得してるなら、
別に私は構わない。


真犯人が分かった後の、
クローズの行動も解せない。
観た方なら分かると思うけれど、
彼女は、焦ってるんだか、呑気なんだか(笑)。
とっても好きな女優さんではあるけれど。


評価 ★★★☆☆

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「箱入り息子の恋」 [映画]

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〔2013年/日本〕


星野源、35歳、彼女いない歴=年齢。
市役所の記録課に勤務する彼は、
人付き合いが苦手で、
友達は、飼育しているカエルだけ。
休日は一人、テレビゲームをして過ごしている。


そんな彼を心配した両親・平泉成&森山良子は、
彼に無断で、代理婚活に出掛け、
そこで娘・夏帆の婿を探している夫婦・大杉漣&黒木瞳と知り合う。


なんとか本人同士を交えて、両家が会う事になるが、
その席で星野と両親は、夏帆が全盲な事を知らされる。
さらに大杉は、仕事に対する意気込みが感じられない星野を、
最初から気に入っておらず、
見合いは散々な結果に終わる。


しかし、星野の良さを見抜いていた黒木は、
大杉に内緒で、星野と夏帆のデートをお膳立てする。
再会した2人は意気投合。
その後、何度もデートするようになる。


大杉はついに黒木と夏帆の秘密を知り、激怒。
デートの場に乗り込み、
「君のようなうだつの上がらない男に娘は任せられない」と罵り、
その場は大混乱。
さらに、そこへ車が突っ込んできて、
大変な事になってしまう・・・。





星野源と夏帆のカップルが、
とても可愛くて、初々しくて、良かった。


まぁ、35歳の男が初々しいってもどうかと思うけど(笑)、
でも、星野の場合、女性経験が無いという設定なので、
やる事なす事、初めての事ばかりで、
その緊張感は、こちらまで汗をかいてしまいそうな感じ。


星野は、夏帆にせがまれて、初めてのお食事に、
牛丼屋さんに行く。
詳しくは書けないけど、
その後、もう一度、牛丼屋さんの場面があって、
これがもう、映画史に残るんじゃないかと思うくらいの(大げさか(笑))
名シーンで。
私は牛丼屋さんに一度も入った事がないのだけれど、
あのお店が、あんなロマンティックな場所になるなんて、
想像した事もなかったわ(笑)。


それから、やっぱり色々考えさせられる映画でもある。
特に親。
星野の両親は、彼に、
「自分たちが亡くなったあと、お前は一人だぞ」みたいな事を言って、
勝手に婚活したり、
無理矢理お見合いさせたりする。


でも、お見合いの席で、
大杉漣から酷い事を言われて、
その夜、星野は自室で激しく暴れる。
観ているこちらにしたら、
息子は「結婚したくない、一人が好き」って言ってんだから、
無理強いは止めた方が・・・と思ってしまう。
なんだか可哀想な気がして。
もちろん、親は良かれと思ってしているのは分かるんだけど・・・。


これで星野が無職というならともかく、
公務員として働いて、かなりの額の貯金もあるらしい。
一人老後の備えは万全。
こんな世の中、それだけでも良しと思った方が
お互いのためじゃないのかなぁ。
結婚や出産を、親とはいえ、人からとやかく言われるって、
本当に嫌なものだと想像するし。
この映画の場合は、
結果的に夏帆と上手くいったから、良かったけど。


それから、大杉漣の思考も変だと思った。
彼は星野をめっちゃ見下して、
こんな男と娘を結婚させられないと言うけれど、
自分が望むような男が、必ず娘を貰ってくれるという保証はあるのか。
(障害の有る無しは関係ないです。絶対)
凄い自信。


娘に結婚してほしいと願う気持ちは分かるけど、
万が一、相手が見つからなかった時の事も考えて、
一応、手に職を付けさせる事も考えた方が、
よほど現実的だと思うんだけど。


なんだか、今の日本が抱える問題、
いわゆる、草食系男子とか、
子供に構い過ぎる親とか、
そんな問題があるから、
作り得た、そんな内容。
文句ばかり書いたけど、
笑える場面が沢山あって、
とても楽しくて、いい映画だった。


評価 ★★★★☆

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