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「うたかたの戀」 [映画]

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〔1936年/フランス〕


19世紀の終わり。
オーストリアでは、学生の社会主義運動が激化。
警察は、運動家たちを検挙し、
名前を職業を尋問するが、
その中に、王室の皇太子・ルドルフ殿下(シャルル・ボワイエ)が混じっていた事に
驚き、困惑する。


ルドルフ殿下は、王室の在り方や、
自分の立場に疑問を抱き、
運動に参加していたのだ。
しかし、そんな彼を国王陛下が認めるはずもなく、
結婚させて、生活を落ち着かせようと、
強引にベルギーの王女を嫁に迎える。


自由の無いそんな人生に辟易する殿下は、
酒で気を紛らわせていたが、
お忍びでカーニバルに出掛けた際、
若く美しい娘・マリー(ダニエル・ダリュー)と出会う。
男爵令嬢のマリーは、
「あなたはルドルフ殿下によく似ている」と言い、
彼が本人だとは気付かずに別れる。


その後、偶然再会した2人は、
激しい恋に落ち、結婚の約束をする。
しかし殿下が、ローマ法王に離婚の申請をするも却下され、
国王も2人の関係を認めない。


何があっても別れない。
そう誓いあった2人は・・・。





これは、1889年に実際に起こった、
オーストリアのルドルフ皇太子の恋愛を
映画にしたものなのだそうだ。
ただ、内容が完全に史実かといえば、
疑問点もあるらしい。
とりあえず映画なので、
とても美しく描かれてはいる。


制作された1936年といえば、昭和11年。
日本では、王室(皇室)のスキャンダルを扱った内容という事で、
公開されたのは、
戦後だったという。


王室だの、皇室だのの
窮屈な感じが、よく伝わってくる。
分かってはいたけれど、
あらためてそう思う。


ルドルフ殿下は、
「全ては、僕のものであって、僕のものではない」
みたいな事を言う。
確かに彼は、好き勝手にやっているように見えるけれど、
自分にとっての大切な事、
どんな思想を持つか、とか、
結婚相手などは、自分では決められない。


ダニエル・ダリューがとても若くて、
おきゃんで可愛い。
初めて殿下と出会った時、
殿下と知らずに会話するのも、
話の流れからすると、上手くできている。
殿下という立場に恋をしたのではなく、
その人柄に惚れたのだと、
観る者を納得させる効果がある。


そして、そんなダリューを引き立たせる為なのだろうけれど、
皇太子の奥さん役の女優さんが、
お世辞にも美しいとは言い難い容貌で。
やっぱりその辺は、
映画のお約束。


それにしても、
いいなぁ、こんな皇太子殿下。
マリーと一緒なる為だったら、
自分の地位を捨てる事も厭わない。
愛する女が王室に入れない
(もしくは、その風潮に合わない)なら、
自分が彼女を連れて、
宮殿を出ると国王陛下に宣言できる、
その気概が羨ましい。
(とは言え、この映画の決着の付け方は絶対駄目だけどさ)。


評価 ★★★☆☆

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