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「テス」 [映画]

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〔1979/イギリス・フランス〕


19世紀のイギリス。
寒村の貧しい家で生まれ育ったテス(ナスターシャ・キンスキー)は、
飲んだくれの父親から、
自分たちの先祖は貴族であったと聞かされ、
同じ名字の成金の家に行き、
なんとか近づきになれと命令される。


気の進まぬまま出掛けていったテスは、
その家の主人の息子、アレックに気に入られ、
家畜係として雇われるが、
アレックに手籠めにされ、妊娠し、実家に帰ってくる。


生まれた子どもはすぐに亡くなり、
テスはまた、別の農場に働きに出る。
そこで、牧師の息子で、農業の勉強に来ていたエンジェルと出会い、
深く愛し合い、プロポーズされるテス。
しかし、アレックの事や、子どもを産んだ過去をエンジェルに告白すべきか否か、
悩み、苦しみながら、結婚式の日を迎えてしまう。


初夜の晩、罪の意識に耐え切れなくなったテスが、
エンジェルに全てを告白し、許しを請うが、
テスの過去を受け入れるほど、エンジェルは寛容ではなく、
そのまま一人、ブラジルへ旅立ってしまう。


テスは再び実家に帰るしかなかったが、
その後も彼女は、
運命に翻弄され続ける・・・。





ナスターシャ・キンスキーの美しさに酔い痴れる2時間半と言っても過言ではないくらい、
彼女の美貌に見とれる。
どこの農場で働いていても、一緒に働く他の女の子たちと比べ、
その美しさは際立っていて、
必ず男たちに目を付けられ、
女からは嫉妬される。
美し過ぎるって不幸なのねと、
我が身を振り返って安心したくらい(笑)。


そして、全てにタイミングが悪く、不幸なテスが、
どうか幸せになれますようにと願わずにはいられなかった。


エンジェルがもっと大人だったら・・・と、
それが残念でたまらない。
時代や宗教観の違いとはいえ、
彼がテスを受け入れるかどうかが、
テスの運命の分かれ道であったと、
そんな風に思えてならない。


評価 ★★★★☆

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「あの子を探して」 [映画]

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〔1999年/中国〕 


中国の、ある貧しい村の小学校に、
1ヶ月間だけ臨時の先生として、ミンジが連れてこられる。
ミンジは、なんとまだ13歳で、
生徒たちと大差ないような少女だ。


生徒たちは皆貧しく、小学校を中退する子も多い。
ミンジは、在任中の1ヶ月の間に、生徒が一人も学校を辞めなかったら、
報酬の50元に、10元を上乗せするという約束を取り付ける。


クラスで一番やんちゃな男の子、ホクエー。
彼の家は、父親がおらず、母親は寝たきりで、
彼は借金返済の為に学校を辞め、
街に働きに出る事になってしまう。


一人の生徒も失ってはならないミンジは、
ホクエーを探しに、街に出掛けて行くのだった。





前半、ミンジと生徒たちが繰り広げる学校での様子がとても可笑しい。
コメディでもないのに、
何度か笑ってしまう。


そして後半、
街に出たホクエーを必死に探すミンジだが、
一人の人間が、そう簡単に見つかるわけもなく、
彼女の涙ぐましいまでの努力は、見ていて辛くなるほどだ。


ただ、彼女がそこまで頑張る理由は、
結局は自分の金の為なんだよなーという思いが、
最後まで拭えなかった。
たとえホクエーを見つけて村に帰ったとしても、
「じゃあ、その後はどうなるの?
ホクエーの母親が困るだけじゃん」、と思ったし、
報酬さえもらえれば、その後の事はミンジにはどうでもいいわけだし。


まぁ、ラストは、一ヶ月の間にミンジが成長した様子が描かれており、
それまでの努力は無駄ではなかったという事が分かるのが救いだが。


評価 ★★★☆☆

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「永遠のアフリカ」 [映画]

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〔2000年/アメリカ〕


キム・ベイシンガーは、
小学生の男の子を育てているシングルマザーである。
どうやって生計を立てているのかよく分からないが、
実家が金持ちなのか、
大学で働いているという母親頼みなのか。
「子供が下校してくる時は家にいてやりたい」と話す母親である。


そんな彼女がヴァンサン・ペレーズと恋に落ちる。
ペレーズは昔、アフリカに住んだ事のある、アフリカ好きの男で、
結婚を機に、二人は息子を連れてアフリカに移住する。


しかし、観ていても、ベイシンガーの覚悟が
あまりに足りないように思えてならない。
アフリカのような過酷な地は、
アフリカという場所に対して、
自然に心に湧き出てくる、
抑えきれない位の思い入れがなければ、
暮らしてゆける場所ではないだろう。
男に誘われたからとか、そんな理由で、
ホイホイついてゆくほど、
現実は甘くない。


第一、子どもはどうするんだ。
アフリカの学校で十分な教育を受けさせられるのか。
観ている私の方が不安になったわけだが、
案の定、ベイシンガーは、
アフリカに来た事を後悔し始めるんだな。
それも、想定の範囲内の、当たり前の理由で。


しかし、それでも何とかアフリカの土地に馴染んでゆくんだけれど、
話はそれでは終わらず、
さらに過酷な運命が彼女を待ち受けているのだ。


これは実話だと、最初にテロップが出るのだが、
実話だからって、何でも映画にすればいいってもんでもないだろう。
アフリカの景色が素晴らしい事と、
ベイシンガーの美しさは際立っていたけれど。


評価 ★★☆☆☆

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◆いちにち8ミリの。◆ [本]


いちにち8ミリの。

いちにち8ミリの。

  • 作者: 中島 さなえ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2010/08/10
  • メディア: 単行本



大好きだった中島らもさん。
ヤク中で、アル中で、破綻してて、
決して生き方を見習いたいと思える人ではなかったけれど、
でも、面白くて、不思議で、私の知らない世界を教えてくれた、らもさん。


2001年に彼が主宰していた劇団、「リリパットアーミー」の公演を観に行った時、
お弟子さんに両脇を支えてもらわなければ歩けないほど、
既に体は弱っていて、
名物の「ちくわ投げ」も上手くできず、
遠くに投げるはずのちくわを、ボトボト足元に落としていたっけ。
でも、パンフレットにサインをしてもらう時、
「いつも本を読んでいます」と言った私に、
「どうもありがとう」と優しい笑顔で言ってくれた、らもさん。


らもさんの奥様、美代子さんが、
らもさん没後に上梓された本、
「らも―中島らもとの三十五年」を読んだ時も大変な衝撃を受けた。
いままで、らもさんの側からしか知り得なかったエピソードが、
奥様の側からだと、そんな風に見えていたんだと、
らもさんの別の側面を知った。
それまで読んできたらもさんの本に書かれていなかったエピソードも多くて、
自分の底の浅さを思い知った本でもあった。





前置きが長くなったけれど、
著者はらもさんの娘さんである。
あのらもさんの娘さんは、
一体どんな物を書くのだろうと、
興味津々で、読み始めた。


別にらもさんの娘さんだから褒めるわけではないが、
納められた3つの中篇小説は、
どれも、大人が読む童話といったテイストで、
面白くて、そして切ない。
とても良い本だと思う。


著者には、
これからもずっと、沢山の本を出し続けてほしいと願います。

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「あの日の指輪を待つきみへ」 [映画]

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〔2007年/イギリス・カナダ・アメリカ〕


1991年のアメリカ、ミシガン州。
物語は、シャーリー・マクレーンの夫、チャックの葬儀から始まる。
夫は退役軍人で、参列者も元軍人が多い。
葬儀は滞りなく終わるが、
マクレーンは、夫を失った妻にしては、
何か別の事を考えているようで、
心ここにあらずといった風情だ。


一方、アイルランドのベルファスト。
戦時中、飛行機が落ちた丘で、
飛行機の残骸から何かを探していた老人、ピート・ポスルスウェイトと、
それを手伝っていた少年、マーティン・マッキャンが、
指輪を見つける。
それは、マクレーンの人生で、たった一人彼女が愛した男、スティーブン・アメルの
思い出の指輪だった。


1941年。
若かりし頃のマクレーンは、アメルと恋に落ちる。
深く愛し合った二人だが、
アメルは、親友チャックとジャックと共に、
戦場に行かねばならない。


アメルは、チャックとジャックに、
「もし自分が死んだら、二人のどちらかがマクレーンの面倒をみると
 約束してほしい」と願い出る。
プレイボーイのジャックより、
真面目なチャックの方が、その申し出に相応しく、
チャックは了承する。


そして、アメルの乗った飛行機が墜落。
彼は戦死してしまい、
チャックは約束通り、マクレーンと結婚し、
一人娘をもうけるが・・・。





50年の時を隔てて、
一つの指輪が紡ぐ物語。
しかし、この話では、
チャックがあまりにも可哀想じゃないのか。


彼はマクレーンを愛しているのに、
マクレーンは、どうしても彼を愛せず、
そればかりか、
生まれた娘まで、心からは愛せずにいる。
そして、そこにIRAのテロ事件まで関わってくるのだ。
なんだか変な話。


救いはシャーリー・マクレーンの演技。
どんなに年を取っても、
彼女は可愛い女だ。
シリアスな場面でも、彼女にかかると、
どこか可笑しみのある雰囲気に変わってしまい、
しかし、だからといって、品格が下がるわけではない。
本当に素晴らしい女優さんだと思う。


評価 ★★★☆☆

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