◆いちにち8ミリの。◆ [本]
大好きだった中島らもさん。
ヤク中で、アル中で、破綻してて、
決して生き方を見習いたいと思える人ではなかったけれど、
でも、面白くて、不思議で、私の知らない世界を教えてくれた、らもさん。
2001年に彼が主宰していた劇団、「リリパットアーミー」の公演を観に行った時、
お弟子さんに両脇を支えてもらわなければ歩けないほど、
既に体は弱っていて、
名物の「ちくわ投げ」も上手くできず、
遠くに投げるはずのちくわを、ボトボト足元に落としていたっけ。
でも、パンフレットにサインをしてもらう時、
「いつも本を読んでいます」と言った私に、
「どうもありがとう」と優しい笑顔で言ってくれた、らもさん。
らもさんの奥様、美代子さんが、
らもさん没後に上梓された本、
「らも―中島らもとの三十五年」を読んだ時も大変な衝撃を受けた。
いままで、らもさんの側からしか知り得なかったエピソードが、
奥様の側からだと、そんな風に見えていたんだと、
らもさんの別の側面を知った。
それまで読んできたらもさんの本に書かれていなかったエピソードも多くて、
自分の底の浅さを思い知った本でもあった。
前置きが長くなったけれど、
著者はらもさんの娘さんである。
あのらもさんの娘さんは、
一体どんな物を書くのだろうと、
興味津々で、読み始めた。
別にらもさんの娘さんだから褒めるわけではないが、
納められた3つの中篇小説は、
どれも、大人が読む童話といったテイストで、
面白くて、そして切ない。
とても良い本だと思う。
著者には、
これからもずっと、沢山の本を出し続けてほしいと願います。
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