SSブログ

◆いちにち8ミリの。◆ [本]


いちにち8ミリの。

いちにち8ミリの。

  • 作者: 中島 さなえ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2010/08/10
  • メディア: 単行本



大好きだった中島らもさん。
ヤク中で、アル中で、破綻してて、
決して生き方を見習いたいと思える人ではなかったけれど、
でも、面白くて、不思議で、私の知らない世界を教えてくれた、らもさん。


2001年に彼が主宰していた劇団、「リリパットアーミー」の公演を観に行った時、
お弟子さんに両脇を支えてもらわなければ歩けないほど、
既に体は弱っていて、
名物の「ちくわ投げ」も上手くできず、
遠くに投げるはずのちくわを、ボトボト足元に落としていたっけ。
でも、パンフレットにサインをしてもらう時、
「いつも本を読んでいます」と言った私に、
「どうもありがとう」と優しい笑顔で言ってくれた、らもさん。


らもさんの奥様、美代子さんが、
らもさん没後に上梓された本、
「らも―中島らもとの三十五年」を読んだ時も大変な衝撃を受けた。
いままで、らもさんの側からしか知り得なかったエピソードが、
奥様の側からだと、そんな風に見えていたんだと、
らもさんの別の側面を知った。
それまで読んできたらもさんの本に書かれていなかったエピソードも多くて、
自分の底の浅さを思い知った本でもあった。





前置きが長くなったけれど、
著者はらもさんの娘さんである。
あのらもさんの娘さんは、
一体どんな物を書くのだろうと、
興味津々で、読み始めた。


別にらもさんの娘さんだから褒めるわけではないが、
納められた3つの中篇小説は、
どれも、大人が読む童話といったテイストで、
面白くて、そして切ない。
とても良い本だと思う。


著者には、
これからもずっと、沢山の本を出し続けてほしいと願います。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「あの日の指輪を待つきみへ」 [映画]

anohinoyubiwa.jpg
〔2007年/イギリス・カナダ・アメリカ〕


1991年のアメリカ、ミシガン州。
物語は、シャーリー・マクレーンの夫、チャックの葬儀から始まる。
夫は退役軍人で、参列者も元軍人が多い。
葬儀は滞りなく終わるが、
マクレーンは、夫を失った妻にしては、
何か別の事を考えているようで、
心ここにあらずといった風情だ。


一方、アイルランドのベルファスト。
戦時中、飛行機が落ちた丘で、
飛行機の残骸から何かを探していた老人、ピート・ポスルスウェイトと、
それを手伝っていた少年、マーティン・マッキャンが、
指輪を見つける。
それは、マクレーンの人生で、たった一人彼女が愛した男、スティーブン・アメルの
思い出の指輪だった。


1941年。
若かりし頃のマクレーンは、アメルと恋に落ちる。
深く愛し合った二人だが、
アメルは、親友チャックとジャックと共に、
戦場に行かねばならない。


アメルは、チャックとジャックに、
「もし自分が死んだら、二人のどちらかがマクレーンの面倒をみると
 約束してほしい」と願い出る。
プレイボーイのジャックより、
真面目なチャックの方が、その申し出に相応しく、
チャックは了承する。


そして、アメルの乗った飛行機が墜落。
彼は戦死してしまい、
チャックは約束通り、マクレーンと結婚し、
一人娘をもうけるが・・・。





50年の時を隔てて、
一つの指輪が紡ぐ物語。
しかし、この話では、
チャックがあまりにも可哀想じゃないのか。


彼はマクレーンを愛しているのに、
マクレーンは、どうしても彼を愛せず、
そればかりか、
生まれた娘まで、心からは愛せずにいる。
そして、そこにIRAのテロ事件まで関わってくるのだ。
なんだか変な話。


救いはシャーリー・マクレーンの演技。
どんなに年を取っても、
彼女は可愛い女だ。
シリアスな場面でも、彼女にかかると、
どこか可笑しみのある雰囲気に変わってしまい、
しかし、だからといって、品格が下がるわけではない。
本当に素晴らしい女優さんだと思う。


評価 ★★★☆☆

nice!(6)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画