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「夕暮まで」 [映画]

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〔1980年/日本〕


小説家の佐々(伊丹十三)は、
女友達に誘われたパーティで、
若い女・杉子(桃井かおり)と出会った。


周囲の者から「杉子は処女、そして食いしん坊」というのを
聞いた佐々は、
杉子を誘い、
美味しいものを食べ歩き、
その後、ホテルに行く、というのが習慣になる。


しかし、杉子は、
佐々のどんな要求に応じようとも、
最後の一線だけは決して越えさせず、
擬似性交が限界だと言う。


何の取り柄もない自分にとって処女は、
「いい結婚するための、大切な宝」なのだと・・・。





中学生の頃、
吉行淳之介さんの原作を読んだ。


意味が分かったんだか、分からなかったんだか、
微妙だったけど、
とにかく、
大人の世界を覗いたような気持ちになった事は
憶えている。


男と抱き合っても、
決して最後の一線を越えない事を、
たしか、「テクニカルバージン」と表現されていた事、
そして、その行為の際は、
オリーブオイルを使う事など、
所々、覚えている。


ただ、当たり前の事だけど、
文字で読んで、自分の頭の中で思い描いていた世界観と、
映像化したものは、
必ずしも一致しないのだと、
あたらめて思い知る。


例えば、
佐々と杉子が出会った「パーティ」一つにしても、
私が考えていた、
「知的な大人たちが集まって語らう場」とは程遠い俗っぽさで、
最初からガックリくる。


桃井かおりさんは大好きだけど、
当時29歳の彼女が、
「若くて」
「処女で」
「処女は大切な嫁入り道具という考えの持ち主」
にはとても見えない。
桃井さんって、そういうイメージではない。


1980年頃って、
まだ女性の処女性が、そんなに大事にされていたんだろうか。
1979年の「金八先生」の第一シリーズで、
鶴見辰吾と杉田かおるは、
中学生で子供を生んでいるではないか(笑)。
まぁ、それは冗談としても、
例えば、1980年に結婚した山口百恵は、
著書「蒼い時」の中で、
結婚前の三浦友和氏との関係を記しているし、
もう、それほど処女に拘る時代ではなかったように思うんだけど。


まぁ、そんな事はいい。


この映画を観られた事は、
心の底から嬉しい。


この小説が映画化されているのを、大人になってから知り、
めちゃくちゃ観たいと熱望したけれど、
ビデオ化も、DVD化もされていないようで、
もう一生観るのは無理かと、諦めていたから。


なので、名画座にかかると知った時は嬉しくて、
その日を心待ちにしていたというわけで。


フィルムはかなり退色していて、
全体がピンク色で、
決して見やすい映像ではなかったけど、
私にはそんな事はどーでもいい。


・・・って、同じ事を前にも思ったなぁと思ったら、
新珠三千代さんの「愛のうず潮」だった。
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2019-07-02



貴重な映像を観られた事は、私にとっての宝です。


評価 ★★★☆☆

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