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「検事とその妹」 [映画]

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〔1956年/日本〕


検事になるべく、
猛勉強をしている矢島健作(丹波哲郎)だが、
両親を亡くし、大学を辞めようかと悩む。
しかし、妹・明子(日比野恵子)が
苦労して働いてくれたおかげで、
なんとか夢が叶えられる。


生活にゆとりができ、
明子の結婚も決まり、
幸せの絶頂にいた兄妹だが、
ある事件の容疑者の一人が
明子の婚約者だと分かる。


婚約者が逮捕され、
明子は大変なショックを受ける。
健作は、
自分が担当している、
バーの女給による、
窃盗傷害事件の裁判を
見にこないかと、明子を誘い・・・。





タンバリンが、
まだGメンでもなく、
霊界にも行っていない、
それよりずっと前に出演した、
素晴らしい映画。


兄の、検事になるという夢を、
頓挫させてはいけないと、
辛い思いをしながら働く妹。
そして、そんな妹の思いに応えるように、
見事、試験に合格する兄。


学生時代のタンバリンが、
学ランを着ているのだけれど、
まるで似合っていないのが可笑しい。
(ごめんなさい)
なにせ、タンバリンは当時34歳なうえに、
今の34歳と比べても、
格段に大人な雰囲気なので、
学ランなど似合わなくても、当然だ。


「PとJK」での、
亀梨くんの学ランの似合いっぷりを見たばかりなので、
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2020-04-08
余計にそう感じる。
(奇しくも、亀梨くんも現在34歳。
 昔の人がいかに大人っぽかったかが分かる)
いやいや、そんな事は、
物語の本筋とは関係なく、どーでもいい事だけど。


あんな風に、妹に尽くされたら、
兄はもう、一生、
妹の為になんでもしてやろうと思うだろう。


それは例えば、
将来、兄が結婚して、
お嫁さんと、妹が揉めたとしても、
妹の味方に付いてしまうだろうなぁ、とか、
そんな事まで考えてしまう。


兄妹愛の美しい映画だけど、
法廷物としても、素晴らしい。


タンバリンは、
バーの女給の窃盗傷害事件を担当しているのだけれど、
女給は、絶対動機を話さないし、
盗んだ金は、遊興費に使ったと言う。


けれど、タンバリンは、それが嘘だと感じる。
実は、この事件も、
女給と、女給の弟の、
姉弟愛が隠されているのだ。


それが裁判で明らかにされ、
被害者が加害者に、
加害者が被害者に、
立場が逆転される。
溜飲が下がるような場面。


評価 ★★★★☆

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「温泉こんにゃく芸者」 [映画]

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〔1970年/日本〕


こんにゃく屋の徳助(殿山泰司)は、
戦争で男性の機能が失われ、一人身だったが、
幼い少女・珠枝を養女にもらう。


年頃になった珠枝(女屋実和子)は、
勤めていた会社が倒産したため、
金を作る目的で、
片山津温泉にやってきた。


置屋の女将は、
頭数の足りない芸者の穴埋めに、
急遽、珠枝を芸者に仕立て上げると、
その噂が広まり、客が増える。


やがて、製薬会社の社長・田中から、
身請けの話があり、
それを受けるも、
最初の夜、田中は急病で死んでしまう。


芸者に戻った珠枝の評判は、
全国にまで広がり、
スカウトがひっきりなしにやって来て・・・。





殿山泰司さん演じる、
こんにゃく屋の徳助は、
「こんにゃく風呂」を作るのが生涯の夢だという。


「こんにゃく風呂」って何だろう?と、
色々想像してみたけど、
今一つ、頭に浮かばない。


こんにゃくがプカプカ浮いている風呂?
それとも、糸こんにゃくが体に絡みつくような風呂?


で、映画を観ていて、それが分かった。
想像とは全然違ってた。
徳助の作った「こんにゃく風呂」とは、
風呂場の床に、
30cm × 40cmほどの大きなこんにゃくを、
タイルのように敷き詰めた風呂のことなのだ。


こんにゃくを敷き詰めた風呂の床など、
くにゃくにゃしていて歩きにくそうだし、
滑って危なそうだ。
それに、すぐ腐ってしまうだろう。
あれを片付けるのは、
大変な労力だ。


でも私は、エロ場面より、
こんにゃくを敷き詰める作業をする
その場面が好き。
手伝いたい(笑)。


タイトルには「こんにゃく芸者」とあるけれど、
珠枝とこんにゃくは、殆ど関係なく、
こんにゃくに固執しているのは、徳助だけ(笑)。


てな感じで、
全体的に馬鹿馬鹿しいんだけど、
ジャケット写真のイメージと違って、
珠枝はとてもクールで、
感情を表に現さない。
他の芸者たちがきゃぴきゃぴしている中で、
そのクールな態度が、
むしろ素人っぽく見える。
そこがいいのかもしれない。


ラストの、
小松方正との、
「男女の対決」。
あれが、私には分かるような分からないような。


あれは何をもって、
勝ちなのか、負けなのか。


あれが分からない私は、
まだまだ修行が足りないんだろう(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「グッドモーニングショー」 [映画]

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〔2016年/日本〕


その朝、目覚めた澄田(中井貴一)がリビングに行くと、
妻(吉田羊)と大学生の息子が、
何やらおかしな雰囲気になっている。
息子は、自分の彼女が妊娠したので、
結婚したいと言っている。


驚いた澄田だが、
とりあえず仕事に行かなくては。
彼は、
ワイドショー「グッドモーニングショー」の
メイン司会者。
迎えのタクシーに乗り込む。


すると、番組のサブキャスター、
小川圭子(長澤まさみ)から電話が入った。
「今日、私たちの関係を番組で発表しようと思います」
って、はぁ?
君と俺とは何の関係もないじゃないか。


テレビ局に着くと、スタッフたちは大わらわで、
どのニュースをトップに持ってくるかで揉めている。
いつもの日常。


すると、そこへ、
都内のカフェで、
男が人質をとって立て籠もっているとの情報が入る。
しかも男は、
「澄田に話があるから連れてこい」と・・・。





私はミーハーだ。
自他ともに認めるミーハーだ。


その割に、テレビを全然見てないじゃん、
と言われそうだけれど、
それは、
毒にも薬にもならないような、
台本通りのタレントの上っ面な与太話を
聞いても仕方ないからだ。


私のミーハー心の針は、
何か事が起きた時に大きく跳ね上がる。
「えー!あんなにいい人そうなあの人がそんな事を!?」とか、
「あのイケメンに、そんな面が!?」とか、
そういった、突拍子もない話が好き(笑)。


この映画は、
そんな私のミーハー心を多いに刺激してくれる。


というのも、
テレビ局の生番組って、
カメラに写っていない部分は、
こんなに大変なんだ、というのを
いやと言うくらい見せてくれるのよ。


もちろん、デフォルメされて、
大げさに描かれているのは分かってる。
いくら生番組だって、
普段、こんなにドタバタはしてないだろう。


ただ、この日は、
立て籠もりというイレギュラーな事件があり、
さらに犯人が、
メインキャスターに現場に来いと要求している。
台本にはない展開に、
キャスターたちも、スタッフたちも、
大混乱。
その様子は、
まさにテレビ局の内側を見ているようで、
とっても興味深い。


なーんて、
そんな事ばかり書いていないで、
肝心の立て籠もり事件や、
中井貴一の、過去のある出来事について書けよって話だけど、
原稿用紙が終わってしまった(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「徳川いれずみ師 責め地獄」 [映画]

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〔1969年/日本〕


ある墓場で、
女が墓を掘り起こし、
土葬された遺体の腹を裂いて、
鍵を取り出した。
それは、女に装着された貞操帯を外すため。
その女・由美は、
ここ数日の出来事を思い出していた・・・。


由美は死んだ両親の借金を返すため、
与力・鮫島の口利きで、
大黒屋に奉公に出た。
まさか、そこが、
女に入れ墨を施して、
売春させる宿とも知らずに。


女主人のお竜は、
由美に惹かれ、
由美に入れ墨を施す彫秀に嫉妬し・・・。





なんだか、最近、
こんな映画ばかり観ている気がする(笑)。


友人が時々、
DVDをまとめて貸してくれて、
その中に、
この手の映画が混ざっているという。


決して、
私の意思で作品を選んでいるわけではないのです。
(言い訳ですか(笑))


で、内容は、といえば、
これはタイトル負けしていない、
結構なエログロ作品であった。


とにかく、裸の女が、
これでもかってくらい出てくる。
女の体って、
一人一人違うんだなぁ、なんて、
変なところで感心してしまう。


いかにも詰め物をしていそうな、
不自然な巨乳の人がいないのがいい。
自然な人の体って、
とっても綺麗なものだと思う。


そして、そんな女たちの中に、
なぜか、
由利徹さんと、大泉滉さんが混じっていて、
大笑い。


声は吹き替えのようだったけど、
ご本人の声で良かったのになぁ。


それから、
ある人物に復讐をするのに、
その人物の年頃の娘の全身に
入れ墨を入れてしまう場面があって、
すごいな、と思った。
だって、それって、
怪我をさせられるより、
大変なダメージじゃない?


ラストの刑罰もショック。
あんな死に方だけはしたくないわ。


評価 ★★★☆☆

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「脳内ポイズンベリー」 [映画]

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〔2015年/日本〕


30歳目前のいちこ(真木よう子)は、
飲み会で、
7歳年下の男・早乙女(古川雄輝)と知り合い、
その後、付き合うようになる。


いちこの書いたケータイ小説がヒットし、
書籍化が決まる。
出版社の担当・越智(成河)は、
いちこと打合せや取材旅行をするうち、
彼女に愛の告白をしてくる。


その度に、
いちこの頭の中は大混乱。


彼女の脳内には、
理性(西島秀俊)
ポジティブ(神木隆之介)
ネガティブ(吉田羊)
衝動(桜田ひより)
記憶(浅田和之)
の5人がいて、
いつも、彼女の行動を決めるための
会議を開いているのだ・・・。





これは好き。


ディズニー映画、
「インサイド・ヘッド」に
 ↓
https://aomikamica.blog.ss-blog.jp/2015-07-28
似ている気がしないでもないけど、
よくよく調べてみたら、
ディズニー映画より、
原作漫画の方が、
先に出ているではないの。
日本人の発想も捨てたもんじゃない。


それにディズニーの方は、
11歳の女の子が主人公という事で、
ちょっと子供向けだったのに対して、
こちらは、
30歳を迎えようとしている、
微妙な年ごろの女性。


今どき、30歳なんて若い若い、と言いたくなるけど、
年下のアーティストと、
年上の堅実なサラリーマンとの間に立てば、
そりゃあ、心は揺れるだろう。


そんな揺れる心の表現方法が、
脳内にいる、5人の人間。


ポジティブ担当が、能天気な事を言うと、
ネガティブ担当が、それを激しく否定し、
衝動は、ただひたすら、本能の赴くままの発言を・・・


といった具合で、
面白い。


なんか、分かるなぁ。
別に恋愛に限った事でなくても、
何かを迷っている時って、
心の中にいる何かが、
賛成したり、打ち消したり、
やっぱり忙しい感じがする。


恋愛はタイミングだなぁと
実感する。
先に知り合っていたのが、
こちらだったら、とか、
なぜ、このタイミングで電話してくるかな、とか、
そんな場面が多い。


いつもちょっとグズグズしていた真木よう子さんが、
ラスト、毅然としていたのが良かった。


評価 ★★★★☆

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