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「午前零時の出獄」 [映画]

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〔1950年/日本〕


出所間近い受刑者・岡田英次が、
房内で暴力事件を起こす。
どうやら彼は、
出所したくないらしい。


その理由は、
ヤクザの兄貴分を殺してしまった自分が
刑務所を出れば、
親分に殺されるに違いないという、
不安を抱えているからだ。


そこに居合わせた新聞記者・宇野重吉は、
岡田を助けてやりたいとの気持ちから、
出所時間を午前零時にして、
自分が付き添う事にする。


案の定、ヤクザが追いかけてきたが、
なんとか撒き、
恋人・久我美子の家に身を隠す。


しかし、そこもすぐに嗅ぎつけられ・・・。





新聞記者の力を借りながら、
通常では有り得ない、
「午前零時の出獄」をした男が、
それでもヤクザに狙われ・・・
という物語。


逃げても逃げても、
ヤクザに居場所を嗅ぎつけられ、
そしてまた逃げる、
岡田英次さんと久我美子さん。


その場面が結構ハラハラする。
ヤクザがいるすぐ後ろを、
抜き足差し足で通っていく場面なんて、
これ、絶対見つかるだろって感じで、
なんだか観てるこちらの方が、力が入ってしまう。


それぞれの役柄を演じている、
俳優の皆様全員が、
めっちゃ適役で、すごくいい。


岡田英次さんは、
命を狙われる男の恐怖を
上手く演じていたと思うし、


それから、久我美子さんの、
輝くような美しさ、品の良さ。
久我さんの兄もヤクザなんだけど、
そんな兄とは正反対の、
純粋な役で。
さすがお公家さま。


そして、私が一番素晴らしいと思ったのが、
宇野重吉さん。


宇野さんは新聞記者でありながら、
自分の利益などまるで関係なく、
正しい道だけを突き進む。
それも、力んでいるわけではなく、
あの飄々としたイメージのまま。
すんごくいい。


冒頭、暴れる岡田さんを、
投げ飛ばすのが、
刑務所長の笠智衆さん。


小作品ながら、
これだけの大スターが出演。
贅沢な映画。


評価 ★★★☆☆

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