「堕落する女」 [映画]

〔1967年/日本〕
金持ちの令嬢・澄子(桑野みゆき)は、
大学教授の婚約者・三好(田村高廣)がありながら、
周囲の猛反対を押し切り、
ピアノ講師の山田(細川俊之)の元へ走ってしまう。
ところが、少し経った頃、
澄子が実家に戻ってくる。
山田から酷い暴力を振るわれ、
浮気され、
心も体もズタズタになっている。
しかし、山田が詐欺罪で逮捕されると、
澄子は、また彼の所へ行ってしまう。
「あの人は、私がいなければ駄目なんだ」と。
1年後。
澄子は、場末のスナックで働きながら、
客を取るようになっていた。
稼ぎの殆どは、山田が持っていってしまう。
そんなある日、
澄子を探し歩いたという、三好が現れ・・・。
「だめんず・うぉ~か~」という言葉があるけれど、
桑野みゆきさん演じる澄子は、
「うぉ~か~」ではない。
ただひたすら、
たった一人の「だめんず」に、
何をされても、絶対離れない。
見捨てない。
観ているこちらは、
なんで?と不思議になるくらいだけど、
こういうのを、「共依存」というのかなぁ。
細川俊之さん演じる山田は、
「だめんず」なんて言葉が可愛く思えるほどの
クズっぷり。
何せ、澄子への暴力は日常、
そして、二人が同棲するアパートに女を連れ込み、
澄子が見ているまえで、
コトに及ぼうとするなど、
なんかもう、
クズにはクズなりに、
これ以上はしてはいけないというラインというのが
あるだろうに、
それさえ越えちゃってる。
一度、激しく怒った山田が
ベルトで澄子を打擲し、
「出ていけ!」と激しく罵り、
ドアの外に引き摺り出したシーンがあった。
私はもう、
「チャンスよ!男から出ていけと言って追い出されたのだから、
逃げるチャンスよ!」と、体に力が入ったのだけれど、
澄子は、
「ごめんなさい、あなた、許して、許して」と、
激しく泣きながら、許しを乞う。
あぁ、もうこの二人は堕ちてゆくしかない。
永遠に這い上がる事は不可能だろうと思った場面。
評価 ★★★★☆