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「エリカ38」 [映画]

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〔2019年/日本〕


マルチ商法をしている渡部聡子(浅田美代子)は、
喫茶店で隣り合わせた女性・伊藤(木内みどり)から、
国際的なビジネス展開をしているという、
平澤育男(平岳大)という男を紹介される。


聡子は、平澤のレクチャーを受けながら、
途上国支援事業という名目で、
金を集め、
豪遊するようになる。


平澤の、複数の女性関係を知った聡子は、
次に、裕福な老人・佐々木と知り合い、
豪邸を買わせ、
今度は自分のために、
架空の支援事業説明会を開いては、
人々から出資金を募る。


聡子は、旅先のタイで知り合った青年に恋をし、
一緒に暮らし始めるが・・・。





これは、ほんの2年ほど前に、
実際に起こった事件なので、
記憶されている方も多いであろう。


実名を出してしまうけど、
出資法違反容疑で逮捕された、当時62歳の山辺節子さんは、
若作りなファッション、
可愛い子ぶりっ子な物腰、
62歳を38歳とサバ読むなど、
犯罪界の聖子ちゃんと呼ばれ、
犯罪以外の事で、世間をざわつかせたことを思い出す。


こんな、まだ新しい事件が映画化されるなんて、
なんだか嬉しい。
日本は、どうも犯罪者の人権が強く守られる傾向があるようで、
あまり新しい事件は、
映画化されにくいような気がする。


企画は樹木希林さん。
やはり希林さんも、
山辺さんの半生に興味を持ったのでしょうね。
そして、山辺さんの役は、
いくつになって可愛らしい浅田美代子さんがピッタリだと、
思われたのかもしれない。


見どころの一つだと思うけど、
騙されたと気付いた出資者たちが、
聡子の家に押しかけて、
説明を求める場面が、
めっちゃ面白い。


出資者たちは、
結局、誰が金集めの首謀者なのか、
責任の所在がどこにあるのかも、
よく分かっていないようで、
聡子に詰め寄るも、
どう責めていいのか分からないように見える。


聡子は聡子で、
「私だって被害者なんです」
「弁護士と相談します」
などと、のらりくらりと繰り返すばかりで、
人々は、
「出資した〇千万円を返して!」と泣き叫ぶしかない。


巧妙な手口だなぁ。
「途上国を救うための出資」なんて言われると、
一部の人は、
まるで善行を施しているような気持ちになるのだろう。
それで、金まで儲かるのなら、一石二鳥ではないか、
これは、詐欺なんかじゃない、と。


私は、聡子と平澤が出会うきっかけとなった、
聡子と伊藤との出会いが、
とても興味深かった。


伊藤と出会った時、
聡子は、喫茶店で、
数人の女性たちに囲まれて、
マルチ商法のリーダーのような事をしていた。


女性たちが帰ったあと、
一人になった聡子に、伊藤が声を掛けたのだ。


聡子が伊藤と知り合ったのは、偶然だけど偶然じゃない。
元々、マルチ商法などをするような、
胡散臭い空気感の聡子だから、
伊藤に目を付けられたんだ。
「引き寄せ」「嗅覚」って、
不思議なものだし、
人は、自分に合う人、合わない人を、
そうやって見つけていくんだなぁ、と。


評価 ★★★☆☆

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