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「僕たちのラストステージ」 [映画]

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〔2018年/イギリス〕


1937年。
スタン・ローレル(スティーブ・クーガン)と
オリバー・ハーディ(ジョン・C・ライリー)は、
お笑いコンビ「ローレル&ハーディ」という名で、
世界中から親しまれていた。


けれど、時が過ぎ、
すっかり「過去の人」となってしまった彼らは、
ステージに上がっても、
客席はガラガラ、
用意されたホテルは三流と、
過酷なツアーをこなす日々。


それでも努力の甲斐あって、
次第にファンを取り戻しつつあったある日、
口論になった2人は、
コンビ解消にまで話が発展してしまう・・・。





試写会で観た。


日本にも、
「芸のためなら女房も泣かす」とか、
「俳優は親の死に目にあえない」とか、


芸の道を精進する人の、
厳しさを表す言葉がいくつかあるけれど、
それはやはり外国も同じなようだ。


この映画の主人公、
「ローレル&ハーディ」というコンビの映画を、
私は今まで観た事があるだろうかと
調べてみたけれど、
1本も観ていないようだ。


当時の彼らの人気がどれくらいだったのか、
よくは分からないけれど、
彼らが映画の中で、
コミカルなダンスを踊っただけで、
観客は大爆笑という場面からも、
皆から愛されていたことが感じられる。


そして、当然の事だけど、
お笑い芸人も人の子、
私生活での夫婦の関係なども、
面白く観た。


2人の妻は、
タイプが全く違っていて、
全然気が合いそうにもないのだけれど、
夫同士がコンビなので、
嫌でも顔を合わせなくてはならない。


でも、最後、
仲の良くなかった妻同士も、
本当は、夫たち同様、
心の底では信頼し合い、
助け合っていたことが分かる。
いい場面。


「ローレル&ハーディ」の映画は、
一部、ビデオ化がされているようだ。
今度、観てみようと思う。


評価 ★★★☆☆


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「赤ちょうちん」 [映画]

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〔1974年/日本〕


都会の片隅で出会った、
22歳の高岡健二と17歳の秋吉久美子は、
いつしか同棲を始める。


線路脇の高岡のアパートは、
電車が通る度に揺れ、
間もなく取り壊しになるため、
2人は渋谷区幡ヶ谷のアパートに引っ越す。


しばらくすると、
秋吉の妊娠が分かる。
高岡は、堕胎しろと言うが、
秋吉はそれを拒否し、
お腹は次第に大きくなってゆく。


調布に引っ越した2人は、
そこで男の子を授かる。
幸せいっぱいであったが、
大家の樹木希林の嫌がらせに遭い、
今度は葛飾へ・・・。





かぐや姫の歌「赤ちょうちん」は知っていたけど、
この歌の主人公のカップルが、
歌の2番で別れてしまう事は知らずに、びっくり。


ちゃんと聞くと、
なんと悲しい歌詞なんだろう。
親密にしていた2人が、
何かの事情で別れる。
多分、大喧嘩したわけでもなく、
心底憎み合ったわけでもないのに、
その時の状況で、
別れざるを得ずに、別れる。
私の一番苦手なパターン。


ストーリーは平凡だけど、
なんとも言えない哀しみでいっぱい。
若い頃の恋愛、
お金がなくても愛があれば・・・という
ままごとみたいな2人が切ない。


一箇所、時代を感じるびっくりな場面があった。


ある日、幡ヶ谷のアパートに、2人が帰ると、
見知らぬ男・長門裕之が、
部屋にいる。


なんと彼は、以前この部屋に住んでいたそうで、
懐かしくなって、
管理人さんに鍵を開けてもらい、入った、と言う。


う、嘘でしょ。
現代では考えられない。
今は、住人が変わる度、
ドアの鍵まで変えて用心するというのに。
40年前の日本って、なんて呑気だったのかしら。


評価 ★★★☆☆

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「バチカンで逢いましょう」 [映画]

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〔2014年/ドイツ〕


カナダに住むドイツ人の老女・
マルガレーテ(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は、
夫を亡くし、
娘から老人ホームへ入る事を勧められるも、
家出し、ローマに旅立つ。


敬虔なカトリック信者のマルガレーテは、
ローマ法王の前で、
どうしても、どうしても、どうしても、
懺悔しなければならない事があるのだ。


ローマ在住の孫娘・マルティナのアパートに行った
マルガレーテは、
マルティナが、イタリア男と同棲し、
怪しげなバーで働いていることを知り、ビックリ。


ローマ法王との謁見を頼みに行ったマルガレーテは、
個人的に会う事は不可能と言われ、失望する。


仕方なく、集団での謁見に参加したマルガレーテは、
そこで自分を騙した詐欺師・ロレンツォと再会し、
ロレンツォにペッパースプレーを吹きかけるつもりが、
法王の顔にかかってしまい、
逮捕されてしまう・・・。





ある秘密を抱えた老女・マルガレーテが、
ローマ法王に会いに行くけれど、
あっけなく断られ、
さらに、詐欺師と恋仲になったり、
孫娘の私生活に関与したりと、
中々楽しいコメディ。


まず、ローマにさえ行けば、
必ずローマ法王に会えると思い込んでいる
マルガレーテに笑える。


それは日本で言えば、
皇居に行けば
天皇陛下とお話できると思っているのと
同じようなものじゃない?(笑)
(違う?)


マルガレーテは、
生涯、誰にも言わずにいた、
ある事実を、
ローマ法王に懺悔したいと思ってる。


それが叶わないと知った彼女は、
ドイツから駆け付けた自分の娘に、
その秘密を打ち明けてしまうのだけれど、
娘はビックリの大衝撃。


まぁ、確かにね、
あんなことを親から告白された日には、
大抵の人は、そりゃあショックだろうて。


でも、これは私の全くの個人的な事だけど、
私なら、その秘密を知ったら、
小躍りするくらい喜ぶ。
めちゃくちゃ嬉しい。
なぜもっと早く言ってくれなかったのか、と、
マルゲリータには、そこを責めたくなる。


99人の人が、「不幸だ」と感じる事でも、
1人の人間には、とても幸せだと思う事があるんだ。
他人の人生に口を出せるやつなど、いはしない。


元気な老女・マルゲリータと、
娘、孫娘の
3世代の関係も面白く、
楽しめた。


ジャケット写真でも分かるように、
ロレンツォと2人でいる彼女は、
とても幸せそうで、
恋するのに年齢なんて関係ないんだと教えてくれる。


ベスパに乗ってサマになるのは、
なにも、
オードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックだけじゃない。


評価 ★★★★☆

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「禁断」 [映画]

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〔1962年/日本〕


作曲家の酒井明(宇津井健)と、
女医の柴由紀子(叶順子)は、
由紀子が勤務する病院で知り合い、
互いに強く惹かれ合う。


その後、再び偶然出会った2人が
恋に落ちるのに時間はかからなかった。


酒井には妻子があったが、
そんな事は2人にとって大きな問題ではなく、
また、由紀子に激しく言い寄る、
同僚・能代の存在も、
結果的に、2人の愛を深めるだけだった。


そんなある日、
京都で落ち合おうと約束した2人だったが・・・。





宇津井健さんといえば、
私の中では、
不器用で真面目なおじさまという
イメージが強かったけれど、


そんな宇津井さんが、
妻子をほったらかして、
女医の叶順子さんと激しい恋に落ちるという役を
演じておられて、
宇津井さんも若い頃は、
こんな役を演じていたのかと、
面白いような気持ちで観ていた。


不倫とはいえ、
2人の雰囲気が中々素敵で、
セリフも洒落ている。


2人が喫茶店で待ち合わせた時、
宇津井さんが、
「待った?」と聞くと、
叶さんが、
「待ったわ。一週間」と。


会えなかった時間が
いかに長く感じられたかを表すのに、
とってもセンスがいいセリフ。
これは使えそうだわ(笑)。


それに引き換え、
叶さんに求婚している、
同僚の能代というのが嫌な奴で。


叶さんが自分に気がないと分かると、
なんと、上司に言いつけて、
叶さんを追い込む。


なんていけ好かない男なんだ。
なぜ他人を巻き込む。
そんなだから、
叶さんも彼を好きなれないというのに、
そこが分かっていない。


オチが安易すぎるのがちょっと残念。


評価 ★★★☆☆

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「ビューティフル・ボーイ」 [映画]

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〔2018年/アメリカ〕


デヴィッド(スティーブ・カレル)と、
ニック(ティモシー・シャラメ)は、
仲の良い親子。


しかし、ニックが、
あるきっかけでドラッグに手を出した事から、
父子の運命は大きく変わってゆく。


デヴィッドは、
何とかニックを立ち直らせるため、
更生施設に入れるも、
抜け出し、
またドラッグに手を出す、を繰り返し・・・。





試写会で観た。


タイトル通り、
美しいティモシー・シャラメを
堪能する映画だと聞いていたし、
実際、彼はとても美しいのだけれど、


内容は、
そんな呑気な事を言っていられない、
重いもので。


取り返しのつかない、ドラッグ地獄。
最初の1回目がいけないのよね。
「1度くらいなら、大丈夫」。
それが全ての始まりになる。


一度ハマると、もうやめられない。
最初の刺激では物足りなくなり、
量が増え、
より刺激の強いものを求め、
最後には、脳が破壊される。


私はドラッグなんて、
見た事も、触れた事もないけれど、
スプーンに乗せ、
下からライターで炙って、
グツグツ溶け出す、あれを見ていると、
おそらく、今まで嗅いだ事のないような
強烈な匂いがするんじゃないだろうか。


あれを見ると、家族がドラッグをやっていたのに、
まるで気付かなかったなんて話は、
とても信じられない。


そう、この映画は、
父子の再生の物語でもある。


父は、シャラメ君が問題を起こす度に、
迎えに行ったり、
探しに行ったり、
彼を更生させるために必死だ。


父は、自分の育て方が悪かったのかと、
過去を振り返り、思い悩む。
でも、私から見て、
このお父さん、
それほど悪い人じゃない。
子供がグレるほど、嫌な事はしていないし、
離婚はしてるけど、
再婚相手の女性も、とてもいい人だ。
やっぱり、好奇心で手を出した、
最初の一回目が、地獄の入り口だったのだろう。


これは実話だそうで、
現在、この息子は、
7年間、ドラッグを断っているという
テロップが流れる。
断っているからいい、というわけではないだろうけど。


評価 ★★★☆☆

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